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Fujitsu

Japan

第2回 テープストレージ未来対談:
膨大なデータ生成量に追随して進化を続ける
テープシステムの“いま”を発信し続けたい

攻めのICT時代を語る2015「テープストレージ未来対談」:富士フイルム様×富士通

コンピュータ用磁気テープで世界シェアトップの富士フイルム様との未来対談。ETERNUSのテープシステム(装置)で利用可能な磁気テープを生産している富士フイルム様の神奈川工場小田原サイトで、過去・現在を踏まえ「テープストレージの未来」を語っていただいた。

VOICE ~ETERNUSの現場から [番外編]:富士フイルム様 神奈川工場小田原サイト見学

富士フイルム様が独自に開発したBaFe磁性体は、メタル磁性体と比べてどのような優位性があるのでしょうか

 FF(野口)

まずは長期保存性です。メタル磁性体と違って、BaFeは酸化による劣化が起こりません。我々の加速テストでは、安定して30年以上のデータを読み書きできるという結果が出ています。またBaFe磁性体を用いたテープは、20年前に製造して実際に実用上の問題が無いことを確認したメタルテープよりも厳しい加速試験で、長期保存性に優れることを確認済みです。容量に関しても、1巻あたりの記録容量をLTO6(LTO テープの第6世代)と比較した場合、88倍となる220TBのデータ記録および再生という将来性を実証しました(2015年5月発表)。

BaFe磁性体テープとメタル磁性体テープの磁化量の変化(富士フイルム株式会社調べ)
BaFe磁性体テープとメタル磁性体テープの磁化量の変化のグラフ図
画像提供:富士フイルム株式会社

 FJ(橋本)

そういった実証結果のプレスリリースは、磁気テープの伸びしろがまだまだあるということを広く示すことができて、非常に良いニュースと思って見ています。ハードディスクの容量が日本国内のデータ生成量に追い付いていない中で、テープはしっかり追い付いている。富士フイルム様が発表した実験は量産化を視野に入れた実現可能な技術ですから、容量が伸びればお客様のコストメリットもどんどん出るということを、我々もお客様に対して言えますし、納得感を感じてもらうことができます。

 FF(野口)

まさにそのための発表でもあります。テープのことをお客様に分かっていただくためにも、情報提供は積極的に行っています。技術アップのための発表だけに終わらせず、将来の商品につながるよう、技術屋として製品につなげていきます。

 FF(柴田)

私どもはもともと写真フイルムの会社なので、品質にはかなり気を遣うほうだと思います。写真フイルムはお客様が撮影・現像して初めて仕上がりが確認できるものであり、そこで失敗することが許されない商品です。記録メディアの部隊もそういう会社の体質を引き継いでいまして、磁気テープもお客様の大事な情報を記録するものですから、同じように品質にはしっかり取り組んでいます。

富士フイルム:柴田氏 近影

 FJ(橋本)

他のテープメーカーさんは、LTO6でも従来のメタル磁性体ですし、富士フイルム様の磁気テープを採用している富士通としては、BaFe磁性体をもっとアピールしてもいいのかなと先ほどのお話で思いました。メタル磁性体と比較して品質面での優位性があることを、何らかの方法でお客様に示したいですね。

磁気テープストレージのオープン規格を策定するLTOコンソーシアムは、2014年9月に新しいロードマップを発表し、新たにLTO9、LTO10の規格を示しました

 FJ(佐藤)

LTO10では、容量と転送レートはそれぞれ最大で120TB、2,750MB/秒。これまではLTO8の32TB、1,180MB/秒まででしたから、LTO8からLTO9、LTO10へは大容量化・高速化が倍々で進んでいくということですね。

 FJ(高野)

実は心配だったんですよ。今がLTO6で、もうすぐLTO7というのにロードマップがLTO8で終わっていると、この先はないのかなって思うお客様もいらっしゃるのではないかと。ですからLTO10まで発表されて安心しました。最新のロードマップで、テープがこの先も存在していくこと、そしてどんどん技術が進化していくことが示せます。

 FF(江尻)

富士フイルム:江尻氏 近影

LTOコンソーシアムとしては、今後も技術の進化を見ながらLTO11、LTO12と発表していくものだと思います。最新のロードマップも、LTO10で終わりですということではなく、現時点ではLTO10のスペックが技術的に可能ということですので、ご安心ください。

富士フイルムとしては、LTOよりもさらにスペックの高いエンタープライズ系の磁気テープを開発していて、そこで苦労した技術をLTOにも反映しています。大量生産という、エンタープライズ系にはないLTO特有の技術的な困難さはありますが、現在のLTO6でもロードマップのスペック以上の品質をお客様にご提供できています。

磁気テープが絶え間なく性能を高めているにも関わらず、昔のオープンリールテープやVHSテープの性能をイメージする人が多いのは残念です

 FF(江尻)

よくあるのは「管理が面倒なんでしょ」という話や、昔むかしの苦い経験から今なおテープは「切れる」「くっつく」と思っていらっしゃることです。テープの管理に関しては、最近はLTFS(Linear Tape File System)という機能があって、磁気テープ内のデータをHDDなどと同じようにファイルベースで直接扱えますし、また富士通様を含めストレージベンダーさんが階層管理の機能を搭載するようになり、昔のような面倒臭さは随分と解消されているのですが。

 FJ(橋本)

LTFSがLTO5からサポートされたことで、ついにテープがベンダーの専用ソフトウェアから解放されました。お客様にとっても使い勝手がよくなりますし、これはかなりの大きなメリットだと思います。

富士通:橋本氏 近影

 FF(江尻)

もう一つ、テープが「切れる」「くっつく」という話は、テープ材料の進化によって今のテープでは起こりません。磁性材料を塗布する際に使用するバインダー(接着剤)の安定性を大きく改善していますので、長期保存していても耐久性が落ちたり粘着したりといったことはありません。

 FJ(佐藤)

富士通:佐藤氏 近影

「巻き戻しの必要あるの?」とお客様に質問されたこともあります。

 FJ(高野)

「一年に一回くらい巻き戻さないとくっついちゃうでしょ」とかね。この時代になってもそういった誤解をしている方はたくさんいらっしゃるので、払拭していかないといけませんね。

 FF(野口)

2000年以降のテープシステムはテープそのものも非常に耐久性や保存性に優れていますし、ドライブメーカーさんがつくっているドライブそのものもテープにやさしい設計になっています。テープに対する不信感みたいなものをいまだにお持ちの方もいらっしゃいますが、エラーレートで言えば他の記録メディアと比較して磁気テープは著しく低いですし、寿命の点でも、ハードディスクの保証期間が2~3年と言われる中、テープは我々のテストで30年の長期保存が可能です。記録容量も、10センチ四方ほどのカートリッジテープの容量は、3.5インチハードディスクよりも今は大きくなっています。

 FJ(高野)

富士通では、テープカートリッジの交換やデータ記録の管理などを、人手を介さず自動化するテープライブラリを提供しており、運用管理コストも昔に比べるとかなり削減できます。

 FF(柴田)

もう一度お客様に、今のテープの価値や実態、それから将来をご理解いただくことも、技術開発と併せて大事だと考えています。残念ながら過去の技術だと思っていらっしゃるお客様も多くいらっしゃって、テープがどういう進化を遂げているかということを理解いただけていません。地道な活動になっていくとは思いますが、富士通様と一緒にそういうことにも取り組んでいけたらと思っています。

対談風景

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 テープが見直される理由

掲載日:2015年10月13日

製品情報

ETERNUS LT series 製品図 テープライブラリ
カートリッジテープ上のデータを暗号化し、情報の漏洩と機密情報の
改ざんを防止するセキュリティ・バックアップソリューションを提供

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