ONTAP 9.13

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IPspaceの使用例

ここでは、IPspaceの一般的な用途として、ストレージ サービス プロバイダー(SSP)が、その顧客のA社とB社をSSPのONTAPクラスタに接続する必要があり、両方の会社が同じプライベートIPアドレスの範囲を使用する場合を取り上げます。

SSPは、クラスタに顧客用のSVMを作成し、2つのSVMからA社のネットワークへの専用ネットワーク パス、別の2つのSVMからB社のネットワークへの専用ネットワーク パスを提供します。

次の図に、この導入形態を示します。これは、両社で非プライベートIPアドレスの範囲を使用する場合に機能します。しかし、図に示すように両社が同じプライベートIPアドレスの範囲を使用すると問題が発生します。

IPspaceの例

両社がプライベートIPアドレスのサブネット10.0.0.0を使用すると、次のような問題が起こります。

  • 両社がそれぞれのSVMに同じIPアドレスを使用した場合は、SSPにあるクラスタ内のSVMでIPアドレスの競合が発生します。

  • 両社がそれぞれのSVMに別々のIPアドレスを使用することにした場合でも、まだ問題は残ります。

  • たとえば、A社のネットワークのクライアントがB社のネットワークのクライアントと同じIPアドレスを持っている場合は、本来A社のアドレス スペースのクライアント宛てのパケットが、B社のアドレス スペースのクライアントにルーティングされる可能性があり、その逆も同様です。

  • 両社が互いに排他的なアドレス スペースを使用する(たとえば、A社がアドレス10.0.0.0とネットワーク マスク255.128.0.0を、B社がアドレス10.128.0.0とネットワーク マスク255.128.0.0を使用する)場合は、SSPがトラフィックをA社およびB社のネットワークに正しくルーティングするための静的ルートをクラスタに設定する必要があります。

  • しかし、この方法は拡張性がなく(静的ルートであるため)、安全でもありません(ブロードキャスト トラフィックがクラスタのすべてのインターフェイスに送信されるため)。この問題を解決するには、SSPが1社に1つずつ、2つのIPspaceをクラスタに定義する必要があります。トラフィックがIPspaceをまたがってルーティングされることはないので、すべてのSVMが10.0.0.0というアドレス スペースに設定されても、次の図に示すように、それぞれの会社のデータが該当するネットワークにセキュアーにルーティングされます。

IPspaceの例

また、さまざまな構成ファイル(/etc/ hosts/etc/hosts.equivthe /etc/rc ファイルなど)で参照されるIPアドレスは、そのIPspaceに対して相対的です。そのため、IPspaceを正しく使用すれば、SSPが複数のSVMの設定と認証データに同じIPアドレスを設定しても競合することはありません。

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