SnapMirror Business Continuity (SM-BC) では、整合性グループやONTAP Mediatorなどの機能を使用して、災害が発生した場合でもデータを確実にレプリケートして提供します。SM-BCの導入を計画するときは、SM-BCとそのアーキテクチャーの基本概念を理解することが重要です。

アーキテクチャー

次の図は、SM-BC環境の概要を示しています。

SnapMirror Business Continuityワークフロー

この図は、プライマリーデータセンターのStorage VM (SVM) でホストされているエンタープライズアプリケーションを示しています。SVMには5つのボリュームがあり、そのうち3つは整合性グループの一部です。整合性グループ内の3つのボリュームは、セカンダリーデータセンターにミラーリングされます。通常の状況では、すべての書き込み処理はプライマリーデータセンターに対して実行されます。実際には、このデータセンターがI/O処理のソースとして機能し、セカンダリーデータセンターがデスティネーションとして機能します。

プライマリーデータセンターで災害が発生した場合、ONTAP Mediatorはセカンダリーデータセンターをプライマリーとして動作させ、すべてのI/O処理を実行します。整合性グループでミラーされたボリュームのみが提供されます。SVM上の他の2つのボリュームに関する処理は、すべて災害の影響を受けます。

基本概念

次の用語を理解すると、SM-BCの導入に役立ちます。

整合性グループ

整合性グループはボリュームまたはLUNの集まりで、ビジネス継続性のために保護する必要があるアプリケーションワークロードについて、書き込み順序の整合性を保証します。整合性グループは、このデータ・セットのすべてのボリュームが静止し、同じ時点でスナップされることを保証し、そのデータ・セットのボリューム間でデータ整合性のあるリストア・ポイントを提供します。

SM-BCでは、レプリケーションおよびデータ保護用のプライマリーおよびセカンダリー整合性グループを作成します。セカンダリー整合性グループは、障害が発生した場合にデータを提供します。

整合性グループの詳細については、「整合性グループの概要」を参照してください。

構成

整合性グループの一部であり、SM-BC関係によって保護されている個々のボリュームまたはLUN。

ONTAP Mediator

ONTAPメディエータは、2つのONTAPクラスタを監視し、プライマリーストレージシステムに障害が発生した場合に備えてフェイルオーバーを調整します。ONTAP Mediatorを使用すると、アプリケーションはセカンダリーストレージシステム内のリソースに自動的に再接続します。

ONTAP Mediatorの健全性情報を使用すると、クラスタ間LIF障害とサイト障害を区別できます。サイトがダウンすると、ONTAP Mediatorは健全性情報をオンデマンドでピアクラスタに渡し、ピアクラスタのフェイルオーバーを容易にします。

ONTAP Mediatorの詳細については、こちらを参照してください。

計画的フェイルオーバー

SM-BC関係でのコピーの役割を変更する手動処理。プライマリーサイトがセカンダリーに、セカンダリーがプライマリーになります。

計画外のフェイルオーバー（AUFO）

ミラーコピーへのフェイルオーバーを実行する自動処理。この処理には、プライマリーコピーが使用できないことを検出するためにMediatorが必要です。

非同期（Out of Sync、OOS）

アプリケーションI/Oがセカンダリーストレージシステムにレプリケートされていない場合は、 out of sync と報告されます。out of sync状態は、セカンダリーボリュームがプライマリー (ソース) と同期されておらず、SnapMirrorレプリケーションが実行されていないことを示します。

ミラーの状態が Snapmirrored の場合は、転送の失敗またはサポートされていない操作による失敗を示します。

ゼロRPO

RPOとは、目標復旧時点 (Recovery Point Objective) の略で、特定の期間に許容可能とみなされるデータ損失の量です。ゼロRPOは、データ損失が許容されないことを示します。

ゼロRTO

RTOとは、目標復旧時間（Recovery Time Objective）の略で、システム停止や障害、またはその他のデータ損失イベントが発生した後、アプリケーションが通常の操作に戻るために許容できると見なされる時間です。ゼロRTOは、ダウンタイムが許容されないことを示します。