エコモード

エコモードとは、アクセスされる時間が限られているディスクに対し、一定期間ディスク回転を停止、またはディスクへの電源をオフにし、消費電力を削減する機能です。

回転稼働期間のスケジューリングは、RAIDグループおよびTPPごとに設定でき、バックアップなどの運用に合わせた設定も可能です。

図: エコモード

ETERNUS DXのエコモードは、Massive Arrays of Idle Disks(MAID)の特性である消費電力の削減に特化した機能です。ディスク停止中の動作状態は、「モーターを停止する」または「ドライブ電源を切る」の2種類のモードから選択できます。

対象となるディスクは、SASディスク、ニアラインSASディスクです。

以下のドライブは、エコモード対象外です。

  • グローバルホットスペア(専用ホットスペアは可能)

  • SSD(NVMe SSDおよびSAS SSD)

  • SSD SED(NVMe SSD SEDおよびSAS SSD SED)

以下のRAIDグループ、プールは、エコモードスケジュールを設定できません。

  • ボリュームが登録されていない

  • SSD(NVMe SSDまたはSAS SSD)で構成されている

  • SSD SED(NVMe SSD SEDまたはSAS SSD SED)で構成されている

  • ボリュームにストレージマイグレーションの移行経路が設定されているRAIDグループ

  • RECディスクバッファーとして登録されているRAIDグループ

  • Extreme Cache Poolとして登録されているRAIDグループ

  • 重複排除、圧縮機能、またはその両方が有効になっているTPP

  • FTSP

以下のRAIDグループにはエコモードスケジュールを設定できますが、ディスクのモーター停止および電源オフの対象にはなりません。

  • SDPVが登録されている

  • ODXバッファーボリュームが登録されている

稼働時間外のモーター停止期間にアクセスがあった場合は、直ちにモーターを回転させ、1~5分程度でアクセスを受け付けられる状態になります。

エコモード機能を使用するには、以下の方法があります。

  • スケジュール制御

    ETERNUS Web GUIまたはETERNUS CLIからエコモードスケジュールを設定することでディスクモーター制御を行います。稼働時間スケジュール設定/管理を、RAIDグループ、TPPごとに行います。

  • 外部アプリケーション制御(ソフト連携制御)

    ETERNUS SFソフトウェアからRAIDグループごとにディスクモーター制御を行います。

    サーバ側に搭載されるアプリケーションと連携し、アプリケーション側からの指示で、ディスクモーター制御を行います。連携可能なソフトウェアには以下のものがあります。

    • ETERNUS SF Storage Cruiser

    • ETERNUS SF AdvancedCopy Manager

エコモード機能は、階層ストレージ管理製品と組み合わせて利用することもできます。

階層ストレージ管理製品と組み合わせて利用する場合、エコモードスケジュール設定で稼働時間を設定する必要はありません。モーター停止状態のディスクへアクセスした時点でディスクが稼働します。

エコモードの仕様を以下の表に示します。

表: エコモードの仕様

項目

説明

備考

スケジュール登録数

64

1つのスケジュールにイベント(ディスク常時動作期間)を8つまで設定可能です。

ホストI/O監視時間(*1)

30分(デフォルト)

監視時間は10~60分の間で変更可能です。

本項目は、保守作業権限を持ったユーザーだけ変更できます。

ディスク停止回数(1日あたり)

25(デフォルト)

ディスク停止回数は1~25回の間で変更できます。

上限値を超えた場合、エコモードは実施されず、ディスク稼働は継続されます。

本項目は、保守作業権限を持ったユーザーだけ変更できます。

対象ドライブ

SASディスク(*2)

ニアラインSASディスク(*2)

SSDおよびSSD SEDは対象外です。

*1

一定時間ディスクへのアクセスがないことを確認し停止するまでの監視時間です。

*2

自己暗号化ドライブ(SED)も含みます。

Caution
  • RAIDグループへのエコモードスケジュール設定は、ETERNUS Web GUI、ETERNUS CLI、ETERNUS SF Storage Cruiser、またはETERNUS SF AdvancedCopy Managerで行ってください。ただし、ETERNUS Web GUI、ETERNUS CLIで設定したスケジュールと、ETERNUS SF Storage CruiserまたはETERNUS SF AdvancedCopy Managerで設定したスケジュールは共有できないため、RAIDグループごとに制御するソフトウェアは1つにしてください。

  • TPPへのエコモードスケジュール設定は、ETERNUS Web GUI、ETERNUS CLIから実行してください。ETERNUS SF Storage CruiserまたはETERNUS SF AdvancedCopy Managerからは設定できません。

  • WSVを構成するRAIDグループには、すべて同じエコモードスケジュールを設定してください。エコモードスケジュールが異なると、ホストからアクセスが発生したときに停止しているディスクの起動処理のため、レスポンスが低下するおそれがあります。

  • エコモードスケジュールは、ETERNUS DXの日付時刻に従って実行されます。スケジュールどおりにモーター停止/起動させるために、ETERNUS Web GUI の日付時刻設定で、Network Time Protocol(NTP)サーバを使用して時刻を自動調整するように設定してください。

  • 同一ドライブエンクロージャ内に対象となるディスク数が多くなると、すべてのドライブを同時に稼働開始できないため、稼働に時間(1~5分程度)がかかる場合があります。

  • エコモードスケジュールによりディスクのモーター停止/起動を繰り返しても、モーター常時起動と比較して故障率に影響はありません。

  • サーバOSやソフトウェアが定期的に装置をアクセスする環境の場合、エコモードが有効でもディスクのモーター停止および電源オフしないことがあります。

Note

ディスクの稼働時間は、エコモードスケジュールとディスクアクセスによって変わります。

  • 稼働時間外にディスクアクセスがあった場合は、直ちにディスクを稼働させ、1~5分程度でアクセスを受け付けられる状態になります。ディスクへのアクセスが一定時間ない場合、ディスクのモーターを停止します。

  • 停止時間帯でのアクセスを含め、1日あたりの稼働開始回数が一定数を超えると、エコモードは実行されず、ディスクの稼働を継続させます。

    (例1)ETERNUS Web GUIからのスケジュール設定

    稼働時間9:00~21:00設定で、稼働時間外にアクセスがない場合

    (例2)ETERNUS Web GUIからのスケジュール設定

    稼働時間9:00~21:00設定で、稼働時間外にアクセスがあった場合