重複排除/圧縮
重複排除/圧縮機能は、サーバからの書き込みデータに対して8KBごとにデータ重複を解析し、重複するデータは一度だけ書き込みます。以降の重複データは書き込みを行わずに既存データを参照させることで、総書き込み容量を削減することができます。また、圧縮機能により、さらなるデータ削減を実現しています。
重複排除/圧縮機能では、重複排除と圧縮を同時に行うだけでなく、重複排除のみ、または圧縮のみを行うことも可能です。
重複排除/圧縮機能と重複排除機能、および圧縮機能のそれぞれの概要を以下に示します。
重複排除/圧縮機能
重複するデータブロックを排除後に、データブロックを圧縮し、データを格納します。
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重複排除機能
重複するデータブロックを排除し、データを格納します。
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圧縮機能
各データブロックを圧縮し、データを格納します。
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重複排除/圧縮の機能仕様を以下の表に示します。
モデル |
ETERNUS DX600 S6 |
|
---|---|---|
重複排除/圧縮設定可能TPP数 |
8 |
|
重複排除/圧縮対象にできる最大論理容量 |
DATA_CNTNRボリュームの10倍まで(*1) |
|
DATA_CNTNRボリュームの最大論理容量(*2) |
チャンクサイズが21MBの場合 |
1,536TB |
チャンクサイズが1,344MBの場合 |
48PB |
|
ボリュームタイプ |
TPV |
○ |
Standard / FTV / WSV / SDV / SDPV / VVOL / ODX |
× |
|
システムメモリ容量(CEあたり) |
128GB以上 |
*1 | : | Deduplication/Compressionボリューム作成時および容量拡張時に、Deduplication/Compressionボリュームの総容量に応じてDATA_CNTNRボリュームの容量を拡張してください。Deduplication/Compressionボリュームの総容量は、重複排除/圧縮機能の効果が見積もれない場合、DATA_CNTNRボリュームの論理容量未満にすることを推奨します。 |
*2 | : | 重複排除/圧縮機能では、DATA_CNTNRボリューム容量以上のDeduplication/Compressionボリュームを作成することが可能です。そのため、重複排除/圧縮の効果が見込めない環境では、Deduplication/Compressionボリュームに書き込むときにDATA_CNTNRボリューム容量の枯渇が原因で、書き込みに失敗することがあります。DATA_CNTNRボリュームの論理容量の初期値は、32TBです。 なお、DATA_CNTNRボリューム容量が枯渇寸前または枯渇した場合は、SNMPトラップ、メール、または Syslogが通知されます。通知方法は、「イベント通知設定」機能で設定します。通知対象のイベントは、「シン・プロビジョニングプールの使用割合遷移」です。詳細は、『Web GUI ユーザーズガイド』を参照してください。 |
モデル |
ETERNUS DX900 S6, ETERNUS DX8900 S6 |
|
---|---|---|
圧縮設定可能TPP数 |
8 |
|
圧縮対象にできる最大論理容量 |
DATA_CNTNRボリュームの10倍まで(*1) |
|
DATA_CNTNRボリュームの最大論理容量(*2) |
チャンクサイズが21MBの場合 |
8PB |
チャンクサイズが1,344MBの場合 |
48PB |
|
ボリュームタイプ |
TPV |
○ |
Standard / FTV / WSV / SDV / SDPV / VVOL / ODX |
× |
|
システムメモリ容量(CEあたり) |
1,024GB以上 |
*1 | : | Compressionボリューム作成時および容量拡張時に、Compressionボリュームの総容量に応じてDATA_CNTNRボリュームの容量を拡張してください。Compressionボリュームの総容量は、圧縮機能の効果が見積もれない場合、DATA_CNTNRボリュームの論理容量未満にすることを推奨します。 |
*2 | : | 圧縮機能では、DATA_CNTNRボリューム容量以上のCompressionボリュームを作成することが可能です。そのため、圧縮の効果が見込めない環境では、Compressionボリュームに書き込むときにDATA_CNTNRボリューム容量の枯渇が原因で、書き込みに失敗することがあります。DATA_CNTNRボリュームの論理容量の初期値は、32TBです。 なお、DATA_CNTNRボリューム容量が枯渇寸前または枯渇した場合は、SNMPトラップ、メール、または Syslogが通知されます。通知方法は、「イベント通知設定」機能で設定します。通知対象のイベントは、「シン・プロビジョニングプールの使用割合遷移」です。詳細は、『Web GUI ユーザーズガイド』を参照してください。 |
重複排除/圧縮機能使用時の性能
ETERNUS DXではサーバからのI/Oと同期してデータの重複排除/圧縮を行います。
ランダムアクセスが行われる環境での利用を推奨します。Deduplication/Compressionボリュームは、追記型の書き込みを行うため、データが不連続に格納されます。
I/Oレスポンスは、重複排除/圧縮機能を無効にしている場合に比べて、大幅に低下することがあります。
I/Oサイズが32KB以下で発行される環境での利用を推奨します。重複排除/圧縮は8KB単位で実施するため、I/Oサイズが大きな環境では性能に影響があります。
I/OサイズおよびI/Oアドレスの境界が8KBではない場合、ETERNUS DX内部で8KBに満たない部分を読み込むため、性能に影響があります。
重複排除/圧縮対象ボリューム(Deduplication/Compressionボリューム)に対しI/Oを行うと、CPU使用率が増加します。重複排除/圧縮非対象ボリュームの性能にも影響を及ぼすことがあります。
重複排除/圧縮によるデータ削減処理を制御するコントローラーをデータ削減処理CMと呼びます。Deduplication/Compressionボリュームに割り当てられているデータ削減処理CMを変更することで、データ削減処理で使用するメモリの平準化およびCMの負荷分散ができます。
重複排除/圧縮機能を有効にすると、性能が低下する場合があります。
以下のボリュームには、重複排除/圧縮機能の使用は推奨しません。
性能を重視するデータを格納するボリューム
SSD以外のドライブを使用しているボリューム
バッチ系処理(シーケンシャルアクセス)では、ドライブに対するアクセスが離散したり、大量の参照/更新が発生したりするため、性能が大幅に劣化します。シーケンシャルアクセスが行われる環境では、重複排除/圧縮機能の使用は推奨しません。
動画データなどの重複または圧縮が見込めないデータを格納するボリュームを重複排除/圧縮対象ボリュームにすると、重複排除/圧縮機能は性能面および容量面でデメリットになります。重複排除のみ、または圧縮のみ機能を有効にして使用してください。
設定方法
重複排除/圧縮機能の有効化
ETERNUS Web GUIまたはETERNUS CLIからTPPの重複排除/圧縮機能を有効にします。重複排除/圧縮機能の有効だけでなく、重複排除機能のみを有効、または圧縮機能のみを有効にすることも可能です。
重複排除/圧縮機能の有効化は、以下のいずれかの方法で行います。
表: 重複排除/圧縮機能の有効化方法 TPPの状態
チャンクサイズ(*1)
作成方法
新規にTPPを作成(推奨)
21MB
TPP作成時、自動モードを選択して、重複排除/圧縮機能のオプションを指定し、重複排除/圧縮機能を有効にする
21MB(デフォルト値)~1,344MB(*2)
TPP作成時、手動モードを選択して、重複排除/圧縮機能のオプションを指定し、重複排除/圧縮機能を有効にする
作成されているTPPに設定
21MB~1,344MB(*3)
TPPを選択し、重複排除/圧縮機能を有効にする(*4)
*1 : チャンクサイズの値は、TPPの一覧表示で確認できます。
*2 : チャンクサイズの変更は、最大プール容量が選択されていた場合だけ実行可能です。高度な設定からチャンクサイズ(21MB~1,344MB)を選択してください。通常は、初期値(21MB)を変更する必要はありません。
*3 : TPP作成時のチャンクサイズ(21MB~1,344MB)を維持します。21MB以外のTPPでも重複排除/圧縮機能を有効にできます。
*4 : TPPで重複排除/圧縮機能を有効または無効にする際に、装置に対してI/O負荷がある状態では、設定に時間がかかる場合があります。I/O負荷がある場合は、1 TPPずつ重複排除/圧縮機能の設定を変更することを推奨します。
Caution重複排除/圧縮機能が有効のTPPの場合、チャンクサイズが大きくなるにつれて物理容量の使用効率が悪化します。そのため、シン・プロビジョニングの容量に十分な余裕がある場合は、チャンクサイズが大きくなるようなシン・プロビジョニングの最大容量設定の変更を実施しないことを推奨します。
重複排除/圧縮機能の設定方法
重複排除/圧縮機能を有効にしたTPPを選択し、TPP内にDeduplication/Compressionボリューム(TPV)を作成します。
TPVごとに重複排除/圧縮機能を有効にするかどうかを指定します。1つのTPP内に重複排除/圧縮機能が有効のTPV(Deduplication/Compressionボリューム)と無効のTPVを混在できます。ただし、混在時はTPPを分けることを推奨します。
重複排除は、同一TPP内のDeduplication/Compressionボリュームに対して行います。異なるTPP内のデータに対して、重複排除は行いません。また、同一TPP内であっても、重複排除が行われない場合があります。
既存のボリュームに対して重複排除/圧縮機能を有効にしたい場合は、RAIDマイグレーション機能を使用します。
「Deduplication」および「Compression」の選択状態によって作成されるボリューム、およびボリュームを作成可能な作成先TPPのDeduplication/Compression設定は異なります。
作成されるボリューム
表: 「Deduplication」および「Compression」の選択状態によって作成されるボリューム 選択条件
作成されるボリューム
Deduplication
Compression
有効にする
有効にする
DeduplicationおよびCompressionの両方が有効なDeduplication/Compressionボリューム
有効にする
無効にする
Deduplicationだけが有効なDeduplication/Compressionボリューム
無効にする
有効にする
Compressionだけが有効なDeduplication/Compressionボリューム
無効にする
無効にする
DeduplicationおよびCompressionが両方とも無効なSAN用TPV
ボリュームを作成可能な作成先TPPのDeduplication/Compression設定
表: 「Deduplication」および「Compression」の選択状態によってボリュームを作成可能な作成先TPPのDeduplication/Compression設定 選択条件
作成先TPPのDeduplication/Compression設定
Deduplication
Compression
Deduplicationだけ有効
Compressionだけ有効
DeduplicationおよびCompressionの両方が有効
DeduplicationおよびCompressionの両方が無効
有効にする
有効にする
×
×
○
×
有効にする
無効にする
○
×
×
×
無効にする
有効にする
×
○
×
×
無効にする
無効にする
○
○
○
○
○:作成可能、×:作成不可
重複排除/圧縮機能を有効にしたTPPは、重複排除/圧縮、重複排除のみ、圧縮のみのいずれかの属性を持ちます。Deduplication/Compressionボリュームは、ボリュームが作成されたTPPの属性に準じます。なお、それぞれのTPPに重複排除/圧縮機能が無効のTPVを混在できます。
Deduplication/Compressionシステムボリューム
重複排除/圧縮機能を有効にしたTPPごとに、DATA_CNTNRボリュームが1個作成されます。
DATA_CNTNRボリュームは、最大プール容量の範囲内で作成されるため、TPPの重複排除/圧縮機能を有効にする前に残りの領域が不足していないか確認してください。
DATA_CNTNRボリュームに重複排除/圧縮後のデータが格納されるため、TPPの使用率やDATA_CNTNRボリュームの使用率が100%になる前に、TPPのRAIDグループ追加またはDATA_CNTNRボリュームの容量拡張を実施してください。
DATA_CNTNRボリュームは、最大プール容量を超える容量拡張はできません。DATA_CNTNRボリュームの容量が最大プール容量を超えそうな場合は、RAIDマイグレーション機能を使用してTPP内の重複排除/圧縮対象ボリューム(Deduplication/Compressionボリューム)を、重複排除/圧縮非対象ボリューム(TPV)または別のTPPに移動してください。DATA_CNTNRボリュームの最大論理容量については、表: 重複排除/圧縮機能仕様(ETERNUS DX600 S6)または表: 圧縮機能仕様(ETERNUS DX900 S6, ETERNUS DX8900 S6)を参照してください。
重複排除/圧縮後のデータとは別に、DATA_CNTNRボリュームに制御情報が書き込まれます。制御情報として使用される物理容量は、最大4GBの固定容量とサーバからの書き込み容量に応じた可変容量(1~15%)の合計です。
Deduplication/Compressionボリューム
Deduplication/Compressionボリュームは、追記型の書き込みを行うため、一時的に書き込んだ論理容量以上に物理容量が大きくなることがあります。I/O負荷が高い場合、物理容量が枯渇するおそれがあります。物理容量は、定期的に監視したりSNMP通知を有効にする運用を推奨します。
また、通常のTPVと同様に、サーバから使用されていない領域に物理割り当てがされている場合、サーバから認識される使用済み領域と、実際の物理割り当て済み領域とで、大きさが異なることがあります。
この場合、以下のどちらかの領域解放操作を実施してください。
サーバから領域解放コマンド(UNMAP)を発行して使用していない領域を解放する。
UNMAPの発行方法については、各サーバ/OSのマニュアルを参照してください。
使用していない領域に0データを書き込んだ後、DATA_CNTNRボリュームに対して「TPV / FTV容量最適化」を実施する。
詳細は、TPV / FTV容量最適化を参照してください。
領域解放コマンド(UNMAP)の発行または容量最適化のあと、領域解放処理が順次動作するため、実際に物理割り当て済み領域が解放されるまでに時間がかかる場合があります。
装置状態やI/O負荷、解放された領域のデータが重複データかどうかなどの要因により、領域解放操作を行っても物理割り当て済み領域が完全には解放されない場合があります。
コントローラーの故障時、ファームウェアのアップデート中、または停電時に、一時的に重複排除率が低下することがあります。
TPPを構成するRAIDグループに異常、DATA_CNTNRボリュームに不良セクタが発生すると、TPP内のすべてのDeduplication/Compressionボリュームのデータが削除されるおそれがあります。
機能詳細
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重複排除/圧縮対象ボリューム(Deduplication/Compressionボリューム)に対しアドバンスト・コピーを利用する場合は、以下に留意してください。
EC / OPCの速度設定により、CPU使用率が上昇する場合があります。I/O性能の低下に注意してください。
重複排除/圧縮非対象ボリューム(TPV)の場合と比較して、コピー性能が大幅に低下することがあります。
筐体間コピーを使用する場合、コピー先には重複排除/圧縮されていないデータが送信されます。また、リモート回線の回線帯域を使いきれない場合があります。
Deduplication/Compressionボリュームの操作
重複排除/圧縮に関連するボリュームの操作対象機能を以下の表に示します。
機能 |
Deduplication/Compressionボリューム |
DATA_CNTNRボリューム |
---|---|---|
作成 |
○ |
×(*1) |
削除 |
○ |
×(*2) |
名前変更 |
○ |
× |
フォーマット |
○ |
○ |
TPV容量拡張 |
○ |
○ |
RAIDマイグレーション |
○ |
× |
平準化 |
× |
× |
TPV / FTV容量最適化 |
× |
○ |
閾値設定 |
○ |
× |
Allocation設定 |
× |
× |
ボリューム暗号化(*3) |
○ |
× |
アドバンスト・コピー機能(ローカルコピー) |
○ |
× |
アドバンスト・コピー機能(リモートコピー) |
○ |
× |
コピー動作保護 |
○ |
× |
リザベーション解除 |
○ |
× |
性能情報取得 |
○ |
× |
ALUA設定 |
○ |
× |
キャッシュパラメーター設定 |
× |
○ |
LUNマッピング |
○ |
× |
QoS |
○ |
× |
ODXバッファーボリューム作成 |
× |
× |
ストレージマイグレーション |
○ |
× |
無停止ストレージマイグレーション |
○ |
× |
Storage Cluster |
× |
× |
Extreme Cache Pool |
× |
○ |
Veeam Storage Integration |
× |
× |
*1 | : | TPPで重複排除/圧縮機能を有効にしたときに、自動的に作成されます。 |
*2 | : | TPPで重複排除/圧縮機能を無効にしたときに、自動的に削除されます。 |
*3 | : | 暗号化は、暗号化されたプール内にボリュームを作成するか、または暗号化プールへマイグレーションすることによって変換が可能です。 |