Storage Cluster
Storage Clusterは、2台のETERNUS DXを二重化構成で接続し、Primaryストレージがダウンした場合でも、Secondaryストレージに運用を切り替えて業務の継続を可能にする機能です。重度の故障や予期せぬトラブルによって装置が異常状態に陥った場合に、サーバからのアクセスを無停止で業務を継続できます。
業務サーバからアクセスしているボリュームは、ETERNUS DXの切り替え前後で同じドライブおよびマウントポイントとしてアクセスできます。切り替え後も業務からは透過的なアクセスが可能です。また、ボリュームの再割り当てやマウントポイントの切り替えなどの作業は必要ありません。
Storage Clusterの対象はTFOグループ(*1)単位で設定します。対象ボリュームは、筐体間ミラーでペア関係が構成されます。
Storage Clusterには、Active/Standby(A/S)とActive/Active(A/A)の2つの動作モ-ドがあります。TFOグループを作成時に動作モードを選択します。動作モードは変更できません。初期状態は、A/Sモードです。
運用中にフェイルオーバが発生すると、各モードに従い動作します。
A/Sモードの場合
PrimaryストレージのCAポートがリンクダウンし、Secondaryストレージが情報を引き継ぎCAポートをリンクアップします。自動切り替えには最大10秒の時間が必要ですが、サーバのリトライI/Oで業務継続が可能です。
A/Aモードの場合
PrimaryストレージのCAポートがリンクダウンし、SecondarストレージのCAポートでI/Oアクセスを継続します。
装置内でA/SモードのTFOグループとA/AモードのTFOグループは混在できます。しかし、ペア状態のPrimaryストレージのTFOグループとSecondarストレージのTFOグループでは、異なる動作モードは使用できません。
Storage Clusterを使用するには、ETERNUS SF Storage Cruiser Storage Clusterオプションが必要です。
*1 | : | Storage Clusterの対象となるボリューム(TFOV)をまとめたグループのことです。 |
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Storage Clusterの設定では、TFOグループを作成し、グループごとに接続構成やポリシーなどの情報を指定します。
TFOVは、PrimaryストレージとSecondaryストレージでペア関係が作成され、筐体間ミラーによって同一の状態を保ちます。筐体間ミラーには同期型のリモートコピー技術を利用しているため、Storage Cluster固有の設定以外に、コピー経路などの設定も必要となります。
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TFOV
Transparent Failover Volume(TFOV)は、Storage Clusterの設定が行われたボリュームです。フェイルオーバ時にもサーバからアクセスが可能となります。
TFOグループ
Transparent Failover(TFO)グループとは、1台の装置上でのフェイルオーバの動作単位であり、そのグループごとにStorage Clusterのフェイルオーバが行われます。
TFOグループには、業務サーバからアクセスできる状態を示す「Active」と、業務サーバからアクセスできない状態を示す「Standby」があります。
CAポートペア
Storage Cluster機能は、FCの場合はWWPN / WWNNを、iSCSIの場合はIPアドレスとiSCSIネームを、2台のETERNUS DXのCAポートで共有して、各CAポートのLink状態を制御することでフェイルオーバを実現します。
このWWPN / WWNNまたはIPアドレス/iSCSIネームを共有したCAポートの1組をCAポートペアと呼びます。
CautionStorage Cluster機能のA/Aモードには、以下の制限があります。
ホストインターフェースは、FCだけ使用可能です。iSCSIは使用できません。
ホストはVMwareだけ接続可能です。
VMFSだけをサポートし、RDMはサポートしません。なお、VMFSのロックメカニズムはATSだけサポートします。
以下のボリュームは、Storage Clusterでは使用できません。
FTV
LUNコンカチネーションを使用して連結したボリューム
A/Aモードであっても、コピー経路が閉塞した時や初期コピー中は、データの等価性保持のため、Primary/SecondaryどちらかのTFOグループがStandby(FCポートがLink Down)状態になります。
NoteA/SモードでiSCSIを使用し、CAポートペアのIPアドレスを別にする場合は、PrimaryストレージとSecondaryストレージでパスを認識させるため、一度手動でフェイルオーバおよびフェイルバックを行う必要があります。
Storage Clusterの機能仕様を以下の表に示します。
項目 |
仕様 |
||
---|---|---|---|
A/Sモード |
A/Aモード |
||
接続筐体数 |
1 |
||
業務サーバ接続 |
スイッチ接続のみ |
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ホストインターフェース |
FC |
○ |
|
iSCSI |
○ |
× |
|
コピー経路(筐体間接続) |
直接接続、遠隔接続 |
||
最大設定可能容量(装置あたり) |
8,192TB(ETERNUS DX600 S6) 16,384TB(ETERNUS DX900 S6, ETERNUS DX8900 S6) |
||
最大TFOグループ数(装置あたり) |
32 |
||
フェイルオーバ |
自動 |
○ |
|
手動 |
○ |
||
フェイルバック |
自動 |
○ |
|
手動 |
○ |
||
自動フェイルオーバ契機 |
装置故障 |
○ |
|
停電/シャットダウン |
○ |
||
RAID故障/RAID閉塞 |
○ |
||
CAポートリンクダウン |
○ |
||
Storage Clusterコンティニュアスコピー(*1) |
○ |
× |
○:可能 ×:不可能
*1 | : | Storage Clusterコンティニュアスコピーは、PrimaryストレージとSecondaryストレージで同時にコピーを行うことで、両ストレージで整合性のとれた状態にするETERNUS DXの機能です。TFOVからTFOVへのアドバンスト・コピーが動作することで実現します。 |
PrimaryストレージとSecondaryストレージは、同じETERNUS DX S6 series(*1)のストレージシステムであることが必要です。異なるETERNUS DXシリーズのストレージシステム間でStorage Clusterを使用する場合は、担当営業にお問い合わせください。
A/Sモードの場合、Primaryストレージの故障やRAID故障が発生して、PrimaryストレージからSecondaryストレージへ切り替わる間(最大で10秒間)、PrimaryストレージおよびSecondaryストレージにはアクセスできません。そのため、業務アプリケーションでは最大10秒間 I/Oの応答がないことを許容できる必要があります。
Storage Clusterでは通常運用時、PrimaryストレージとSecondaryストレージ間でデータのミラーリングを行います。サーバからPrimaryストレージへWriteが行われると、Secondaryストレージへデータを転送し、転送完了後にサーバへWriteの完了応答を返します。そのため、Storage Clusterを導入した場合、導入していない環境と比較してWrite時のレスポンスが劣化します。
TFOV間のアドバンスト・コピーは、OPC / QuickOPCを使用することを推奨します。なお、A/Aモードの場合、TFOV間のアドバンスト・コピーは、未サポートです。
A/AモードのTFOVの場合、ACMやVSSHPを利用したアドバンスト・コピーはできません。
A/SモードでiSCSI構成を利用した環境では、フェイルオーバおよびフェイルバックに要するストレージの切り替え時間に約30~120秒かかります。サーバのI/Oの再起動が必要な場合があります。
A/Sモードの場合、業務サーバ接続インターフェースはFCおよびiSCSI(混在不可)で、接続形態はスイッチ接続をサポートします。
Deduplication/Compressionボリューム(ETERNUS DX900 S6, ETERNUS DX8900 S6は、Compressionボリューム)は、Storage Clusterで使用できません。
*1 | : | ETERNUS DX S6 seriesとは、ETERNUS DX600 S6/DX900 S6, ETERNUS DX8900 S6のことです。 |