REC(非同期Consistencyモード)を使用したリモート筐体へのミラーVolumeの作成

非同期ConsistencyモードのREC機能を使用して、リモート筐体に業務VolumeのミラーVolume(業務Volumeと同じデータを持つVolume)を作成する運用を記載します。非同期ConsistencyモードのREC Sessionがある業務Volumeに対してデータ書き込みを行った場合、データ書き込み完了を応答したあとに非同期でミラーVolumeにデータを転送します。業務Volumeへのデータ書き込み順序とミラーVolumeへのデータ転送の順序が同一になるように、定期的なデータ転送を実施することで、ミラーVolumeのデータは業務Volumeの数秒~数分前のデータと同一になります。また、データの転送を業務Volumeへのデータ書き込みとは非同期で行うため、業務Volumeへのレスポンス性能の劣化を抑えることができます。

注意
  • 非同期ConsistencyモードのREC Sessionを作成するには、RECバッファー(順序性保証を行うための専用のバッファー)を事前に設定しておく必要があります。また、業務Volumeへのデータ更新量が、コピー経路の回線帯域を上回ると、RECバッファーが枯渇する可能性があります。RECバッファーの枯渇を回避するために、RECディスクバッファーが利用可能です。

  • コピー経路の回線帯域が小さい場合、または業務Volumeの更新量が多い場合は、非同期StackモードのREC Sessionによるバックアップ運用を検討してください。

  • ミラーVolumeへのデータ転送は非同期で行われるため、RPO (Recovery Point Objective) は数秒から数分程度になります。RPOを0にしたい場合は、同期モードのREC Sessionによるバックアップ運用を検討してください。

運用で使用するRESTful APIとサンプルスクリプト

  • 準備

    リモート筐体に業務Volumeと同じサイズのVolumeを作成し、業務Volumeと作成したVolumeの間にREC Session(非同期Consistencyモード)を作成します。rec_consistency_create.pyを使用してください。

  • 運用

    必要な作業はありません。REC Session作成後の初期コピーが完了したあと、業務Volumeに書き込まれた更新データは、定期的に順序性を保証しつつミラーVolumeに転送されます。

    RECバッファーHaltを抑止するために、一時的に転送モードをStackに切り替えたい場合は、PATCH /copysession/{copysession_id} APIを使用できます。

  • リストア

    ミラーVolumeから業務Volumeのデータをリストアする場合、必要に応じてコピー経路の復旧やRAID Groupの復旧を行ったうえで、REC Sessionを反転させてリモート筐体からローカル筐体にデータを転送します。REC Sessionの反転については、rec_sync_consis_recover.pyが使用できます。また、反転する前に、ローカル筐体には受信用の、リモート筐体には送信用のRECバッファーの設定が必要です。

  • 削除

    ミラーVolumeを削除する場合、REC Sessionを強制削除してから、コピー先Volumeを削除してください。Copy Sessionの強制削除は、DELETE /copysession/{copysession_id} APIを使用します。Volume削除は、DELETE /volume APIを使用します。詳細は、Copy Sessionの削除および複数Volumeの削除を参照してください。

    REC Sessionのみ削除し、ミラーVolumeはリモート筐体で引き続き使用する場合は、REC Sessionのみを削除します。非同期ConsistencyモードのREC Sessionは、DELETE /copysession/{copysesion_id} APIを使用して削除することはできません。copysession_delete.pyを使用してください。

注意事項

  • 業務Volumeの更新が多い場合、データ転送処理を優先するために業務Volumeのレスポンス性能が劣化することがあります。

    業務Volumeの更新過多やコピー経路不安定などの理由により、RECバッファーが枯渇して新たな転送データを保持できなくなった場合、サーバへの応答を一定時間以上遅らせないために、データ転送処理を中断します。この場合、一時的にREC Sessionの状態がHaltに遷移します(RECバッファーHalt)。RECバッファーHaltは、Recovery ModeをAutomaticにしていれば、数分後に自動でデータ転送を再開しますが、RECバッファーHalt中に書き込まれたデータについては、順序保証ができなくなります。慢性的にレスポンス性能の劣化やRECバッファーHaltが発生する場合は、環境の見直しが必要です。

  • 業務Volumeの更新量の一時的な増加やコピー経路の一時不安定によるRECバッファーの枯渇を抑止するため、RECディスクバッファーの導入を検討してください。

    設定方法の詳細は、『Web GUI ユーザーズガイド』の「RECディスクバッファー割当」を参照してください。