Storage Migration開始

概要

Storage Migration 設定ファイルを読み込み、マイグレーションを開始します。

Storage Migration とは、ほかのストレージ装置(移行元)と本装置(移行先)を接続して、データを移行する機能です。 サーバの機種やOSに依存することなく、またサーバのリソースを使用することなくデータを移行できます。

  • データ移行はボリューム単位で実行します。

  • データ移行元装置数は最大16です。

  • データ移行経路数は移行元装置あたり最大8です。

  • データ移行LUN数は移行経路あたり最大512です。

  • データ移行には、オンライン方式とオフライン方式があります。

オンライン方式およびオフライン方式の Storage Migration(以降、「Storage Migration」と呼ぶ)では、一時的に業務の停止が必要です。業務を停止することなく Storage Migration を行う場合は、無停止ストレージマイグレーション機能を使用してください。詳細は、「無停止ストレージマイグレーションライセンス登録」を参照してください。

Storage Migration では、移行元装置、移行先装置およびボリュームに以下の条件があります。

移行元装置と移行元LUNの条件

  • ホストインターフェースにFCがあること

  • 装置状態が正常であること

  • 移行元LUNはホストから参照可能なタイプであること (Standard, TPV, SDV など)

  • すでに Storage Migration が起動されていないこと

移行先装置と移行先ボリュームの条件

  • ホストインターフェースにFCがあること

  • 装置状態が正常であること

  • 移行に使用するCAポートが正常であること

  • 移行先ボリュームが正常であること

    (移行先ボリュームのステータスが「Readying」、「Partially Exposed」、「Exposed」、「Not Ready」、「Broken」、「Data Lost」、および「Unknown」のいずれでもないこと)

  • 移行先ボリュームのタイプが「Standard」、「WSV」、「TPV」または「FTV」であること

  • 以下の場合、移行先装置または移行先ボリュームに設定できません。
    • 移行先装置で活性コントローラーファームウェア適用中

    • 移行先がODXバッファーボリューム

    • 移行先がデータコンテナボリューム

    • 移行先が外部ボリューム

    • 移行先ボリュームが属するRAIDグループにエコモードスケジュールが設定されている

    • 移行先ボリュームが属するTPP (Thin Provisioning Pool) にエコモードスケジュールが設定されている

    • 移行先ボリュームがRAIDマイグレーション元/先に設定されている (*1)

    • 移行先ボリュームが所属するRAIDグループが容量拡張中

    • 移行先ボリュームが暗号化中

    • 移行先ボリュームが容量拡張中

    • 移行先ボリュームがほかの Storage Migrationの移行先に指定されている

    • 移行先ボリュームにミラーリング予約属性 (*2) が付加されている

    • 移行先ボリュームがVirtual Volume機能で使用されている

    • 移行先ボリュームにアドバンスト・コピーまたはXCOPYセッション が設定されている (*3)

    • 移行先ボリュームでFlexible Tier によるマイグレーションが動作している (*1)

    • 移行先ボリュームで容量最適化が動作している (*1)

      *1  :  オペレーションモードが「Migration & Host IO」の場合、移行ステータスが「Stop」になります。動作完了後、手動でデータ移行を再開してください。
      *2  :  Dynamic LUN Mirroring 機能により、RECのコピー先として作成中のボリュームに設定される属性です。この属性を持つボリュームは、作成に失敗して装置に残ってしまった可能性があります。ミラーリング予約属性を付加されたボリュームは、[ ボリューム ] 画面の「コピー動作保護」で確認できます。詳細は「ボリューム(基本情報)」を参照してください。
      *3  :  オペレーションモードが「Migration & Host IO」の場合、移行ステータスが「Stop」になります。コピーセッションを削除後、手動でデータ移行を再開してください。

移行先ボリュームと移行元LUNの条件

  • 移行先ボリュームの容量が移行元LUNの容量以上であること

    ただし、オペレーションモードが「Migration & Host IO」の場合は、移行先ボリュームと移行元LUNを同容量にしてください。

Caution
  • Storage Migration では、移行元LUNへのホストアクセスを停止してください。

  • オペレーションモードにより、移行先ボリュームのホストアクセス停止条件が異なります。
    • 「Migration & Host IO」の場合、移行開始後は移行先ボリュームのホストアクセスを停止する必要はありません。

    • 「Migration」、「Migration + Quick Compare」、または「Quick Compare」の場合、移行先ボリュームのホストアクセスを停止してください。

    • 「Migration + Full Compare」または「Full Compare」の場合、移行先装置の全ボリュームへのホストアクセスを停止してください。

  • コピーセッションのあるボリュームを移行元および移行先に指定しないでください。

  • フォーマット中のボリュームを移行元に指定しないでください。

  • 移行先装置で「RAIDグループ診断開始」または「ディスク診断開始」を実行しないでください。

  • オペレーションモードに「Migration + Full Compare」または「Full Compare」を指定した場合、データ移行の数倍の時間が必要な場合があります。

Note
Storage Migration 機能によるデータ移行作業の流れ

Storage Migration作業の主な流れは以下のとおりです。

実施にあたり、ホスト環境の確認と保存が必要です。実施に際しては、システム管理者に依頼してください。

  1. 事前準備作業

    1. 移行後にも同じホスト環境で装置を使用するために、ホスト環境を確認し、保存します。

    2. 移行元装置と移行先装置の状態を確認し、未報告のセンス情報をクリアします (*1)。

    3. マルチパスでデータ移行を行う場合は、移行元装置で移行に使用する複数のFCポートから同じアフィニティグループ(LUNグループ)がアクセスできるように設定します。

    4. 移行先装置に移行先ボリュームを作成します。または、移行先ボリュームとして使用する既存ボリュームをフォーマットします。

  2. Storage Migration 設定ファイルの雛形をダウンロードします(「テンプレートファイルダウンロード」を参照)。

  3. Storage Migration 設定ファイルを作成します。詳細はStorage Migration 設定ファイルのテンプレートを参照してください。

  4. 移行元LUNへのホストアクセスを停止します。

  5. 移行先ボリュームへのホストアクセスを停止します。

    ただし、オペレーションモードが「Migration + Full Compare」または「Full Compare」の場合、移行先装置の全ボリュームへのホストアクセスを停止します。

  6. 移行先装置で移行に使用するFCポートのモードを「Initiator」に切り替えます(「ポートモード設定」を参照)。

  7. FC-Initiatorポートにポートパラメーターを設定します(「FCポートパラメーター設定」を参照)。

  8. 移行元装置と移行先装置をFCケーブルで接続します。または、移行元装置と移行先装置をスイッチ経由で接続します。

  9. 手順3.で作成した「Storage Migration 設定ファイル」を移行先装置に読み込んで Storage Migration を開始します(「Storage Migration開始」を参照)。

  10. オペレーションモードにより、以降の操作が異なります。

    • オペレーションモードが「Migration & Host IO」の場合
      1. 移行先装置において、移行に使用しないFCポートで以下の作業を行います。

        1. FC-CAポートのポートパラメーターを設定します(「FCポートパラメーター設定」を参照)。

        2. FC-CAポートにホストアフィニティを設定します(「ホストアフィニティ作成」または「ホストアフィニティ設定」を参照)。

        3. FC-CAポートを使用して、ホストから移行先装置や移行先ボリュームが正しく参照できることを確認します。

        4. FC-CAポートを使用して、移行先ボリュームへのホストアクセスを再開します。

      2. Storage Migrationの進捗を確認します。

      3. Storage Migration が正常完了後、移行先装置で以下の作業を行います。

        1. 移行経路を削除します(「Storage Migration経路削除」を参照)。

        2. 移行に使用した FC-Initiatorポートのモードを「Initiator」から「CA」に切り替えます(「ポートモード設定」を参照)。

    • オペレーションモードが「Migration & Host IO」以外の場合
      1. Storage Migrationの進捗を確認します。

      2. Storage Migration が正常完了後、移行先装置で以下の作業を行います。

        1. 移行経路を削除します(「Storage Migration経路削除」を参照)。

        2. 移行に使用した FC-Initiatorポートのモードを「Initiator」から「CA」に切り替えます(「ポートモード設定」を参照)。

        3. FC-CAポートのポートパラメーターを設定します(「FCポートパラメーター設定」を参照)。

        4. FC-CAポートにホストアフィニティを設定します(「ホストアフィニティ作成」または「ホストアフィニティ設定」を参照)。

        5. FC-CAポートを使用して、ホストから移行先装置や移行先ボリュームが正しく参照できることを確認します。

        6. FC-CAポートを使用して、移行先ボリューム(オペレーションモードが「Migration + Full Compare」または「Full Compare」の場合は、移行先装置)へのホストアクセスを再開します。

*1  :  「保守作業」の権限を持つCEの作業です。

設定内容

Storage Migration

Storage Migration 設定ファイルを読み込みます。

項目 説明 設定値

Storage Migration 設定ファイル

Storage Migration 設定ファイルの格納先を入力します。

[ 参照 ] ボタンをクリックして格納先を指定します。

Storage Migration 設定ファイルの格納先のパス

表示内容

Storage Migration 経路グループ一覧

Storage Migration 経路グループ一覧が表示されます。

項目 説明

ステータス

経路グループのステータスが表示されます。

    :経路グループは正常です。

    :経路グループに異常があります。

経路グループ

経路グループ番号(0 ~ 15)が表示されます。クリックすると、[ 経路グループ詳細情報 ] 画面 が表示されます。

経路グループとは、データ移行の経路を移行元装置ごとにグループ化したものです。1台の移行元装置と本装置(移行先)との間の経路が1つの経路グループになります。

ベンダーID

経路を設定した移行元装置の製造社名が表示されます。

変換できないコードは「*」が表示されます。

プロダクトID

経路を設定した移行元装置の製品名が表示されます。

変換できないコードは「*」が表示されます。

シリアルナンバー

経路を設定した移行元装置の製造番号が表示されます。

変換できないコードは「*」が表示されます。

結果

経路グループが正常な場合、「結果」欄にはなにも表示されません。

移行元装置情報が取得できない場合や経路グループに異常がある場合、エラーメッセージが表示されます。

移行元LUNまたは移行先ボリュームに異常がある場合、「ステータス」欄に「」が表示されますが、「結果」欄にはなにも表示されません。移行元LUNや移行先ボリュームのエラーメッセージは、[ 経路グループ詳細情報 ] 画面の「Storage Migrationボリューム一覧」に表示されます。

[ 経路グループ詳細情報 ] 画面

Storage Migration 経路情報

選択した経路グループ情報が表示されます。

項目 説明

経路グループ

経路グループ番号(0 ~ 15)が表示されます。

ベンダーID

経路を設定した移行元装置の製造社名が表示されます。

変換できないコードは「*」が表示されます。

プロダクトID

経路を設定した移行元装置の製品名が表示されます。

変換できないコードは「*」が表示されます。

シリアルナンバー

経路を設定した移行元装置の製造番号が表示されます。

変換できないコードは「*」が表示されます。

オペレーションモード

経路グループのオペレーションモードが表示されます。

Storage Migration 設定ファイルでオペレーションモードを省略した場合、「Migration」が表示されます。

  • Migration

    移行元装置から移行先装置へのデータ移行だけを行います(オフライン方式)。

  • Migration + Quick Compare

    移行元装置から移行先装置へのデータ移行と移行元LUNと移行先ボリュームのデータ比較を行います。「Quick Compare」は、ボリュームの一部の領域についてデータを比較します。「Migration + Quick Compare」は、「データ移行」と「データ比較」をボリュームごとに連続して行います(オフライン方式)。

  • Migration + Full Compare

    移行元装置から移行先装置へのデータ移行と移行元LUNと移行先ボリュームのデータ比較を行います。「Full Compare」は、ボリュームの全領域についてデータを比較します。「Migration + Full Compare」は、「データ移行」と「データ比較」をボリュームごとに連続して行います(オフライン方式)。

  • Quick Compare

    移行元LUNと移行先ボリュームのデータ比較のみを行います。「Quick Compare」は、ボリュームの一部の領域についてデータを比較します(オフライン方式)。

  • Full Compare

    移行元LUNと移行先ボリュームのデータ比較のみを行います。「Full Compare」は、ボリュームの全領域についてデータを比較します(オフライン方式)。

  • Migration & Host IO

    移行元装置から移行先装置へのデータ移行だけを行います。ホスト接続を移行先装置へ切り替える時だけ業務を停止すれば、移行中は移行先ボリュームへのホストアクセスを継続しながらデータを移行できます(オンライン方式)。

マイグレーション接続経路

マイグレーション接続経路情報が表示されます。

項目 説明

移行元WWN

移行元FC-CAポートのWWNが表示されます。

CAポート

移行先FC-Initiatorポートの位置情報が表示されます。

CE#n CM#n CA#n Port#nまたはCM#n CA#n Port#n

Storage Migration ボリューム一覧

Storage Migrationの移行ボリューム一覧が表示されます。

項目 説明

移行元LUN

移行元LUNが10進数で表示されます。

Storage Migration 設定ファイル作成時に移行元LUNを10進数で指定した場合、または10進数指定の条件を満たしている場合だけ、移行元LUNが10進数で表示されます。10進数指定の条件を満たしていない場合は、「-」(ハイフン)が表示されます。詳細は、「テンプレートファイルダウンロード」を参照してください。

移行元LUN (Hex)

移行元LUNが16進数で表示されます。

"0x"(2桁)+ 半角英数字(大文字)16桁または4桁

移行元LUNステータス

移行元LUNのステータスが表示されます。

    Available:使用可能

    Not Available:使用不可能

    Not Exist:存在しない

移行先ボリューム No.

移行先ボリューム番号が10進数で表示されます。

移行先ボリューム No. (Hex)

移行先ボリューム番号が16進数で表示されます。

"0x"(2桁)+ 半角英数字(大文字)4桁

移行先ボリューム名

移行先ボリューム名が表示されます。

容量

移行先ボリュームの容量([TB/GB/MB])が表示されます。

結果

移行元LUNと移行先ボリュームが両方とも正常な場合、「結果」欄にはなにも表示されません。

移行元LUNまたは移行先ボリュームに異常がある場合、エラーメッセージが表示されます。

操作手順

  1. [ アクション ] から「開始」をクリックします。

  2. [ 参照 ] ボタンをクリックして Storage Migration 設定ファイルを選択し、[ 次へ ] ボタンをクリックします。

    Caution
    • 移行元装置情報取得中にタイムアウトが発生した場合、エラー画面が表示されます。

    • Storage Migration 設定ファイルが以下の場合、エラー画面が表示されます。
      • 半角等号「=」より左側のキーワード開始前にタブ、半角スペース以外が含まれる

      • 半角等号「=」より右側に記載したパラメーターの数が各キーワードのパラメーター数と一致しない

      • 識別コードが不正

      • Type が「Open」ではない

      • GROUPの値が以下の場合
        • 入力文字が不正
          • 「0x」を付与した1桁の16進数以外

        • 範囲外 (0~F 以外)

        • Storage Migration 設定ファイル内で重複使用

      • オペレーションモードが「M」、「M+QC」、「M+FC」、「QC」、「FC」、または「M & IO」のいずれでもない

      • Storage Migration 設定ファイル内でオペレーションモード「M & IO」と「M & IO」以外を混在使用

      • PATH に設定した移行先CAポートが以下の場合
        • 設定内容が誤っている

        • モードが「Initiator」でない

        • ステータスが異常

        • Storage Migration 設定ファイル内で重複使用

        • すでに実行中のStorage Migration で使用されている

        • CE番号に「CE0」以外を指定している(ETERNUS DX900 S6またはETERNUS DX8900 S6以外のモデルの場合)

      • PATH に設定した移行元WWNが以下の場合
        • 文字数が16文字以外

        • 値が範囲外

        • 先頭文字が「0」またはすべて「F」

        • Storage Migration 設定ファイル内で重複使用

      • 移行元LUNが以下の場合
        • 入力文字が不正
          • 10進数でも16進数でもない

          • 10進数で256以上

          • 16進数で4桁でも16桁でもない

        • 同一GROUP内で重複使用

      • 移行先ボリュームが以下の場合
        • 入力文字が不正
          • 10進数でも4桁の16進数でもない

        • ボリューム番号が範囲外

        • 未定義

        • ステータスが異常(「Available」、「Copyback」、「Rebuild」、または「Partially Exposed Rebuild」のいずれでもない)

        • タイプが「Standard」、「WSV」、「TPV」、「FTV」のいずれでもない

        • Storage Migration 設定ファイル内で重複使用

        • すでに実行中のStorage Migration で使用されている

    • スクリプト解析で異常が検出された場合

    • 取得した移行元装置情報が以下の場合、エラー画面が表示されます。
      • 1つのGROUPで複数の移行元装置を指定している

      • 移行元装置でほかのStorage Migration が開始されていた

      • 移行元装置のステータスが正常ではない

      • PATH に設定した移行元WWNが存在しない

      • 移行元LUNが以下になっている
        • 存在しない

        • 使用できないステータス

        • 容量が移行先ボリュームを超えている

  3. 経路グループを確認し、[ 開始 ] ボタンをクリックします。

    → 確認画面が表示されます。

    Note
    • 「経路グループ」リンクをクリックすると、[ 経路グループ詳細情報 ] 画面 が表示されます。

    • ETERNUS DX900 S6またはETERNUS DX8900 S6の場合、CE番号が指定されていない経路は「CE#0」として扱われます。CE番号を変更する場合は、一度処理をキャンセルし、Storage Migration 設定ファイルを編集してから、再度本機能を起動してください。

  4. [ OK ] ボタンをクリックします。

    → Storage Migration が開始されます。

  5. [ 完了 ] ボタンをクリックして、[ Storage Migration ] 画面に戻ります。

    Note
    • Storage Migrationの進捗状況は、[ Storage Migration ] 画面で確認できます。

    • 「経路グループ」リンクをクリックすると、[ 経路グループ詳細情報 ] 画面 が表示されます。