エフサステクノロジーズ株式会社

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MetroCluster マニュアル ( CA08871-401 )

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共有レイヤー2またはレイヤー3ネットワークにMetroClusterを導入する際の考慮事項

要件に応じて、共有レイヤー2またはレイヤー3ネットワークを使用してMetroClusterを導入することができます。

ONTAP 9.7以降では、サポート対象のCiscoスイッチを使用したMetroCluster IP構成で、専用のMetroClusterスイッチ間リンク(ISL)を使用する代わりに、既存のネットワークをISLに共有することができます。このトポロジーを共有レイヤー2ネットワークと呼びます。

ONTAP 9.9.1以降では、MetroCluster IP構成をIPルーティング(レイヤー3)バックエンド接続で導入できます。このトポロジーを共有レイヤー3ネットワークと呼びます。

  • ネットワーク容量が十分であり、ISLのサイズが構成に適していることを確認する必要があります。MetroClusterサイト間でのデータのレプリケーションでは、レイテンシを低く抑えることが重要になります。これらの接続にレイテンシの問題があると、クライアントI/Oに影響が及ぶ可能性があります。

  • MetroClusterバックエンド スイッチとは、Fujitsu検証済みスイッチまたはMetroCluster準拠スイッチを指します。詳細については、「Fujitsu検証済みスイッチとMetroCluster準拠スイッチ」を参照してください。

レイヤー2およびレイヤー3ネットワークのISL要件

レイヤー2およびレイヤー3ネットワークには、次の要件が適用されます。

  • MetroClusterスイッチと中間ネットワーク スイッチ間で、ISLの速度と数が一致している必要はありません。同様に、中間ネットワーク スイッチ間で速度が一致している必要もありません。

    たとえば、40GbpsのISLを使用してMetroClusterスイッチを中間スイッチに接続し、2つの100GbpsのISLを使用して中間スイッチどうしを接続できます。

  • ISLの使用状況、エラー(破棄、リンク フラップ、破損など)、障害を監視するには、中間ネットワークでネットワーク監視を設定する必要があります。

  • MetroClusterのエンドツーエンドのトラフィックを伝送するすべてのポートについて、MTUサイズを9216に設定する必要があります。

  • 他のトラフィックにClass Of Service(COS;サービス クラス)5よりも高い優先度を設定することはできません。

  • エンドツーエンドのMetroClusterトラフィックを伝送するすべてのパスで、Explicit Congestion Notification(ECN;明示的輻輳通知)を設定する必要があります。

  • MetroClusterトラフィックを伝送するISLは、スイッチ間のネイティブ リンクである必要があります。

    Multiprotocol Label Switching(MPLS)リンクなどのリンク共有サービスはサポートされていません。

  • レイヤー2 VLANは、ネイティブにサイト間にわたっている必要があります。Virtual Extensible LAN(VXLAN)などのVLANオーバーレイはサポートされていません。

  • 中間スイッチの数に制限はありませんが、Fujitsuでは、スイッチの数を必要最小限に維持することを推奨しています。

  • MetroClusterスイッチのISLは次のように設定します。

    • LACPポートチャネルの一部としてスイッチ ポート モード「トランク」を設定する

    • MTUサイズは9216

    • ネイティブVLANは設定しない

    • サイト間のMetroClusterトラフィックを伝送するVLANのみを許可する

    • スイッチのデフォルトVLANは許可しない

レイヤー2ネットワークに関する考慮事項

MetroClusterバックエンド スイッチがお客様のネットワークに接続されます。

MCC layer2

お客様側で用意する中間スイッチは、次の要件を満たしている必要があります。

  • 中間ネットワークは、サイト間で同じVLANを提供する必要があります。これは、RCFファイルに設定されているMetroCluster VLANと一致している必要があります。

  • RcfFileGeneratorでは、プラットフォームでサポートされていないVLANを使用してRCFファイルを作成することはできません。

  • RcfFileGeneratorでは、特定のVLAN IDの使用が制限される場合があります。たとえば、そのIDを今後使用する予定がある場合などです。通常、予約済みVLANは最大で100個までです。

  • MetroClusterのVLAN IDとIDが一致するレイヤー2のVLANで共有ネットワークを構成する必要があります。

ONTAPでのVLAN構成

VLANはインターフェイスの作成時にのみ指定できます。MetroClusterインターフェイスの作成後にVLAN IDを変更することはできません。他のVLANはインターフェイスの作成時に構成できますが、10~20の範囲または101~4096の範囲(またはスイッチ ベンダーがサポートする番号のうち小さい方)にする必要があります。

一部のスイッチ ベンダーでは、特定のVLANの使用が予約されている場合があります。

次のシステムでは、ONTAP内でのVLAN構成が不要です。VLANは、スイッチ ポートの設定によって指定されます。

  • ETERNUS HX6100、ETERNUS AX4100

    上記のシステムは、VLAN 100以下を使用して構成できます。ただし、この範囲にあるVLANの一部は、他の用途や将来の用途のために予約されている可能性があります。

他のすべてのシステムについては、ONTAPでMetroClusterインターフェイスを作成するときにVLANを構成する必要があります。次の制限事項が適用されます。

  • デフォルトのVLANは10および20です。

  • ONTAP 9.7を実行している場合は、デフォルトのVLAN 10およびVLAN 20のみを使用できます。

  • ONTAP 9.8以降を実行している場合は、デフォルトのVLAN 10および20に加え、100を超えるVLAN(101以上)も使用できます。

レイヤー3ネットワークに関する考慮事項

MetroClusterバックエンド スイッチのルーティングIPネットワークへの接続は、ルーターへの直接接続か(下に図示する簡単な例を参照)、介在する他のスイッチ経由で行われます。

mcc layer3 backend

MetroCluster環境は、「MetroClusterハードウェア コンポーネントの構成」で説明されているように、標準的なMetroCluster IP構成として構成され、ケーブル接続されます。設置とケーブル接続の手順を実行する際には、レイヤー3構成に固有の手順を実行する必要があります。レイヤー3構成には、次の要件が適用されます。

  • MetroClusterスイッチは、ルーターに直接接続することも、介在する1つ以上のスイッチに接続することもできます。

  • MetroCluster IPインターフェイスは、ルーターに直接接続することも、介在するスイッチの1つに接続することもできます。

  • VLANはゲートウェイ デバイスまで拡張する必要があります。

  • MetroCluster IPインターフェイス アドレスにIPゲートウェイ アドレスを設定するには、-gateway parameterを使用します。

  • MetroCluster VLANのVLAN IDは、各サイトで同じものを設定する必要があります。ただし、サブネットには異なるものも設定できます。

  • MetroClusterトラフィックでは、ダイナミック ルーティングはサポートされていません。

  • 次の機能はサポートされません。

    • 8ノードMetroCluster構成

    • 4ノードMetroCluster構成の更新

    • MetroCluster FCからMetroCluster IPへの移行

  • それぞれのMetroClusterサイトに2つのサブネットが必要です(各ネットワークに1つ)。

  • 自動IP割り当てはサポートされていません。

ルーターとゲートウェイのIPアドレスを設定する際は、次の要件を満たす必要があります。

  • 1つのノードの2つのインターフェイスに同じゲートウェイIPアドレスを設定することはできません。

  • 各サイトのHAペアの対応するインターフェイスには、同じゲートウェイIPアドレスを設定する必要があります。

  • ノードと、そのDRパートナーおよびAUXパートナーの対応するインターフェイスに、同じゲートウェイIPアドレスを設定することはできません。

  • ノードと、そのDRパートナーおよびAUXパートナーの対応するインターフェイスには、同じVLAN IDを設定する必要があります。

中間スイッチの使用時に必要な設定

MetroClusterトラフィックが中間ネットワークのISLを経由する場合は、MetroClusterサイト間のパス全体でMetroClusterトラフィック(RDMAおよびストレージ)が必要なサービス レベルを満たしていることを、中間スイッチの設定で確認する必要があります。

次の図は、Fujitsu検証済みCiscoスイッチの使用時に必要な設定の概要を示しています。

switch traffic with cisco switches

次の図は、外部スイッチがBroadcom IPスイッチの場合に、共有ネットワークに必要な設定の概要を示しています。

switch traffic with broadcom switches

この例では、MetroClusterトラフィック用に次のポリシーとマップが作成されます。

  • MetroClusterIP_ISL_Ingressポリシーは、MetroCluster IPスイッチに接続する中間スイッチのポートに適用されます。

    MetroClusterIP_ISL_Ingressポリシーは、受信するタグ付きトラフィックを中間スイッチの適切なキューにマッピングします。

  • MetroClusterIP_ISL_Egressポリシーは、中間スイッチ間のISLに接続する中間スイッチのポートに適用されます。

  • MetroCluster IPスイッチ間のパスに沿って、対応するQoSアクセスマップ、クラスマップ、およびポリシーマップを指定して中間スイッチを設定する必要があります。中間スイッチは、RDMAトラフィックをCOS5にマッピングし、ストレージ トラフィックをCOS4にマッピングします。

ここでは、Cisco Nexus 3232Cスイッチと9336C-FX2スイッチを例に説明します。ご使用のスイッチのベンダーやモデルに応じて、中間スイッチが適切な設定になっていることを確認する必要があります。

中間スイッチISLポートのクラス マップの設定

次の例は、入力でトラフィックを分類したり照合したりする必要があるかに応じたクラス マップ定義を示しています。

入力時のトラフィックの分類:
ip access-list rdma
  10 permit tcp any eq 10006 any
  20 permit tcp any any eq 10006
ip access-list storage
  10 permit tcp any eq 65200 any
  20 permit tcp any any eq 65200

class-map type qos match-all rdma
  match access-group name rdma
class-map type qos match-all storage
  match access-group name storage
入力時のトラフィックの照合:
class-map type qos match-any c5
  match cos 5
  match dscp 40
class-map type qos match-any c4
  match cos 4
  match dscp 32
中間スイッチのISLポートに入力ポリシー マップを作成します。

次の例は、入力でトラフィックを分類したり照合したりする必要があるかに応じて、入力ポリシー マップを作成する方法を示しています。

入力時のトラフィックの分類:
policy-map type qos MetroClusterIP_ISL_Ingress_Classify
  class rdma
    set dscp 40
    set cos 5
    set qos-group 5
  class storage
    set dscp 32
    set cos 4
    set qos-group 4
  class class-default
    set qos-group 0
入力時のトラフィックの照合:
policy-map type qos MetroClusterIP_ISL_Ingress_Match
  class c5
    set dscp 40
    set cos 5
    set qos-group 5
  class c4
    set dscp 32
    set cos 4
    set qos-group 4
  class class-default
    set qos-group 0
ISLポートの出力キュー ポリシーの設定

次の例は、出力キュー ポリシーを設定する方法を示しています。

policy-map type queuing MetroClusterIP_ISL_Egress
   class type queuing c-out-8q-q7
      priority level 1
   class type queuing c-out-8q-q6
      priority level 2
   class type queuing c-out-8q-q5
      priority level 3
      random-detect threshold burst-optimized ecn
   class type queuing c-out-8q-q4
      priority level 4
      random-detect threshold burst-optimized ecn
   class type queuing c-out-8q-q3
      priority level 5
   class type queuing c-out-8q-q2
      priority level 6
   class type queuing c-out-8q-q1
      priority level 7
   class type queuing c-out-8q-q-default
      bandwidth remaining percent 100
      random-detect threshold burst-optimized ecn

これらの設定は、MetroClusterトラフィックを伝送するすべてのスイッチおよびISLに適用する必要があります。

この例では、Q4とQ5はrandom-detect threshold burst-optimized ecnで設定されています。構成によっては、次の例に示すように、最小しきい値と最大しきい値の設定が必要になる場合があります。

class type queuing c-out-8q-q5
  priority level 3
  random-detect minimum-threshold 3000 kbytes maximum-threshold 4000 kbytes drop-probability 0 weight 0 ecn
class type queuing c-out-8q-q4
  priority level 4
  random-detect minimum-threshold 2000 kbytes maximum-threshold 3000 kbytes drop-probability 0 weight 0 ecn
最小値と最大値は、スイッチと要件によって異なります。
例1:Cisco

構成にCiscoスイッチが含まれている場合は、中間スイッチの最初の入力ポートで分類する必要はありません。次に、以下のマップとポリシーを設定します。

  • class-map type qos match-any c5

  • class-map type qos match-any c4

  • MetroClusterIP_ISL_Ingress_Match

MetroClusterIP_ISL_Ingress_Matchポリシー マップは、MetroClusterトラフィックを伝送するISLポートに割り当てます。

例2:Broadcom

構成にBroadcomスイッチが含まれている場合は、中間スイッチの最初の入力ポートで分類する必要があります。次に、以下のマップとポリシーを設定します。

  • ip access-list rdma

  • ip access-list storage

  • class-map type qos match-all rdma

  • class-map type qos match-all storage

  • MetroClusterIP_ISL_Ingress_Classify

  • MetroClusterIP_ISL_Ingress_Match

the MetroClusterIP_ISL_Ingress_Classifyポリシーマップは、Broadcomスイッチに接続する中間スイッチのISLポートに割り当てます。

MetroClusterIP_ISL_Ingress_Matchポリシー マップは、MetroClusterトラフィックを伝送しているがBroadcomスイッチには接続していない中間スイッチのISLポートに割り当てます。

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