SANtricity 11.8 Commands
ストレージ システムの自動設定
autoConfigure storageArray
コマンドは、ストレージ システムを自動的に設定します。
対応シリーズ
このコマンドは、すべてのSMcliパッケージがインストールされていれば、HB2100/HB2200/HB2300、HB5100/HB5200、AB6100、AB3100を含むあらゆるストレージ システムに適用されます。
ロール
このコマンドをHB2100/HB2200/HB2300、HB5100/HB5200、AB6100、またはAB3100のストレージ システムに対して実行するには、Storage Adminロールが必要です。
コンテキスト
autoConfigure storageArray
コマンドを入力する前に、show storageArray autoConfiguration
コマンドを実行します。show storageArray autoConfiguration
コマンドは、有効なドライブ タイプ、RAIDレベル、ボリューム情報、およびホット スペア情報のリストの形式で設定情報を返します(このリストは autoConfigure storageArray
コマンドのパラメーターに対応します)。コントローラーはストレージ システムを監査し、ストレージ システムがサポートできる最も高いRAIDレベルと、そのRAIDレベルの最も効率的なボリューム定義を決定します。返されたリストに示されている設定が許容できる場合は、パラメーターを指定せずに autoConfigure storageArray
コマンドを入力できます。設定を変更する場合は、設定要件を満たすようにパラメーターを変更できます。パラメーターは1つだけ変更することも、すべて変更することもできます。autoConfigure storageArray
コマンドを入力後、コントローラーでは、デフォルトのパラメーターまたは選択したパラメーターを使用してストレージ システムが設定されます。
構文
autoConfigure storageArray [driveType=(SAS | NVMe4K)] [driveMediaType=(hdd | ssd | allMedia | unknown)] [raidLevel=(0 | 1 | 3 | 5 | 6)] [volumeGroupWidth=numberOfDrives] [volumeGroupCount=numberOfVolumeGroups] [volumesPerGroupCount=numberOfVolumesPerGroup] [hotSpareCount=numberOfHotSpares] [segmentSize=segmentSizeValue] [cacheReadPrefetch=(TRUE | FALSE)] [readAheadMultiplier=multiplierValue] [securityType=(none | capable | enabled)] [secureDrives=(fips | fde)] [dataAssurance=(none | enabled)] [blockSize=(512 | 4096)]
パラメーター
パラメーター | 説明 | ||
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ストレージ システムに使用するドライブのタイプ。 ストレージ システム内に複数のドライブ タイプがある場合は、このパラメーターを使用する必要があります。 有効なドライブ タイプは、次のとおりです。
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ストレージ システムに使用するドライブ メディアのタイプ。 ストレージ システム内に複数のドライブ メディア タイプがある場合は、このパラメーターを使用する必要があります。 有効なドライブ メディア タイプは、次のとおりです。
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ストレージ システム内にドライブが含まれているボリューム グループのRAIDレベル。有効なRAIDレベルは、 |
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ストレージ システム内のボリューム グループ内のドライブ数。 |
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ストレージ システム内のボリューム グループの数。整数値を使用します。 |
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ボリューム グループごとの、容量が同じボリュームの数。整数値を使用します。 |
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ストレージ システム内に必要なホット スペアの数。整数値を使用します。 |
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コントローラーがボリューム内の1つのドライブに書き込めるデータ量(KB)を指定します。有効な値は、 |
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キャッシュ読み取りプリフェッチをオンまたはオフにする設定。キャッシュ読み取りプリフェッチをオフにする場合は、このパラメーターを |
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このパラメーターは、キャッシュに読み込まれる追加データ ブロックの数を定義します。有効な値の範囲は、
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ボリューム グループおよび関連するすべてのボリュームの作成時にセキュリティ レベルを指定する設定。有効な値は、次のとおりです。
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ボリューム グループで使用するセキュアー ドライブのタイプ。有効な値は、次のとおりです。
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作成されたボリュームのブロック サイズ(バイト)。サポートされている値は |
ドライブとボリューム グループ
ボリューム グループは、ストレージ システムのコントローラーによって論理的にグループ化された一連のドライブです。ボリューム グループ内のドライブ数は、RAIDレベルとコントローラー ファームウェアによって制限されます。ボリューム グループを作成する場合は、次のガイドラインに従ってください。
-
あとから使用するために容量をリザーブできるように、空のボリューム グループを作成できます。
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1つのボリューム グループでドライブ タイプを混在させることはできません。
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1つのボリューム グループでHDDドライブとSSDドライブを混在させることはできません。
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ボリューム グループのドライブの最大数は、次の条件によって異なります。
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コントローラーのタイプ
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RAIDレベル
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RAIDレベルには、0、1、3、5、6が含まれます。
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RAIDレベル3、RAIDレベル5、またはRAIDレベル6のボリューム グループには、30本を超えるドライブを含めることはできず、3本以上のドライブを含める必要があります。
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RAIDレベル6のボリューム グループには、少なくとも5本のドライブが必要です。
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RAIDレベル1のボリューム グループに4本以上のドライブが配置されている場合、ストレージ管理ソフトウェアは、ボリューム グループをRAIDレベル10(RAIDレベル1 + RAIDレベル0)に自動的に変更します。
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トレイ / ドロワー損失の保護を有効にする場合は、次の表の追加条件を参照してください。
レベル | トレイ損失の保護の条件 | 必要なトレイの最小数 |
---|---|---|
ディスク プール |
ディスク プールに同じトレイのドライブが3本以上含まれない。 |
6 |
RAID 6 |
ボリューム グループに同じトレイのドライブが3本以上含まれない。 |
3 |
RAID 3またはRAID 5 |
ボリューム グループ内のドライブがすべて別々のトレイに配置されている。 |
3 |
RAID 1 |
RAID 1ペアのドライブがそれぞれ別のトレイに配置されている。 |
2 |
RAID 0 |
トレイ損失の保護は実現できない。 |
該当なし |
レベル | ドロワー損失の保護の条件 | 必要なドロワーの最小数 |
---|---|---|
ディスク プール |
プールに5つのドロワーすべてのドライブが含まれていて、各ドロワーに同じ数のドライブが配置されている。60ドライブのトレイでは、ディスク プールに含まれるドライブの数が15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60のいずれかである場合にドロワー損失の保護を実現できます。 |
5 |
RAID 6 |
ボリューム グループに同じドロワーのドライブが3本以上含まれない。 |
3 |
RAID 3またはRAID 5 |
ボリューム グループ内のドライブがすべて別々のドロワーに配置されている。 |
3 |
RAID 1 |
ミラー ペアのドライブがそれぞれ別のドロワーに配置されている。 |
2 |
RAID 0 |
ドロワー損失の保護は実現できない。 |
該当なし |
ホット スペア
ボリューム グループでは、データを保護するための重要な戦略は、ストレージ システム内の使用可能なドライブをホット スペア ドライブとして割り当てることです。ホット スペアは、データが格納されていないドライブで、RAID 1、RAID 3、RAID 5、RAID 6のいずれかのボリューム グループでドライブに障害が発生した場合に、ストレージ システムでスタンバイとして機能します。ホット スペアを使用すると、ストレージ システムの冗長性が向上します。
通常、ホット スペア ドライブには、保護対象のドライブの使用済み容量以上の容量が必要です。ホット スペア ドライブのメディア タイプ、インターフェイス タイプ、および容量は、保護対象のドライブと同じである必要があります。
ストレージ システムのドライブで障害が発生した場合、通常は障害が発生したドライブの代わりにホット スペアが自動的に使用されます。ドライブ障害の発生時にホット スペアが使用可能であれば、冗長性データ パリティを使用してホット スペアにデータが再構築されます。データ退避のサポートでは、障害が発生したドライブとしてマークされる前に、データをホット スペアにコピーすることもできます。
障害が発生したドライブを物理的に交換したあとで、次のいずれかのオプションを使用してデータをリストアできます。
障害が発生したドライブを交換した場合、ホット スペアのデータは、交換用のドライブにコピーされます。この操作をコピーバックと呼びます。
ホット スペア ドライブをボリューム グループの永続的メンバーとして指定している場合は、コピーバック処理は不要です。
ボリューム グループのトレイ損失の保護およびドロワー損失の保護が可能かどうかは、ボリューム グループを構成するドライブの場所によって異なります。ドライブの障害とホット スペア ドライブの場所によって、トレイ損失の保護とドロワー損失の保護が失われる場合があります。トレイ損失の保護とドロワー損失の保護が影響を受けないようにするには、障害が発生したドライブを交換してコピーバック処理を開始する必要があります。
ストレージ システムでは、Data Assurance(DA)が有効なボリュームのホット スペア対象範囲としてDA対応ドライブが自動的に選択されます。
DAが有効なボリュームのホット スペア対象範囲のストレージ システム内にDA対応ドライブがあることを確認してください。DA対応ドライブの詳細については、Data Assurance機能を参照してください。
セキュリティ対応(FIPSおよびFDE)ドライブは、セキュリティ対応とセキュリティ非対応の両方のドライブのホット スペアとして使用できます。セキュリティ非対応ドライブは、他のセキュリティ非対応ドライブに対して、また、ボリューム グループでセキュリティが有効になっていない場合はセキュリティ対応ドライブに対しても、対応可能です。FIPSボリューム グループは、FIPSドライブのみをホット スペアとして使用できます。ただし、FIPSホット スペアは、セキュリティ非対応、セキュリティ対応、およびセキュリティ有効のボリューム グループに対して使用可能です。
ホット スペアがない場合でも、ストレージ システムの動作中に、障害が発生したドライブを交換できます。RAID 1、RAID 3、RAID 5、RAID 6のいずれかのボリューム グループのドライブに障害が発生した場合、コントローラーは冗長性データ パリティを使用して、交換用ドライブにデータを自動的に再構築します。この操作を再構築と呼びます。
セグメント サイズ
セグメントのサイズは、コントローラーがボリューム内の1つのドライブに書き込めるデータ ブロックの数を決定します。各データ ブロックには512バイトのデータが格納されます。データ ブロックはストレージの最小単位です。セグメントのサイズによって、格納されるデータ ブロックの数が決まります。たとえば、8KBのセグメントには16個のデータ ブロックが含まれます。64KBのセグメントには128個のデータ ブロックが含まれます。
セグメント サイズの値を入力すると、その値はサポートされている値(実行時にコントローラーから提供される)と照合されます。入力した値が有効でない場合、コントローラーは有効な値のリストを返します。1つの要求に対して1つのドライブを使用すると、他のドライブが他の要求に同時に対応することができます。1人のユーザーが大容量のデータ(マルチメディアなど)を転送している環境では、1つのデータ転送要求を1つのデータ ストライプで処理することでパフォーマンスが最大化されます(データ ストライプはセグメント サイズで、これに、データ転送に使用されるボリューム グループ内のドライブ数が掛けられます)。この場合、同じ要求に複数のドライブが使用されますが、各ドライブへのアクセス回数は1回だけです。
マルチユーザー データベースまたはファイルシステムのストレージ環境で最適なパフォーマンスを実現するには、データ転送要求を満たすために必要なドライブ数が最小限になるように、セグメント サイズを設定します。
キャッシュ読み取りプリフェッチ
キャッシュ読み取りプリフェッチを使用すると、コントローラーは、ホストによって要求されたデータ ブロックをドライブから読み取ってキャッシュにコピーすると同時に、追加のデータ ブロックをキャッシュにコピーできます。この操作により、将来のデータ要求がキャッシュから達成できる可能性が高くなります。キャッシュ読み取りプリフェッチは、シーケンシャル データ転送を使用するマルチメディア アプリケーションにとって重要です。cacheReadPrefetch
パラメーターの有効な値は TRUE
または FALSE
です。デフォルトは TRUE
です。
セキュリティ タイプ
securityType
パラメーターを使用して、ストレージ システムのセキュリティ設定を指定します。
securityType
パラメーターを enabled
に設定する場合は、ストレージ システムのセキュリティ キーを作成する必要があります。create storageArray securityKey
コマンドを使用して、ストレージ システムのセキュリティ キーを作成します。次のコマンドがセキュリティ キーに関連しています。
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create storageArray securityKey
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export storageArray securityKey
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import storageArray securityKey
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set storageArray securityKey
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enable volumeGroup [volumeGroupName] security
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enable diskPool [diskPoolName] security
セキュアー ドライブ
セキュリティ対応ドライブには、Full Disk Encryption(FDE)ドライブと連邦情報処理標準(FIPS)ドライブがあります。secureDrives
パラメーターを使用して、使用するセキュアー ドライブのタイプを指定します。使用可能な値は fips
と fde
です。
コマンドの例
autoConfigure storageArray securityType=capable secureDrives=fips;