SnapCenter Software 4.9
リストア処理のタイプ
SnapCenterを使用して、SQL Serverリソースに対してさまざまなタイプのリストア処理を実行できます。
-
最新の状態へのリストア
-
過去のある時点(ポイントインタイム)へのリストア
最新の状態または過去のある時点にリストアできるケースは次のとおりです。
-
SnapMirrorまたはSnapVaultセカンダリー ストレージからリストアする
-
別のパス(場所)にリストアする
SnapCenterでは、ボリュームベースのSnapRestoreはサポートされません。 |
最新の状態へのリストア
最新の状態へのリストア処理(デフォルト)では、障害発生時点までデータベースがリカバリーされます。SnapCenterでは、この処理が次の順序で実行されます。
-
データベースをリストアする前に、最後のアクティブなトランザクション ログがバックアップされます。
-
選択したフル データベース バックアップからデータベースがリストアされます。
-
データベースにコミットされていないすべてのトランザクション ログが適用されます(バックアップ作成時から現時点までのバックアップのトランザクション ログを含む)。
トランザクション ログは再生されて選択したすべてのデータベースに適用されます。
最新の状態へのリストア処理を実行するには、連続したトランザクション ログ セットが必要です。
SnapCenterでは、ログ配布バックアップ ファイルからSQL Serverデータベース トランザクション ログをリストアできないため(ログ配布はプライマリー サーバー インスタンス上のプライマリー データベースから別のセカンダリー サーバー インスタンス上の1つ以上のセカンダリー データベースにトランザクション ログ バックアップを自動的に送信する機能です)、トランザクション ログ バックアップから最新の状態へのリストア処理を実行することはできません。このため、SnapCenterを使用してSQL Serverデータベースのトランザクション ログ ファイルをバックアップする必要があります。
すべてのバックアップに最新の状態へのリストア機能を使用する必要がない場合は、バックアップ ポリシーを使用してシステムのトランザクション ログ バックアップ保持を設定できます。
最新の状態へのリストア処理の例
SQL Serverのバックアップを毎日正午に実行し、水曜日の午後4時にバックアップからリストアする必要があるとします。何らかの理由により、水曜日の正午のバックアップの検証に失敗したため、火曜日の正午のバックアップを使用してリストアを実行することにしました。バックアップのリストアが終了すると、火曜日のバックアップの作成時にコミットされていなかったトランザクション ログから、水曜日の午後4時に書き込まれた最新のトランザクション ログまでの、すべてのトランザクション ログが再生され、リストアしたデータベースに適用されます(トランザクション ログがバックアップされている場合)。
過去のある時点(ポイントインタイム)へのリストア
ポイントインタイム リストア処理では、データベースが過去の特定の時点にリストアされます。ポイントインタイム リストア処理は次の状況で発生します。
-
バックアップ トランザクション ログの所定の時点までデータベースがリストアされた。
-
データベースがリストアされ、一部のバックアップ トランザクション ログだけが適用された。
データベースをある時点までリストアすると、新しいリカバリー パスが発生します。 |
次の図は、ポイントインタイム リストア処理を実行した場合の問題を示しています。
この図のリカバリー パス1では、フル バックアップが作成され、その後複数のトランザクション ログ バックアップが作成されます。データベースをある時点にリストアします。ポイントインタイム リストア処理のあと、新しいトランザクション ログ バックアップが作成されて、リカバリー パス2が発生します。新しいトランザクション ログ バックアップが作成されるときに、新しいフル バックアップは作成されません。新しいフル バックアップが作成されるまでの間は、データ破損やその他の問題が発生しても現在のデータベースをリストアできません。また、リカバリー パス2で作成されたトランザクション ログを、リカバリー パス1のフル バックアップに適用することはできません。
トランザクション ログ バックアップ セットを適用する場合は、トランザクションの適用を終了する日時を指定することもできます。指定可能な範囲内の日時を指定すると、その時点までにコミットされていないトランザクションはSnapCenterによって削除されます。この方法を使用すると、破損が発生する前の時点にデータベースをリストアしたり、誤って削除したデータベースやテーブルをリカバリーしたりすることができます。
ポイントインタイム リストア処理の例
フル データベース バックアップを午前0時に1回、トランザクション ログ バックアップを1時間おきに実行しているとします。午前9時45分にデータベースがクラッシュしましたが、その後も破損したデータベースのトランザクション ログのバックアップは続けたとします。この場合、次に示すポイントインタイム リストアのシナリオが考えられます。
-
午前0時に作成されたフル データベース バックアップをリストアし、それ以後のデータベース変更については復元をあきらめる。(オプション:None)
-
フル データベース バックアップをリストアし、午前9時45分までのすべてのトランザクション ログ バックアップを適用する(オプション:Log until)
-
フル データベース バックアップをリストアし、最後のトランザクション ログ バックアップ セットからリストアするトランザクションの時刻を指定して、トランザクション ログ バックアップを適用する。(オプション:By specific time)
この場合は、エラーが報告された日時を特定します。指定した日時までにコミットされていなかったトランザクションすべては削除されます。