SANtricity 11 マニュアル (CA08872-010)
同期ミラーリングの仕組み
同期ミラーリングでは、データ ボリュームをリアルタイムでレプリケートして、継続的な可用性を確保します。
同期ミラーリングは、HB1100、HB1200、AB3100、およびAB6100ストレージ システムでは使用できません。 |
同期ミラーリングでは、2つのストレージ システムのいずれかで災害が発生した場合に重要なデータのコピーを確保しておくことにより、データ損失ゼロの目標復旧時点(RPO)を達成します。プライマリー ボリュームに書き込みが行われるたびにセカンダリー ボリュームにも書き込みが行われるため、どの時点においてもコピーは本番環境のデータと同一です。プライマリー ボリュームで行われた変更でセカンダリー ボリュームが更新されるまで、ホストは書き込みが成功したという確認応答を受信しません。
このタイプのミラーリングは、ディザスタ リカバリーなどのビジネス継続性の確保に最適です。
同期ミラー関係
同期ミラー関係は、別々のストレージ システム上のプライマリー ボリュームとセカンダリー ボリュームで構成されます。プライマリー ボリュームを含むストレージ システムは、一般にプライマリー サイトにあり、アクティブなホストに対応します。セカンダリー ボリュームを含むストレージ システムは、一般にセカンダリー サイトにあり、データのレプリカを格納します。セカンダリー ボリュームは、プライマリー サイトで完全な停電、火災、ハードウェア障害が発生した場合など、プライマリー ボリュームのストレージ システムが使用できなくなった場合に使用されます。
同期ミラーリング セッション
同期ミラーリングの構成プロセスには、ボリュームをペアとして構成することが含まれます。ミラー ペア(ストレージ システム上のプライマリー ボリュームと別のストレージ システム上のセカンダリー ボリュームで構成)を作成したら、同期ミラーリングを開始できます。同期ミラーリングは以下のように行われます。
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ホストから書き込みが行われます。
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書き込みはプライマリー ボリュームにコミットされ、リモート システムに伝播され、セカンダリー ボリュームにコミットされます。
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両方の書き込み処理が完了したら、プライマリー ボリュームのストレージ システムからホスト システムへ、I/O完了メッセージが送信されます。
ホストからの書き込み要求に関する情報の記録には、リザーブ容量が使用されます。
プライマリー ボリュームの現在のコントローラー所有者がホストからの書き込み要求を受信すると、コントローラーはまず書き込みに関する情報をプライマリー ボリュームのリザーブ容量に記録します。次にコントローラーはプライマリー ボリュームにデータを書き込みます。次に、コントローラーがリモート書き込み処理を開始し、影響を受けたデータ ブロックをリモート ストレージ システムのセカンダリー ボリュームにコピーします。
ホスト アプリケーションは、ローカル ストレージ システムおよびリモート ストレージ システム上のネットワーク全体で書き込みが行われるまで待機する必要があります。そのため、ローカルのI/Oパフォーマンスを大幅に低下させることなくミラー関係を維持するためには、ローカル ストレージ システムとリモート ストレージ システムの間に非常に高速な接続が必要です。
ディザスタ リカバリー
同期ミラーリングでは、データが存在するサイトから物理的に離れた場所にデータのコピーが保持されます。停電や洪水などの災害がプライマリー サイトで発生した場合、すぐにセカンダリー サイトにあるデータにアクセスできます。
同期ミラーリング処理の進行中、ホスト アプリケーションはセカンダリー ボリュームを使用できないため、ローカル ストレージ システムで災害が発生した場合はリモート ストレージ システムにフェイルオーバーできます。フェイルオーバーするには、セカンダリー ボリュームをプライマリー ロールに昇格します。リカバリー ホストは新しく昇格されたボリュームにアクセスできるため、業務を続行できます。
同期の設定
ミラー ペアを作成するときは、同期優先度と再同期ポリシーも定義します。通信が中断した場合、ミラー ペアはこれらを使用して再同期処理を完了します。
2つのストレージ システム間の通信リンクが停止しても、ホストはローカル ストレージ システムからの確認応答を引き続き受信し、アクセスが失われるのを防ぎます。通信リンクの動作が再開したら、レプリケートされていないデータを自動的に、または手動で、リモート ストレージ システムに再同期できます。
データが自動的に再同期されるかどうかは、ミラー ペアの再同期ポリシーによって異なります。自動再同期ポリシーを使用している場合は、リンクの再開時にミラー ペアが自動的に再同期されます。手動再同期ポリシーを使用している場合は、通信問題の発生後に同期を手動で再開する必要があります。手動再同期ポリシーが推奨されるポリシーです。
ミラー ペアの同期設定は、プライマリー ボリュームを含むストレージ システムでのみ編集できます。
非同期のデータ
プライマリー ボリュームのストレージ システムがセカンダリー ボリュームにデータを書き込むことができなくなった場合、プライマリー ボリュームとセカンダリー ボリュームは非同期状態になります。この原因として次の問題が考えられます。
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ローカル ストレージ システムとリモート ストレージ システム間のネットワーク問題
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セカンダリー ボリュームの障害
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ミラー ペアの同期が手動で一時停止されている
孤立したミラー ペア
孤立したミラー ペア ボリュームは、一方(プライマリーまたはセカンダリー)でメンバー ボリュームが削除され、もう一方では削除されていない場合に発生します。
孤立したミラー ペア ボリュームは、システム間の通信がリストアされ、ミラー構成の両サイドでミラー パラメーターが調整されたときに検出されます。
ミラー ペアを削除すると、孤立したミラー ペアの状態を修正できます。
設定と管理
2つのシステム間のミラーリングを有効にして設定するには、Unified Managerインターフェイスを使用する必要があります。ミラーリングを有効にすると、SANtricity System Managerでミラー ペアと同期設定を管理できます。