SANtricity 11 マニュアル (CA08872-010)
ボリュームで実行できる操作
ボリュームに対しては、容量の追加、削除、コピー、初期化、再配置、所有権の変更、キャッシュ設定の変更、メディア スキャン設定の変更など、さまざまな処理を実行できます。
容量の追加
ボリュームの容量は次の2つの方法で拡張できます。
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プールまたはボリューム グループの使用可能な空き容量を使用します。
ボリュームに容量を追加するには、[ストレージ]>[プールとボリューム グループ]>[容量の追加]を選択します。
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ボリュームのプールまたはボリューム グループに未割り当て容量(未使用ドライブ)を追加します。この方法は、プールまたはボリューム グループに空き容量がない場合に使用します。
プールまたはボリューム グループに未割り当て容量を追加するには、[ストレージ]>[プールとボリューム グループ]>[容量の追加]を選択します。
プールまたはボリューム グループに使用可能な空き容量がない場合、ボリュームの容量を拡張することはできません。先にプールまたはボリューム グループのサイズを拡張するか、未使用のボリュームを削除する必要があります。
ボリュームの容量を拡張したら、それに応じてファイルシステムのサイズを手動で拡張する必要があります。方法は、使用しているファイルシステムによって異なります。詳細については、ホスト オペレーティング システムのドキュメントを参照してください。
削除
ボリュームを削除する一般的な状況としては、作成したボリュームのパラメーターや容量に誤りがあった場合、ストレージ構成のニーズを満たさなくなった場合、バックアップやアプリケーションのテスト用に作成したSnapshotイメージが不要になった場合などがあります。ボリュームを削除すると、プールまたはボリューム グループの空き容量が増えます。
ボリュームを削除すると、それらのボリューム上のすべてのデータが失われます。また、関連付けられているSnapshotイメージ、スケジュール、Snapshotボリュームも削除され、ミラー関係も削除されます。
コピー
ボリュームをコピーすると、同じストレージ システムに2つのボリューム(ソース ボリュームとターゲット ボリューム)のポイントインタイム コピーが作成されます。ボリュームをコピーするには、[ストレージ]>[ボリューム]>[コピー サービス]>[ボリュームのコピー]を選択します。
初期化
ボリュームを初期化すると、ボリュームからすべてのデータが消去されます。ボリュームは、最初に作成するときに自動的に初期化されます。ただし、一定の障害状況からリカバリーするために、ボリュームを手動で初期化するようRecovery Guruから指示される場合があります。ボリュームを初期化しても、ボリュームのWWN、ホストの割り当て、割り当て済み容量、リザーブ容量の設定は保持されます。また、Data Assurance(DA)設定とセキュリティ設定も同じままです。
ボリュームを初期化するには、[ストレージ]>[ボリューム]>[さらに表示]>[ボリュームの初期化]を選択します。
再配置
ボリュームの再配置は、ボリュームを優先コントローラー所有者に戻すために実行します。通常、ホストとストレージ システムの間のデータ パスに問題が生じた場合、マルチパス ドライバーがボリュームを優先コントローラー所有者から移動します。
ホストのマルチパス ドライバーのほとんどは、優先コントローラー所有者へのパスで各ボリュームへのアクセスを試みます。ただし、この優先パスが使用できなくなると、ホストのマルチパス ドライバーは代替パスにフェイルオーバーします。このフェイルオーバーにより、ボリュームの所有権が代替コントローラーに切り替わることがあります。フェイルオーバーの原因となった状況を解決すると、一部のホストではボリュームの所有権が優先コントローラー所有者に自動的に戻りますが、場合によっては手動でのボリュームの再配置が必要になります。
ボリュームを再配置するには、[ストレージ]>[ボリューム]>[さらに表示]>[ボリュームの再配置]を選択します。
ボリューム所有権の変更
ボリュームの所有権を変更すると、ボリュームの優先コントローラー所有権が変更されます。ボリュームの優先コントローラー所有権は、[ストレージ]>[ボリューム]>[設定の表示 / 編集]>[アドバンスト]タブに表示されます。
ボリュームの所有権を変更するには、[ストレージ]>[ボリューム]>[さらに表示]>[所有権の変更]を選択します。
ミラーリングとボリューム所有権
ミラー ペアでは、プライマリー ボリュームがコントローラーAで所有されている場合、セカンダリー ボリュームもリモート ストレージ システムのコントローラーAで所有されます。プライマリー ボリュームの所有者を変更すると、両方のボリュームが同じコントローラーで所有されるようにセカンダリー ボリュームの所有者も自動的に変更されます。プライマリー側で現在の所有権が変更されると、セカンダリー側の対応する所有権も自動的に変更されます。
ミラー整合性グループにローカルのセカンダリー ボリュームが含まれている場合にコントローラー所有権を変更すると、セカンダリー ボリュームは最初の書き込み処理時に自動的に元のコントローラー所有者に転送されます。セカンダリー ボリュームのコントローラー所有権は [所有権の変更] オプションでは変更できません。
ボリュームのコピーとボリューム所有権
ボリュームのコピー処理中は、同じコントローラーがソース ボリュームとターゲット ボリュームの両方を所有している必要があります。ボリュームのコピー処理の開始された時点で、両方のボリュームの優先コントローラーが同じでない場合があります。そのため、ターゲット ボリュームの所有権が自動的にソース ボリュームの優先コントローラーに転送されます。ボリュームのコピーが完了または停止すると、ターゲット ボリュームの所有権は元の優先コントローラーにリストアされます。
ボリュームのコピー処理中にソース ボリュームの所有権が変更された場合、ターゲット ボリュームの所有権も変更されます。特定のオペレーティング システム環境では、I/Oパスを使用する前に、マルチパス ホスト ドライバーの再設定が必要になる場合があります(一部のマルチパス ドライバーではI/Oパスを認識するために編集が必要です。詳細については、ドライバーのマニュアルを参照してください)。
キャッシュの設定の変更
キャッシュ メモリーは、ドライブ メディアよりも速くアクセスできる、コントローラー上の一時的な揮発性ストレージ(RAM)領域です。キャッシュ メモリーを使用すると、次の理由により、全体的なI/Oパフォーマンスを向上させることができます。
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読み取り用にホストから要求されたデータが以前の処理からすでにキャッシュに保持されている可能性があるため、ドライブへのアクセスが不要になります。
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書き込みデータは最初にキャッシュに書き込まれるため、データがドライブに書き込まれるのを待つことなくアプリケーションが処理を続行できます。
以下のキャッシュ設定を変更するには、[ストレージ]>[ボリューム]>[さらに表示]>[キャッシュ設定の変更]を選択します。
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読み取りおよび書き込みキャッシュ
読み取りキャッシュは、ドライブから読み取られたデータを格納するバッファーです。読み取り処理の対象となるデータが以前の処理ですでにキャッシュに格納されていれば、ドライブにアクセスする必要はありません。読み取りキャッシュのデータは、フラッシュされるまで保持されます。書き込みキャッシュは、ドライブにまだ書き込まれていないホストからのデータを格納するバッファーです。書き込みキャッシュのデータは、ドライブに書き込まれるまで保持されます。書き込みキャッシュにより、I/Oパフォーマンスを向上させることができます。
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ミラーリングありの書き込みキャッシュ
一方のコントローラーのキャッシュ メモリーに書き込まれたデータがもう一方のコントローラーのキャッシュ メモリーにも書き込まれます。そのため、一方のコントローラーで障害が発生した場合、もう一方のコントローラーで未処理の書き込み処理をすべて完了できます。書き込みキャッシュのミラーリングは、書き込みキャッシュが有効で、2台のコントローラーが配置されている場合にのみ使用できます。ミラーリングありの書き込みキャッシュは、ボリュームの作成時にデフォルトで設定されます。 -
バッテリなしの書き込みキャッシュ
バッテリがない、障害が発生している、完全に放電されている、フル充電されていないなどの状況でも書き込みキャッシュを継続します。バッテリなしの書き込みキャッシュを選択すると電源の喪失時にデータが失われる可能性があるため、一般には推奨されません。通常、書き込みキャッシュは、バッテリが充電されるか障害が発生したバッテリが交換されるまで、自動で一時的にオフになります。この設定は、書き込みキャッシュを有効にしている場合にのみ使用できます。この設定はシン ボリュームに対しては使用できません。
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動的キャッシュ読み取りプリフェッチ
コントローラーがドライブからキャッシュにデータ ブロックを読み取っているときに、連続するデータ ブロックを追加でキャッシュにコピーすることを許可する機能です。これにより、以降のデータ要求にキャッシュから対応できる可能性が高まります。動的キャッシュ読み取りプリフェッチは、シーケンシャルI/Oを使用するマルチメディア アプリケーションで重要です。データがキャッシュにプリフェッチされる速度と量は、ホスト読み取りの速度と要求サイズに基づいて自動で調整されます。ランダム アクセスの場合、データがキャッシュにプリフェッチされることはありません。この機能は、読み取りキャッシュが無効になっている場合は適用されません。動的キャッシュ読み取りプリフェッチはシン ボリュームに対しては常に無効で、変更することはできません。
メディア スキャンの設定の変更
メディア スキャンは、アプリケーションで頻繁に読み取られないディスク ブロック上のメディア エラーを検出して修復します。このスキャンにより、プールまたはボリューム グループ内の他のドライブで障害が発生しても、障害ドライブのデータが冗長性情報とプールまたはボリューム グループ内の他のドライブのデータを使用して再構築されるため、データが失われることはありません。
メディア スキャンは、スキャンされる容量とスキャン期間に基づいて一定の速度で継続的に実行されます。優先度の高いバックグラウンド タスク(再構築など)によってバックグラウンド スキャンが一時的に中断されることはありますが、その場合も同じ速度で再開されます。
メディア スキャンを有効にし、実行する期間を設定するには、[ストレージ]>[ボリューム]>[さらに表示]>[メディア スキャン設定の変更]を選択します。
ボリュームは、ストレージ システムとボリュームの両方でメディア スキャン オプションが有効になっている場合にのみスキャンされます。ボリュームで冗長性チェックも有効になっていてボリュームに冗長性情報がある場合、ボリューム内の冗長性情報とデータの整合性がチェックされます。メディア スキャンでの冗長性チェックは、ボリュームが作成されるときにデフォルトで有効になります。
スキャン中に回復不能なメディア エラーが検出された場合は、冗長性情報(使用可能な場合)を使用してデータが修復されます。たとえば、最適なRAID 5ボリューム、あるいは最適なRAID 6ボリュームまたは1本のドライブだけで障害が発生したRAID 6ボリュームには、冗長性情報が存在します。冗長性情報を使用して回復不能なエラーを修復できない場合は、読み取り不能セクター ログにそのデータ ブロックが追加されます。イベント ログには、修正可能なメディア エラーと修正不能なメディア エラーの両方が記録されます。
冗長性チェックでデータと冗長性情報の間に不整合が検出された場合は、イベント ログに記録されます。