導入するデータストレージのトポロジーに応じて、複数の種類のSnapMirror保護関係をUnified Managerで設定できます。すべての種類のSnapMirror保護では、フェイルオーバーによるディザスタリカバリー保護が提供されますが、パフォーマンス、バージョン依存性の解消、および複数のバックアップコピーによる保護については、提供される機能が異なります。

従来型のSnapMirror非同期保護関係

従来型のSnapMirror非同期保護では、ソースボリュームとデスティネーションボリューム間のブロックレプリケーションによるミラー保護が提供されます。

従来型のSnapMirror関係では、ブロックレプリケーションに基づいてミラー処理が行われるため、他のSnapMirror関係よりも高速なミラー処理が可能です。ただし、従来型のSnapMirror保護では、デスティネーションボリュームで実行されているONTAPソフトウェアのマイナーバージョンがソースボリュームと同じかそれよりも新しい必要があります。

バージョンに依存しないレプリケーションを使用したSnapMirror非同期保護

バージョンに依存しないレプリケーションを使用したSnapMirror非同期保護では、ソースボリュームとデスティネーションボリュームでONTAP 9.7以降の異なるバージョンのソフトウェアを実行している場合でも、これらのボリューム間に論理レプリケーションによるミラー保護が提供されます。

バージョンに依存しないレプリケーションを使用するSnapMirror関係の場合、ミラー処理は従来型のブロックレプリケーションによるSnapMirrorほど高速ではありません。

そのため、バージョンに依存しないレプリケーションを使用したSnapMirror保護の実装は次の状況には適していません。

1,000万を超える保護対象のファイルがソースオブジェクトに含まれている。
保護対象データの目標復旧時点が2時間以下である（つまり、ソースのデータからの遅れが2時間未満のリカバリー可能なミラーデータが常にデスティネーションに含まれている必要がある）。

これらのいずれかの状況では、デフォルトのSnapMirror保護をより高速なブロックレプリケーションベースで実行する必要があります。

バージョンに依存しないレプリケーションとバックアップオプションを使用したSnapMirror非同期保護

バージョンに依存しないレプリケーションとバックアップオプションを使用したSnapMirror非同期保護では、ソースボリュームとデスティネーションボリューム間のミラー保護、およびミラーデータの複数のコピーをデスティネーションに格納する機能が提供されます。

ストレージ管理者は、ソースからデスティネーションにミラーリングするSnapshotコピーを指定できます。また、それらのコピーをデスティネーションに（ソースのコピーが削除された場合でも）保持する期間を指定することもできます。

バージョンに依存しないレプリケーションとバックアップオプションを使用するSnapMirror関係の場合、ミラー処理は従来型のブロックレプリケーションによるSnapMirrorほど高速ではありません。

SnapMirrorユニファイドレプリケーション（ミラーバックアップ）

SnapMirrorユニファイドレプリケーションを使用すると、同じデスティネーションボリュームでディザスタリカバリーとアーカイブを設定できます。SnapMirrorと同様に、一元化されたデータ保護機能の初回起動時に、ベースライン転送が実行されます。デフォルトの一元化されたデータ保護ポリシーである「MirrorAndVault」を使用するベースライン転送では、ソースボリュームのSnapshotコピーが作成され、そのコピーおよびコピーが参照するデータブロックがデスティネーションボリュームに転送されます。SnapVaultと同様に、一元化されたデータ保護にはベースラインの古いSnapshotコピーが含まれません。

厳密な同期を使用したSnapMirror Synchronous保護

「厳密な」同期を使用したSnapMirror Synchronous保護では、プライマリーボリュームとセカンダリーボリュームが常にお互いの完全なコピーである必要があります。セカンダリーボリュームへのデータの書き込みでレプリケーションエラーが発生すると、プライマリーボリュームに対するクライアントI/Oが中断されます。

通常の同期を使用したSnapMirror Synchronous保護

「通常の」同期を使用したSnapMirror Synchronous保護では、プライマリーボリュームとセカンダリーボリュームが常にお互いの完全なコピーである必要はないため、プライマリーボリュームの可用性が確保されます。セカンダリーボリュームへのデータの書き込みでレプリケーションエラーが発生すると、プライマリーボリュームとセカンダリーボリュームが同期されていない状態のまま、プライマリーボリュームに対するクライアントI/Oが継続されます。

[健全性：すべてのボリューム]ビューまたは[ボリューム / 健全性の詳細]ページで同期保護関係を監視しているときは、[リストア]ボタンと関係処理の各ボタンは使用できません。

SnapMirror Synchronousビジネス継続性

ONTAP 9.8以降ではSnapMirror Business Continuity（SM-BC）機能が利用可能で、LUNを使用してアプリケーションを保護できるようになりました。アプリケーションが透過的にフェイルオーバーするため、災害発生時にもビジネス継続性を確保できます。

SM-BCを使用すると、クラスタおよびStorage Virtual Machineで使用可能な整合性グループ（CG）について、Unified Managerから同期SnapMirror関係を検出して監視できます。SM-BCはETERNUS AXクラスタまたはオールSANアレイ（ASA）クラスタでサポートされ、ETERNUS AXまたはASAのどちらかをプライマリークラスタとセカンダリークラスタに設定できます。また、iSCSI LUNまたはFCP LUNを使用してアプリケーションを保護します。

SM-BC関係で保護されているボリュームとLUNを表示すると、保護関係をまとめて表示し、ボリュームインベントリ内の整合性グループや、整合性グループ関係の保護トポロジー、および整合性グループ関係の最大1年分の履歴データを確認できます。レポートをダウンロードすることもできます。また、整合性グループ関係のサマリを表示したり、整合性グループ関係のサポートを検索したり、整合性グループで保護されているボリュームに関する情報を取得したりすることができます。

[関係]ページでは、整合性グループで保護されているソースとデスティネーションのストレージオブジェクトおよびその関係をソート、フィルタリングしたり、保護を拡張したりできます。

SnapMirror Synchronousビジネス継続性の詳細については、SM-BCに関するONTAP 9のドキュメントを参照してください。

Active IQ Unified Manager 9.13

SnapMirror保護の種類