エフサステクノロジーズ株式会社

本ページの製品は2024年4月1日より、エフサステクノロジーズ株式会社に統合となり、順次、切り替えを実施してまいります。一部、富士通表記が混在することがありますので、ご了承ください。

ONTAP 9 マニュアル ( CA08871-402 )

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整合性グループの概要

整合性グループは、1つの単位として管理されるボリュームの集まりです。ONTAPでは、複数のボリュームにまたがるアプリケーション ワークロードに対し、容易な管理と保護を提供します。

整合性グループを使用すると、シンプルなストレージ管理を実現することができます。20個のLUNにまたがる重要なデータベースが1つあるとします。これらのLUNは、個別に管理することも、独立した整合性グループにまとめて1つのデータセットとして扱うともできます。

整合性グループは、アプリケーション ワークロードの管理に便利です。ローカルとリモートの保護ポリシーを簡単に設定できるほか、一連のボリュームの特定の時点のクラッシュ整合性またはアプリケーション整合性Snapshotコピーを同時に作成できます。整合性グループのSnapshotコピーにより、アプリケーション ワークロード全体をリストアできます。

整合性グループについて

整合性グループは、プロトコル(NAS、SAN、NVMe)に関係なくすべてのFlexVolをサポートし、ONTAP REST APIまたはONTAP System Managerの[ストレージ] >[整合グループ]メニューから管理できます。ONTAP 9.14.1以降では、ONTAP CLIを使用して整合性グループを管理できます。

整合性グループは、個別のエンティティ(ボリュームの集まり)として使用することも、他の整合性グループで構成される階層型グループとして設定することもできます。個々のボリュームには、そのボリューム独自のSnapshotポリシーを設定できます。また、整合性グループ全体のSnapshotポリシーを設定することもできます。整合性グループは1つのSnapMirror Active Sync関係とSnapMirrorポリシーをすべてのボリュームで共有し、これらを使用して整合性グループ全体をリカバリーします。

次の図は、個別の整合性グループの使用方法を示しています。SVM1でホストされているアプリケーションのデータは、2つのボリュームvol1, vol2整合性グループのSnapshotポリシーは、データのSnapshotコピーを15分ごとにキャプチャーします。

Diagram of a single consistency group with its constituent volumes and local Snapshot policy

より大規模なアプリケーション ワークロードでは、複数の整合性グループが必要になることがあります。その場合、階層型整合性グループを作成し、整合性グループを親整合性グループの子コンポーネントにすることができます。親整合性グループには、最大5つの子整合性グループを含めることができます。個々の整合性グループと同様に、リモートのSM-BC保護ポリシーを整合性グループ全体(親と子)に適用してアプリケーション ワークロードをリカバリーできます。

次の例では、アプリケーションがSVM1でホストされています。管理者は、親整合性グループSVM1_appを作成し、その下にデータ用のSVM1appDataCGとログ用のSVM1app_logCGの2つのこ子整合性グループを配置しました。それぞれの子整合性グループには、独自のSnapshotポリシーがあります。SVM1appDataCG内のボリュームのSnapshotコピーは15分ごとに作成されます。SVM1app_logCGのSnapshotは1時間ごとに作成されます。親整合性グループSVM1_appには、災害発生時にデータをレプリケートしてサービスを継続できるようにするSM-BCポリシーが設定されています。

Diagram of a nested consistency group with its associated volumes

ONTAP 9.12.1以降、ONTAP System ManagerとONTAP REST APIの両方で、整合性グループのクローニング、およびボリュームの追加または削除によるグループ メンバーの変更がサポートされます。ONTAP 9.12.1以降、ONTAP REST APIでは次の機能もサポートされます。

  • 新規のNFS / SMBボリュームまたはNVMeネームスペースで整合性グループを作成する。

  • 新規または既存のNFS / SMBボリュームまたはNVMeネームスペースを既存の整合性グループに追加する。

整合性グループの監視

ONTAP 9.13.1以降の整合性グループは、リアルタイムおよび過去の容量とパフォーマンスを監視し、アプリケーションや個々の整合性グループのパフォーマンスに関する分析情報を提供します。

監視データは5分ごとに更新され、最長1年間保持されます。次の指標を追跡できます。

  • パフォーマンス:IOPS、レイテンシ、スループット

  • 容量:サイズ、使用中の論理容量、可用性

監視データはONTAP System Managerで整合性グループ メニューの[概要]タブを開くか、REST APIで要求することによって確認できます。ONTAP 9.14.1以降では、CLIでconsistency-group metrics showコマンドを使用して整合性グループの指標を表示できます。

ONTAP 9.13.1では、REST APIを使用する場合に限り、過去の指標を取得できます。ONTAP 9.14.1以降では、ONTAP System Managerでも過去の指標を取得できます。

整合性グループの保護

整合性グループは、次の方法で保護できます。

整合性グループを作成しても、保護が自動的に有効になるわけではありません。ローカル保護ポリシーとリモート保護ポリシーは、整合性グループの作成時または作成後に設定できます。

整合性グループで保護を設定する手順は、「整合性グループの保護」を参照してください。

リモート保護を利用するには、SnapMirror Active Syncの要件を満たす必要があります。

NASアクセス用にマウントされたボリュームではSM-BC関係を確立できません。

MetroCluster構成の整合性グループ

ONTAP 9.11.1以降では、MetroCluster構成内のクラスタにある新しいボリュームで整合性グループをプロビジョニングできます。これらのボリュームはミラーされたアグリゲートにプロビジョニングされます。

プロビジョニングが完了したら、整合性グループに関連付けられているボリュームを、ミラーされたアグリゲートとミラーされていないアグリゲートの間で移動できます。つまり、ミラーされたアグリゲート、ミラーされていないアグリゲート、またはその両方に、整合性グループに関連付けられているボリュームを配置できます。整合性グループに関連付けられているボリュームを含む、ミラーされたアグリゲートを、ミラーされていないアグリゲートに変更することができます。同様に、整合性グループに関連付けられているボリュームを含む、ミラーされていないアグリゲートを変更して、ミラーリングを有効にすることもできます。

ミラーされたアグリゲートに配置されている、整合性グループに関連付けられたボリュームとSnapshotコピーは、リモート サイト(サイトB)にレプリケートされます。サイトBのボリュームのデータは、整合性グループに対して書き込み順序の整合性を保証するため、災害時にはサイトBからデータをリカバリーできます。ONTAP 9.11.1以降が実行されているクラスタでは、REST APIおよびONTAP System Managerで整合性グループを使用して、整合性グループのSnapshotコピーにアクセスできます。ONTAP 9.14.1以降では、ONTAP CLIを使用してSnapshotコピーにアクセスすることもできます。

整合性グループに関連付けられているボリュームの一部またはすべてがミラーされていないアグリゲートに配置されていて、そのアグリゲートに現在アクセスできない場合、整合性グループに対するGETまたはDELETE処理はローカル ボリュームまたはホスティング アグリゲートがオフラインであるかのように動作します。

レプリケーション用の整合性グループ設定

サイトBでONTAP 9.10.1以前が実行されている場合は、整合性グループに関連付けられているボリュームのうち、ミラーされたアグリゲートにあるボリュームだけがサイトBにレプリケートされます。整合性グループの設定がレプリケートされるのは、両方のサイトでONTAP 9.11.1以降が実行されている場合のみです。サイトBをONTAP 9.11.1にアップグレードすると、サイトAの整合性グループのうち、関連付けられているボリュームがすべてミラーされたアグリゲートに配置されている整合性グループのデータが、サイトBにレプリケートされます。

ストレージのパフォーマンスと可用性を最適化するために、ミラーされたアグリゲートでは少なくとも20%の空きスペースを確保することを推奨します。ミラーされていないアグリゲートの推奨空きスペースは10%ですが、この追加の10%のスペースは、ファイルシステムが増分変更に対応するために使用することがあります。ミラーされたアグリゲートの場合、増分変更に際し、ONTAPのcopy-on-write Snapshotベースのアーキテクチャーが理由でスペース使用率が増えます。ここに挙げたベストプラクティスに従わない場合、パフォーマンスに悪影響が及ぶ可能性があります。

アップグレード時の考慮事項

ONTAP 9.10.1以降にアップグレードした場合、ONTAP 9.8および9.9.1でSnapMirror Active Sync(以前のSnapMirror Business Continuity)を使用して作成された整合性グループは、自動的にアップグレードされ、ONTAP System Managerの[ストレージ] > [整合グループ]またはONTAP REST APIで管理できるようになります。ONTAP 9.8または9.9.1からのアップグレードの詳細については、SnapMirror Active Syncのアップグレードとリバートに関する考慮事項に関するセクションを参照してください。

REST APIで作成された整合性グループのSnapshotコピーは、ONTAP System Managerの整合性グループ オプションおよびREST APIの整合性グループ エンドポイントで管理できます。ONTAP 9.14.1以降では、ONTAP CLIでも整合性グループのSnapshotを管理できます。

ONTAPIコマンドのcg-startおよびcg-commitで作成されたSnapshotコピーは、整合性グループのSnapshotとして認識されるため、ONTAP System Managerの整合性グループ オプションおよびONTAP REST APIの整合性グループ エンドポイントで管理できません。ONTAP 9.14.1以降では、SnapMirror Asynchronousポリシーを使用している場合、これらのSnapshotコピーをデスティネーション ボリュームにミラーリングできます。詳細については、SnapMirror Asynchronousの設定に関するセクションを参照してください。

リリース別のサポートされる機能

ONTAP 9.15.1 ONTAP 9.14.1 ONTAP 9.13.1 ONTAP 9.12.1 ONTAP 9.11.1 ONTAP 9.10.1

階層型整合性グループ

Snapshotコピーによるローカル保護

SnapMirror Active Sync

MetroClusterのサポート

2フェーズ コミット(REST APIのみ)

アプリケーション タグとコンポーネント タグ

整合性グループのクローニング

ボリュームの追加と削除

新しいNASボリュームを使用した整合性グループの作成

REST APIのみ

新しいNVMeネームスペースを使用した整合性グループの作成

REST APIのみ

子整合性グループ間でのボリュームの移動

整合性グループのジオメトリの変更

監視

SnapMirror Asynchronous(独立した整合性グループのみ)

SVMディザスタ リカバリー(独立した整合性グループのみ)

CLIのサポート

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