ONTAP 9.13

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整合性グループの概要

整合性グループは、1つの単位として管理されるボリュームの集まりです。ONTAPでは、複数のボリュームにまたがるアプリケーション ワークロードに対し、容易な管理と保護を提供します。

整合性グループを使用すると、シンプルなストレージ管理を実現することができます。20個のLUNにまたがる重要なデータベースが1つあるとします。これらのLUNは、個別に管理することも、独立した整合性グループにまとめて1つのデータセットとして扱うともできます。

整合性グループは、アプリケーション ワークロードの管理に便利です。ローカルとリモートの保護ポリシーを簡単に設定できるほか、一連のボリュームにおける特定時点のクラッシュ整合性またはアプリケーション整合性Snapshotコピーを同時に作成できます。整合性グループのSnapshotを使用すれば、アプリケーション ワークロード全体をリストアできます。

整合グループの詳細

整合性グループは、プロトコル(NAS、SAN、NVMe)に関係なくすべてのFlexVolをサポートし、ONTAP REST APIまたはONTAP System Managerの[ストレージ] >[整合グループ]メニューから管理できます。

整合性グループは、個別のエンティティ(ボリュームの集まり)として使用することも、他の整合性グループで構成される階層型グループとして設定することもできます。個々のボリュームには、そのボリューム独自のSnapshotポリシーを設定できます。また、整合性グループ全体のSnapshotポリシーを設定することもできます。整合性グループは1つのSnapMirror Business Continuity(SM-BC)関係とSM-BCポリシーをすべてのボリュームで共有し、これらを使用して整合性グループ全体をリカバリーします。

次の図は、個別の整合性グループの使用方法を示しています。SVM1でホストされているアプリケーションのデータは、2つのボリュームvol1vol2にまたがっています。整合性グループのSnapshotポリシーは、データのSnapshotを15分ごとにキャプチャーします。

Diagram of a single consistency group with its constituent volumes and local Snapshot policy

より大規模なアプリケーション ワークロードでは、複数の整合性グループが必要になることがあります。その場合、階層型整合性グループを作成し、整合性グループを親整合性グループの子コンポーネントにすることができます。親整合性グループには、最大5つの子整合性グループを含めることができます。個々の整合性グループと同様に、リモートのSM-BC保護ポリシーを整合性グループ全体(親と子)に適用してアプリケーション ワークロードをリカバリーできます。

次の例では、アプリケーションがSVM1でホストされています。管理者は、親整合性グループSVM1_appを作成し、その下にデータ用のSVM1appDataCGとログ用のSVM1app_logCGの2つのこ子整合性グループを配置しました。それぞれの子整合性グループには、独自のSnapshotポリシーがあります。SVM1appDataCG内のボリュームのSnapshotは15分ごとに作成されます。SVM1app_logCGのSnapshotは1時間ごとに作成されます。親整合性グループSVM1_appには、災害発生時にデータをレプリケートしてサービスを継続できるようにするSM-BCポリシーが設定されています。

Diagram of a nested consistency group with its associated volumes

ONTAP 9.12.1以降、ONTAP System ManagerとONTAP REST APIの両方で、整合性グループのクローニング、およびボリュームの追加または削除によるグループ メンバーの変更がサポートされます。ONTAP 9.12.1以降、ONTAP REST APIでは次の機能もサポートされます。

  • 新規のNFS / SMBボリュームまたはNVMeネームスペースで整合性グループを作成する。

  • 新規または既存のNFS / SMBボリュームまたはNVMeネームスペースを既存の整合性グループに追加する。

整合性グループの監視

ONTAP 9.13.1以降の整合性グループは、リアルタイムおよび過去の容量とパフォーマンスを監視し、アプリケーションや個々の整合性グループのパフォーマンスに関する分析情報を提供します。

監視データは5分ごとに更新され、最長1年間保持されます。次の指標を追跡できます。

  • パフォーマンス:IOPS、レイテンシ、スループット

  • 容量:サイズ、使用可能容量、使用済み容量

監視データは、ONTAP System Managerの整合グループメニューの[概要]タブで表示するか、REST APIで要求することで表示できます。

ONTAP 9.13.1では、REST APIを使用してのみ過去の指標を取得できます。

整合性グループの保護

整合性グループは、次の方法で保護できます。

整合性グループを作成しても、保護が自動的に有効になるわけではありません。ローカル保護ポリシーとリモート保護ポリシーは、整合性グループの作成時または作成後に設定できます。

整合性グループで保護を設定する手順は、「整合性グループの保護」を参照してください。

リモート保護を利用するには、SnapMirror Business Continuity構成の要件を満たす必要があります。

NASアクセス用にマウントされたボリュームではSM-BC関係を確立できません。

MetroCluster構成の整合性グループ

ONTAP 9.11.1以降では、MetroCluster構成内のクラスタにある新しいボリュームで整合性グループをプロビジョニングできます。これらのボリュームはミラーされたアグリゲートにプロビジョニングされます。

プロビジョニングが完了したら、整合性グループに関連付けられているボリュームを、ミラーされたアグリゲートとミラーされていないアグリゲートの間で移動できます。つまり、ミラーされたアグリゲート、ミラーされていないアグリゲート、またはその両方に、整合性グループに関連付けられているボリュームを配置できます。整合性グループに関連付けられているボリュームを含む、ミラーされたアグリゲートを、ミラーされていないアグリゲートに変更することができます。同様に、整合性グループに関連付けられているボリュームを含む、ミラーされていないアグリゲートを変更して、ミラーリングを有効にすることもできます。

ミラーされたアグリゲートに配置されている、整合性グループに関連付けられたボリュームとSnapshotは、リモート サイト(サイトB)にレプリケートされます。サイトBのボリュームのデータは、整合性グループに対して書き込み順序の整合性を保証するため、災害時にはサイトBからデータをリカバリーできます。ONTAP 9.11.1以降が実行されているクラスタでは、整合性グループSnapshotのREST API、およびONTAP System Managerを使用して、レプリケートされた整合性グループのSnapshotにアクセスできます。

整合性グループに関連付けられているボリュームの一部またはすべてがミラーされていないアグリゲートに配置されていて、そのアグリゲートに現在アクセスできない場合、整合性グループに対するGETまたはDELETE処理はローカル ボリュームまたはホスティング アグリゲートがオフラインであるかのように動作します。

レプリケーション用の整合性グループ設定

サイトBでONTAP 9.10.1以前が実行されている場合は、整合性グループに関連付けられているボリュームのうち、ミラーされたアグリゲートにあるボリュームだけがサイトBにレプリケートされます。整合性グループの設定がレプリケートされるのは、両方のサイトでONTAP 9.11.1以降が実行されている場合のみです。サイトBをONTAP 9.11.1にアップグレードすると、サイトAの整合性グループのうち、関連付けられているボリュームがすべてミラーされたアグリゲートに配置されている整合性グループのデータが、サイトBにレプリケートされます。

ストレージのパフォーマンスと可用性を最適化するために、ミラーアグリゲートでは少なくとも20%の空きスペースを確保することを推奨します。ミラーされていないアグリゲートでは10%が推奨されますが、追加の10%のスペースはファイルシステムで増分変更に対応するために使用できます。増分変更を行うと、ONTAPのcopy-on-write Snapshotベースのアーキテクチャーにより、ミラーされたアグリゲートのスペース使用率が向上します。これらのベストプラクティスに従わないと、パフォーマンスに悪影響を及ぼす可能性があります。

アップグレード時の考慮事項

ONTAP 9.8および9.9.1でSM-BCを使用して作成された整合性グループは、ONTAP 9.10.1以降へのアップグレード時に自動的にアップグレードされ、ONTAP System Managerの[ストレージ] >[整合グループ]またはONTAP REST APIで管理できるようになります。ONTAP 9.8または9.9.1からのアップグレードの詳細については、「SM-BCのアップグレードとリバートに関する考慮事項」を参照してください。

ONTAP REST APIで作成された整合性グループのSnapshotは、ONTAP System Managerの整合性グループ オプションおよびREST APIの整合性グループ エンドポイントで管理できます。

ONTAPIコマンドのcg-startおよびcg-commitで作成されたSnapshotは、整合性グループのSnapshotとして認識されないため、ONTAP System Managerの整合性グループ オプションおよびONTAP REST APIの整合性グループ エンドポイントで管理できません。

リリース別のサポートされる機能

ONTAP 9.13.1 ONTAP 9.12.1 ONTAP 9.11.1 ONTAP 9.10.1

階層型整合性グループ

X

X

X

X

ローカルのSnapshot保護

X

X

X

X

SnapMirror Business Continuity

X

X

X

X

MetroClusterのサポート

X

X

X

2フェーズ コミット(REST APIのみ)

X

X

X

アプリケーション タグとコンポーネント タグ

X

X

整合性グループのクローニング

X

X

ボリュームの追加と削除

X

X

新しいNASボリュームを使用した整合性グループの作成

X

REST APIのみ

新しいNVMeネームスペースを使用した整合性グループの作成

X

REST APIのみ

子整合性グループ間でのボリュームの移動

X

整合性グループのジオメトリの変更

X

監視

X

非同期SnapMirror(独立した整合性グループのみ)

X

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