ONTAP 9.13

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手動テイクオーバーのコマンド

パートナーでメンテナンスが必要な場合、およびその他の同様の状況では、テイクオーバーを手動で実行できます。テイクオーバーの実行に使用するコマンドは、パートナーの状態に応じて異なります。

実行する処理

使用するコマンド

パートナー ノードをテイクオーバーする

storage failover takeover

テイクオーバー(テイクオーバーを実行中のノードにパートナーのアグリゲートを移動する)の進捗を監視する

storage failover show‑takeover

クラスタ内のすべてのノードのストレージ フェイルオーバー ステータスを表示する

storage failover show

LIFを移行せずにパートナー ノードをテイクオーバーする

storage failover takeover ‑skip‑lif‑migration‑before‑takeover true

ドライブが一致していなくてもパートナー ノードをテイクオーバーする

storage failover takeover ‑skip‑lif‑migration‑before‑takeover true

ONTAPバージョンが一致していなくてもパートナー ノードをテイクオーバーする

: このオプションは、ONTAPの無停止アップグレードでのみ使用します。

storage failover takeover ‑option allow‑version‑mismatch

アグリゲートの再配置を実行せずにパートナー ノードをテイクオーバーする

storage failover takeover ‑bypass‑optimization true

パートナーによるストレージ リソースの正常終了を待たずにパートナー ノードをテイクオーバーする

storage failover takeover ‑option immediate

immediateオプションを指定してstorage failoverコマンドを実行する前に、次のコマンドを使用して別のノードにデータLIFを移行する必要があります。network interface migrate-all -node node

先にデータLIFを移行せずに storage failover takeover ‑option immediate コマンドを指定すると、skip‑lif‑migration‑before‑takeover オプションを指定していなくても、ノードからのデータLIFの移行が大幅に遅れます。

同様に、immediate オプションを指定した場合は、bypass‑optimizationオプションを false に設定しても、ネゴシエート テイクオーバーの最適化が省略されます。

テイクオーバーを手動で開始する場合のイプシロンの移動

手動で開始したテイクオーバーによって、ストレージ システムの1つのノードで予期しないノード障害が発生するとクラスタ全体のクォーラムが失われる可能性がある場合は、イプシロンを移動する必要があります。

タスク概要

計画的なメンテナンスを実施するときは、HAペアの一方のノードをテイクオーバーする必要があります。残りのノードでクライアント データの計画外の中断を防ぐには、クラスタ全体のクォーラムを維持することが必要です。場合によっては、テイクオーバーの実行時にクラスタで予期しないノード障害が発生し、クラスタ全体のクォーラムが失われることがあります。

この状況は、テイクオーバーするノードにイプシロンが設定されている場合や、イプシロンが設定されたノードが健全な状態でない場合に発生します。クラスタの耐障害性を高めるには、テイクオーバーするノード以外の健全なノードにイプシロンを移動します。通常はHAパートナーに移動します。

クォーラムの投票に参加するのは、対象となる健全なノードだけです。クラスタ全体のクォーラムを維持するには、対象となる、オンラインかつ健全なノードの半数を超える投票が必要です。クラスタ内のオンラインのノード数が偶数である場合は、クォーラムを維持するために、イプシロンと呼ばれる投票加重がいずれかのノードに追加で割り当てられます。

クラスタ形成の投票対象とするかどうかは cluster modify ‑eligibility false コマンドを使用して変更できますが、ノード構成のリストアや長時間にわたるメンテナンスを実施する場合以外は変更しないことを推奨します。クラスタ参加資格を無効に設定すると、参加資格を再設定してリブートするまで、そのノードはSANデータを提供しなくなります。ノードにクラスタ参加資格がないと、そのノードへのNASデータ アクセスも影響を受ける可能性があります。
手順
  1. クラスタの状態を確認し、テイクオーバーするノード以外の健全なノードにイプシロンが設定されていることを確認します。

    1. advancedモードのプロンプト(*>)が表示されたら、次のコマンドを入力してadvanced権限レベルに変更します。

      set -privilege advanced

    2. イプシロンが設定されているノードを特定します。

      cluster show

      次の例では、Node1にイプシロンが設定されています。

      ノード

      健全性

      参加資格

      イプシロン

      Node1
      Node2

      true
      true

      true
      true

      true
      false

      テイクオーバーするノードにイプシロンが設定されていない場合は、手順4に進みます。

  2. テイクオーバーするノードからイプシロンを削除します。

    cluster modify -node Node1 -epsilon false

  3. パートナー ノード(この例ではNode2)にイプシロンを割り当てます。

    cluster modify -node Node2 -epsilon true

  4. テイクオーバー処理を実行します。

    storage failover takeover -ofnode node_name

  5. admin権限レベルに戻ります。

    set -privilege admin

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