ONTAP 9.13

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自動ノード リファーラルの使用に関する要件とガイドライン

SMB自動ノード リファーラル(オートロケーション)を使用する前に、この機能をサポートするONTAPのバージョンなど、一定の要件について確認しておく必要があります。サポートされるSMBプロトコルのバージョンやその他の特別なガイドラインについても確認しておく必要があります。

ONTAPのバージョンとライセンスの要件

  • クラスタ内のすべてのノードで、自動ノード リファーラルがサポートされているバージョンのONTAPが実行されている必要があります。

  • オートロケーションを使用するSMB共有でワイドリンクが有効になっている必要があります。

  • CIFSのライセンスが有効で、SVMにSMBサーバーが配置されている必要があります。

SMBプロトコルのバージョン

  • SVMについては、すべてのバージョンのSMBで自動ノード リファーラルがサポートされます。

SMBクライアントの要件

SMB自動ノード リファーラルは、ONTAPでサポートされるすべてのMicrosoftクライアントでサポートされます。

ONTAPでサポートされるWindowsクライアントの最新情報については、富士通サポートにお問い合わせください。

データLIFの要件

データLIFをSMBクライアントのリファーラルとして使用する可能性がある場合は、NFSとCIFSの両方を有効にしたデータLIFを作成する必要があります。

自動ノード リファーラルは、ターゲット ノードのデータLIFでNFSプロトコルまたはSMBプロトコルのどちらかが有効になっていない場合は機能しないことがあります。

この要件が満たされない場合でも、データ アクセスには影響がありません。SMBクライアントは、SVMへの接続に使用した元のLIFを使用して共有をマッピングします。

参照されたSMB接続を確立する際のNTLM認証の要件

CIFSサーバーを含むドメインと自動ノード リファーラルを使用するクライアントを含むドメインで、NTLM認証が許可されている必要があります。

リファーラルを作成する際には、SMBサーバーからWindowsクライアントに参照先のIPアドレスが渡されます。IPアドレスを使用した接続にはNTLM認証が使用されるため、参照された接続に対してはKerberos認証は実行されません。

これは、WindowsクライアントではKerberosで使用されるサービス プリンシパル名(service/NetBIOS name および service/FQDN の形式)を作成できず、クライアントからサービスにKerberosチケットを要求できないためです。

自動ノード リファーラルでホーム ディレクトリー機能を使用する場合のガイドライン

ホーム ディレクトリー共有プロパティを有効にして共有を設定した場合、ホーム ディレクトリー設定で1つ以上のホーム ディレクトリー検索パスを設定できます。この検索パスで、SVMのボリュームを含む各ノードに格納されているボリュームを指定できます。クライアントはリファーラルを受け取り、使用できるアクティブなローカル データLIFがあれば、ホーム ユーザーのホーム ディレクトリーに対してローカルな、参照されたLIFを介して接続します。

SMB 1.0クライアントで自動ノード リファーラルを有効にして動的ホーム ディレクトリーにアクセスする場合は注意が必要です。SMB 1.0クライアントでは、認証を行う前、すなわちSMBサーバーに対してユーザーの名前が指定されていない段階で自動ノード リファーラルが必要になるからです。SMB 1.0クライアントでSMBホーム ディレクトリーへのアクセスが正常に機能するのは、以下に該当する場合です。

  • ドメイン名の形式の「%d\%w」(ドメイン名\ユーザー名)のような名前ではなく、「%w」(Windowsユーザー名)または「%u」(マッピングされたUNIXユーザー名)のような単純な名前を使用するようにSMBホーム ディレクトリーが設定されている。

  • ホーム ディレクトリー共有の作成時に、「HOME」のような静的な名前ではなく、変数(「%w」または「%u」)を使用してCIFSホーム ディレクトリー共有の名前が設定されている。

SMB 2.xクライアントとSMB 3.0クライアントの場合は、自動ノード リファーラルを使用してホーム ディレクトリーにアクセスする際に特別なガイドラインはありません。

参照接続が確立されているCIFSサーバーで自動ノード リファーラルを無効にする場合のガイドライン

自動ノード リファーラルのオプションを有効から無効に切り替えた場合、参照LIFに現在接続されているクライアントでは参照接続が維持されます。ONTAPではSMB自動ノード リファーラルのメカニズムとしてDFSリファーラルを使用しているため、オプションを無効にしたあとも、参照接続用にクライアントにキャッシュされているDFSリファーラルがタイムアウトするまでは参照LIFに再接続できます。これは、自動ノード リファーラルがサポートされないバージョンのONTAPにリバートした場合も同様です。クライアントは、クライアントのキャッシュからDFSリファーラルがタイムアウトするまで、引き続きリファーラルを使用します。

オートロケーションは、SMB自動ノード リファーラルを使用してクライアントにSVMのデータ ボリュームを所有しているノード上のLIFを参照させることで、SMBクライアントのパフォーマンスを向上させます。SMBクライアントがSVM上でホストされているSMB共有に接続するときに、要求されたデータを所有していない、クラスタ インターコネクト ネットワークを使用してデータを取得しているノード上のLIFを使用して接続することがあります。SMB接続が要求されたデータを含むノード上にあるLIFを使用している場合、クライアントへの応答時間が短縮されます。

ONTAPでは、Microsoftの分散ファイルシステム(DFS)リファーラルを使用して、要求されたファイルやフォルダーがネームスペース内の別の場所でホストされていることをSMBクライアントに通知することで、この機能を実現します。ノードがリファーラルを作成するのは、データを含むノード上にSVMのLIFがあることを特定した場合です。リファーラルは、クライアント接続が経由する、共有のルートの場所に基づいて作成されます。

リファーラルは、SMBネゴシエーション中に発生します。リファーラルは、接続が確立される前に作成されます。ONTAPがターゲット ノードに参照先のSMBクライアントを通知したあと、接続が確立され、それ以降、クライアントはその参照先LIFパスを介してデータにアクセスします。これにより、クライアントにはより高速なデータ アクセスが提供され、クラスタの余分な通信も回避されます。

Mac OSクライアントで自動ノード リファーラルを使用する際のガイドライン

Mac OSはMicrosoftのDistributed File System(DFS;分散ファイルシステム)をサポートしていますが、Mac OS XクライアントはSMB自動ノード リファーラルをサポートしていません。Windowsクライアントは、SMB共有に接続する前にDFSリファーラル要求を行います。ONTAPは、要求されたデータをホストしているノード上で見つかったデータLIFへのリファーラルを提供します。これによって、クライアントの応答時間が短縮されます。Mac OSでもDFSはサポートされますが、Mac OSクライアントの動作はWindowsクライアントとまったく同じではありません。

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