ONTAP 9.13

SVMのデータ移動 - 概要

ONTAP 9.10.1以降では、クラスタ管理者がSVMをソース クラスタからデスティネーション クラスタに無停止で再配置して、容量の管理や負荷分散を実行したり、ONTAP CLIを使用して機器のアップグレードやデータセンターの統合を実施したりすることができます。

この無停止でのSVM再配置機能は、ONTAP 9.10.1および9.11.1のETERNUS AXシリーズでサポートされます。ONTAP 9.12.1以降では、ETERNUS HXおよびETERNUS AXシリーズとハイブリッド アグリゲートの両方でこの機能がサポートされます。

SVMの名前とUUIDは移行後も変わらず、データLIF名、IPアドレス、オブジェクト名(ボリューム名など)もそのままです。SVM内のオブジェクトのUUIDは変わります。

SVMの移行ワークフロー

次の図はSVMの移行の一般的なワークフローを示しています。SVMの移行はデスティネーション クラスタから開始します。移行の進捗は、ソースとデスティネーションどちらからでも監視できます。カットオーバーは手動または自動で実行できます。デフォルトでは自動カットオーバーが実行されます。

SVM migration workflow

サポートされている構成

次の表に、サポートされる構成とサポートが利用可能なONTAPリリースを示します。

サポートされる構成

ONTAP 9.10.1

ONTAP 9.11.1

ONTAP 9.12.1

ONTAP 9.13.1

ETERNUS AXシリーズ

ETERNUS HXシリーズおよび混在シリーズ(ETERNUS AX-ETERNUS HX、ETERNUS HX-ETERNUS AX、ETERNUS AX-ETERNUS HXとハイブリッド アグリゲート)

×

×

アレイ/ノード ペアの総数

1

3

3

6

データセンター内の移行での最大ネットワーク レイテンシ:

2ms

2ms

10ms

10ms

前提条件

  • クラスタ管理者である

  • ソース クラスタとデスティネーション クラスタ間にピア関係が設定されている

  • ソース クラスタとデスティネーション クラスタにData Protection Bundleライセンスがインストールされている

  • ソース クラスタのすべてのノードでONTAP 9.10.1以降が実行されている

  • ソース クラスタのすべてのノードで同じバージョンのONTAPが実行されている

  • デスティネーション クラスタの有効なクラスタ バージョン(ECV)がソース クラスタと同じか、それより新しい

  • ソース クラスタとデスティネーション クラスタで、データLIFへのアクセス用に同じIPサブネットがサポートされている

  • ソース クラスタとデスティネーション クラスタを接続するネットワークの最大ラウンド トリップ タイム(RTT)が10ミリ秒未満である

  • ソースSVMでサポートされるデータボリュームの最大数は次のとおりです。

    • ETERNUS AXシリーズ:ONTAP 9.13.1以降が実行されているクラスタでは200、ONTAP 9.12.1以前が実行されているクラスタでは100。

    • ETERNUS HXシリーズ:80

  • デスティネーションにボリュームを配置する十分なスペースがある

  • ソースSVMに暗号化されたボリュームがある場合、デスティネーションでオンボード キー マネージャが設定されている

競合する処理

SVMの移行と競合する可能性がある以下の処理が実行中でないことを確認する必要があります。

  • フェイルオーバー処理

  • wafliron

  • フィンガープリント処理

  • ボリュームの移動、リホスト、クローニング、作成、変換、または分析

サポートされる機能

次の表に、SVMのデータ移動でサポートされるONTAP機能とサポートが利用可能なONTAPリリースを示します。

サポートされる機能

ONTAP 9.10.1

ONTAP 9.11.1

ONTAP 9.12.1

ONTAP 9.13.1

追加情報

非同期SnapMirrorのCopy to Cloud関係

×

×

ONTAP 9.12.1以降では、SVMをSnapMirrorのCopy to Cloudで移行する場合、移行先のデスティネーション クラスタにCopy to Cloudライセンスがインストールされていて、クラウドにミラーリングするボリュームの容量を移動できるだけの十分な容量があることが必要です。

非同期SnapMirrorデスティネーション

×

×

非同期SnapMirrorソース

×

  • FlexVol SnapMirror関係では、ほとんどの場合、移行中も通常どおり転送を続行できます。

  • カットオーバー中は、実行中の転送はキャンセルされ、新しい転送は失敗します。これらは移行が完了するまで再開できません。

  • スケジュールされた転送が移行中にキャンセルされるか失敗した場合、それらの転送は移行が完了しても自動で開始されません。

    SnapMirrorソースを移行した場合、SnapMirrorの更新が実行されるまで、ONTAPではボリュームの削除が防止されません。これは、移行されたSnapMirrorソース ボリュームのSnapMirrorに関する情報が、移行後の最初の更新までONTAPに通知されないためです。

自律型ランサムウェア対策

×

×

外部キー管理ツール

×

FabricPool

×

FabricPoolのサポートの詳細については、こちらを参照してください。

ファンアウト関係(移行するソースに複数のデスティネーションを持つSnapMirrorソース ボリュームがある)

×

ジョブ スケジュールのレプリケーション

×

ONTAP 9.10.1では、ジョブ スケジュールは移行時にレプリケートされないため、デスティネーションで手動で作成する必要があります。ONTAP 9.11.1以降では、ソースで使用されているジョブ スケジュールが移行時に自動的にレプリケートされます。

Volume Encryption

NFSとSMBの監査ログ

×

×

×

SVMの移行要件は次のとおりです。

  • デスティネーション クラスタで監査ログ リダイレクトを有効にする。

  • ソースSVMからの監査ログのデスティネーション パスをデスティネーション クラスタに作成しておく。

NFS v3、NFS v4.1、NFS v4.2

NFS v4.0

×

×

NFS v4.0プロトコル

×

×

SMBプロトコル

×

×

  • ONTAP 9.12.1以降では、SVMの移行にSMBによる停止を伴う移行が含まれます。

SnapMirrorアプリケーションのSVMピアリング

×

[[FabricPool support]] === FabricPoolのサポート

次のプラットフォームでは、FabricPoolのボリュームでSVMの移行がサポートされます。

  • Azure NetApp Filesプラットフォーム。すべての階層化ポリシー(snapshot-only、auto、all、none)がサポートされます。

  • オンプレミス プラットフォーム。サポートされるボリューム階層化ポリシーは「none」のみです。

サポートされない機能

SVMの移行では次の機能がサポートされません。

  • Cloud Volumes ONTAP

  • FlexCacheボリューム

  • FlexGroupボリューム

  • IPsecポリシー

  • IPv6 LIF

  • iSCSIワークロード

  • 負荷共有ミラー

  • MetroCluster

  • NDMP

  • SAN、NVMe over Fiber、Vscan、vStorage、S3レプリケーション

  • SMTape

  • SnapLock

  • SVM-DR

  • ソース クラスタのオンボード キー マネージャ(OKM)でCommon Criteria(CC)モードが有効になっているときのSVMの移行

  • 同期SnapMirror、SnapMirror Business Continuity

  • qtree、クォータ

  • VIP / BGP LIF

  • Virtual Storage Console for VMware vSphere(VSC 7.0以降、VSCはONTAP Tools for VMware vSphere仮想アプライアンスに含まれています)

  • ボリューム クローン

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