ONTAP 9.13

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ランサムウェア攻撃から保護するためのSnapshotコピーのロック

ONTAP 9.12.1以降では、非SnapLockボリューム上のSnapshotコピーをロックして、ランサムウェア攻撃から保護できます。Snapshotコピーをロックすると、Snapshotコピーを誤って削除したり、不正な操作によってSnapshotコピーが削除されたりすることがなくなります。

SnapLock ComplianceClock機能を使用すると、指定した期間Snapshotコピーをロックして、期限に達するまではSnapshotコピーを削除できないようにすることができます。Snapshotコピーをロックすると、改ざんを防止し、ランサムウェアの脅威から保護することができます。ボリュームがランサムウェア攻撃を受けた場合、ロックされたSnapshotコピーを使用してデータをリカバリーできます。

Snapshotコピーの改ざん防止の要件と考慮事項
  • ONTAP CLIを使用する場合は、クラスタ内のすべてのノードでONTAP 9.12.1以降が実行されている必要があります。ONTAP System Managerを使用する場合は、すべてのノードでONTAP 9.13.1以降が実行されている必要があります。

  • クラスタにSnapLockライセンスがインストールされている必要があります。

  • クラスタのComplianceClockを初期化しておく必要があります。

  • ボリュームでSnapshotロックが有効になっている場合は、クラスタをONTAP 9.12.1以降のバージョンにアップグレードできます。ただし、ロックされたすべてのSnapshotコピーが有効期限に達して削除され、Snapshotコピー ロックが無効になるまで、以前のバージョンのONTAPにリバートすることはできません。

  • Snapshotがロックされている場合、ボリュームの有効期限はSnapshotコピーの有効期限に設定されます。複数のSnapshotコピーがロックされている場合、ボリュームの有効期限はすべてのSnapshotコピーの中で最も遅い有効期限に設定されます。

  • ロックされたSnapshotコピーの保持期間はSnapshotコピーの保持数よりも優先されます。つまり、ロックされたSnapshotコピーの保持期間が終了しない間は、保持数の制限は適用されません。

  • SnapMirror関係では、mirror-vaultポリシー ルールに保持期間を設定できます。デスティネーション ボリュームでSnapshotコピー ロックが有効になっている場合、デスティネーションにレプリケートされたSnapshotコピーに対してその保持期間が適用されます。保持期間は保持数よりも優先されます。たとえば、保持数を超えても保持期限を過ぎていないSnapshotコピーは保持されます。

  • 非SnapLockボリューム上のSnapshotコピーは名前を変更できます。SnapMirror関係のプライマリー ボリュームでSnapshotの名前を変更すると、ポリシーがMirrorAllSnapshotsの場合にのみセカンダリー ボリュームにも変更内容が反映されます。他のタイプのポリシーの場合、名前を変更したSnapshotコピーは更新時に反映されません。

  • ONTAP CLIを使用する場合、ロックされたSnapshotコピーをvolume snapshot restoreコマンドでリストアできるのは、ロックされたSnapshotコピーが最新のコピーの場合のみです。リストアしようとするSnapshotコピーよりも新しい、期限が切れていないSnapshotコピーがあると、リストア処理は失敗します。

Snapshotコピーの改ざん防止でサポートされる機能
  • FlexGroupボリューム

    FlexGroupボリュームでは、Snapshotコピー ロックがサポートされます。Snapshotのロックは、ルート 構成のSnapshotコピーでのみ発生します。FlexGroupボリュームを削除できるのは、ルート 構成の有効期限が過ぎた場合のみです。

  • FlexVolからFlexGroupへの変換

    ロックされたSnapshotコピーがあるFlexVolをFlexGroupボリュームに変換できます。変換後もSnapshotコピーはロックされたままです。

  • ボリューム クローンとファイル クローン

    ロックされたSnapshotコピーからボリューム クローンとファイル クローンを作成できます。

サポートされない機能

現在、Snapshotコピーの改ざん防止では、次の機能はサポートされません。

  • Cloud Volumes ONTAP

  • 整合性グループ

  • FabricPool

  • FlexCacheボリューム

  • SMTape

  • SnapCenter

  • SnapMirror Business Continuity(SM-BC)

  • -schedule パラメーターを使用したSnapMirrorポリシー ルール

  • SnapMirror Synchronous

  • SVMのデータ移動

ボリューム作成時のSnapshotコピー ロックの有効化

ONTAP 9.12.1以降では、CLIのvolume createコマンドおよびvolume modifyコマンドで-snapshot-locking-enabledオプションを使用して、新しいボリュームの作成時または既存のボリュームの変更時にSnapshotコピー ロックを有効にすることができます。ONTAP 9.13.1以降では、ONTAP System Managerを使用してSnapshotコピー ロックを有効にすることができます。

ONTAP System Manager
  1. [ストレージ] > [ボリューム]に移動して、[追加]を選択します。

  2. [ボリュームの追加]ウィンドウで、[その他のオプション]を選択します。

  3. ボリュームの名前、サイズ、エクスポート ポリシー、および共有名を入力します。

  4. [Snapshotロックを有効にする]を選択します。SnapLockライセンスがインストールされていない場合、このオプションは表示されません。

  5. [Initialize SnapLock Compliance Clock]を選択します(まだ有効になっていない場合)。

  6. 変更を保存します。

  7. [ボリューム]ウィンドウで、更新したボリュームを選択し、[概要]を選択します。

  8. [SnapLockスナップショットロック]に「有効」と表示されていることを確認します。

CLI
  1. 新しいボリュームを作成してSnapshotコピー ロックを有効にするには、次のコマンドを入力します。

    volume create -vserver vserver_name -volume volume_name -snapshot-locking-enabled true

    次のコマンドは、vol1という名前の新しいボリュームでSnapshotコピー ロックを有効にします。

    > volume create -volume vol1 -aggregate aggr1 -size 100m -snapshot-locking-enabled true
    Warning: Snapshot copy locking is being enabled on volume “vol1” in Vserver “vs1”. It cannot be disabled until all locked Snapshot copies are past their expiry time. A volume with unexpired locked Snapshot copies cannot be deleted.
    Do you want to continue: {yes|no}: y
    [Job 32] Job succeeded: Successful

既存のボリュームでのSnapshotコピー ロックの有効化

ONTAP 9.12.1以降では、ONTAP CLIを使用して、既存のボリュームでSnapshotコピー ロックを有効にすることができます。ONTAP 9.13.1以降では、ONTAP System Managerを使用して、既存のボリュームでSnapshotコピー ロックを有効にすることができます。

ONTAP System Manager
  1. [ストレージ] > [ボリューム]に移動します。

  2. Menu Optionsを選択し、[編集] > [ボリューム]を選択します。

  3. [ボリュームの編集]ウィンドウで、[Snapshotコピー(ローカル)設定]セクションを探して[Snapshotロックを有効にする]を選択します。

    SnapLockライセンスがインストールされていない場合、このオプションは表示されません。

  4. [Initialize SnapLock Compliance Clock]を選択します(まだ有効になっていない場合)。

  5. 変更を保存します。

  6. [ボリューム]ウィンドウで、更新したボリュームを選択し、[概要]を選択します。

  7. [SnapLockスナップショットロック]に「有効」と表示されていることを確認します。

CLI
  1. 既存のボリュームを変更してSnapshotコピー ロックを有効にするには、次のコマンドを入力します。

    volume modify -vserver vserver_name -volume volume_name -snapshot-locking-enabled true

ロックされたSnapshotコピー ポリシーの作成と保持の適用

ONTAP 9.12.1以降では、Snapshotコピー ポリシーを作成してSnapshotコピーの保持期間を設定し、そのポリシーをボリュームに適用して、指定した期間Snapshotコピーをロックできます。保持期間を手動で設定して、Snapshotコピーをロックすることもできます。ONTAP 9.13.1以降では、ONTAP System Managerを使用してSnapshotコピー ロック ポリシーを作成し、ボリュームに適用できます。

Snapshotコピー ロック ポリシーの作成

ONTAP System Manager
  1. [ストレージ] > [storage VM]に移動して、Storage VMを選択します。

  2. [設定]を選択します。

  3. [Snapshotポリシー]を探してarrowを選択します。

  4. [Snapshotポリシーの追加]ウィンドウで、ポリシー名を入力します。

  5. Addを選択します。

  6. Snapshotコピー スケジュールの詳細(スケジュール名、保持するSnapshotコピーの最大数、SnapLockの保持期間など)を指定します。

  7. [SnapLock の保持期間]列に、SnapLock、Snapshotコピーを保持する時間数、日数、月数、または年数を入力します。たとえば、保持期間が5日のSnapshotコピー ポリシーでは、作成後5日間Snapshotコピーがロックされ、その間はSnapshotコピーを削除できません。サポートされる保持期間は次のとおりです。

    • 年: 0 - 100

    • 月:0 - 1200

    • 日: 0 - 36500

    • 時間: 0 - 24

  8. 変更を保存します。

CLI
  1. Snapshotコピー ポリシーを作成するには、次のコマンドを入力します。

    volume snapshot policy create -policy policy_name -enabled true -schedule1 schedule1_name -count1 maximum_Snapshot_copies -retention-period1 _retention_period

    次のコマンドは、Snapshotコピー ロック ポリシーを作成します。

    cluster1> volume snapshot policy create -policy policy_name -enabled true -schedule1 5min -count1 5 -retention-period1 "1 months"

ボリュームへのロック ポリシーの適用

ONTAP System Manager
  1. [ストレージ] > [ボリューム]に移動します。

  2. Menu Optionsを選択し、[編集] > [ボリューム]を選択します。

  3. [ボリュームの編集]ウィンドウで、[Snapshot コピーのスケジュールを設定する]を選択します。

  4. リストからSnapshotコピー ロック ポリシーを選択します。

  5. Snapshotコピー ロックがまだ有効になっていない場合は、[Snapshot ロックを有効にする]を選択します。

  6. 変更を保存します。

CLI
  1. 既存のボリュームにSnapshotコピー ロック ポリシーを適用するには、次のコマンドを入力します。

    volume modify -volume volume_name -vserver vserver_name -snapshot-policy policy_name

Snapshotコピーの手動作成時における保持期間の適用

Snapshotコピーの保持期間は、Snapshotコピーを手動で作成するときに適用できます。ボリュームでSnapshotコピー ロックが有効になっている必要があります。有効になっていない場合、保持期間の設定は無視されます。

ONTAP System Manager
  1. [ストレージ] > [ボリューム]に移動して、ボリュームを選択します。

  2. ボリュームの詳細ページで、[Snapshotコピー]タブを選択します。

  3. Add iconを選択します。

  4. Snapshotコピー名とSnapLockの有効期限を入力します。カレンダーから日付と時刻を選択できます。

  5. 変更を保存します。

  6. [ボリューム] > [Snapshotコピー]ページで、[表示/非表示]を選択し、[SnapLock の有効期限]を選択して[SnapLock の有効期限]列を表示し、保持期限が設定されたことを確認します。

CLI
  1. Snapshotコピーを手動で作成してロックの保持期間を適用するには、次のコマンドを入力します。

    volume snapshot create -volume volume_name -snapshot snapshot_copy_name -snaplock-expiry-time expiration_date_time

    次のコマンドは、新しいSnapshotコピーを作成して保持期間を設定します。

    cluster1> volume snapshot create -vserver vs1 -volume vol1 -snapshot snap1 -snaplock-expiry-time "11/10/2022 09:00:00"

既存Snapshotコピーへの保持期間の適用

ONTAP System Manager
  1. [ストレージ] > [ボリューム]に移動して、ボリュームを選択します。

  2. ボリュームの詳細ページで、[Snapshot コピー]タブを選択します。

  3. Snapshotコピーを選択し、Menu Optionsを選択して、[SnapLock有効期限の変更]を選択します。カレンダーから日付と時刻を選択できます。

  4. 変更を保存します。

  5. [ボリューム] > [Snapshot コピー]ページで、[表示/非表示]を選択し、[SnapLock有効期限]を選択して[SnapLock有効期限]列を表示し、保持期限が設定されたことを確認します。

CLI
  1. 既存のSnapshotコピーに保持期間を手動で適用するには、次のコマンドを入力します。

    volume snapshot modify-snaplock-expiry-time -volume volume_name -snapshot snapshot_copy_name -expiry-time expiration_date_time

    次の例は、既存のSnapshotコピーに保持期間を適用します。

    cluster1> volume snapshot modify-snaplock-expiry-time -volume vol1 -snapshot snap2 -expiry-time "11/10/2022 09:00:00"
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