エフサステクノロジーズ株式会社

本ページの製品は2024年4月1日より、エフサステクノロジーズ株式会社に統合となり、順次、切り替えを実施してまいります。一部、富士通表記が混在することがありますので、ご了承ください。

ONTAP 9 マニュアル ( CA08871-402 )

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クォータ設定の例

これらの例は、クォータを設定する方法とクォータ レポートを確認する方法を理解するのに役立ちます。

次の例では、vol1というボリューム1つで構成されたvs1というSVMを含むストレージ システムを想定しています。クォータのセットアップを開始するにあたり、次のコマンドを実行してこのSVMの新しいクォータ ポリシーを作成します。

cluster1::>volume quota policy create -vserver vs1 -policy-name quota_policy_vs1_1

このクォータ ポリシーは新規であるため、SVMに割り当てます。

cluster1::>vserver modify -vserver vs1 -quota-policy quota_policy_vs1_1
例1:デフォルト ユーザークォータ

vol1の各ユーザーに50MBのハードリミットを適用します。

cluster1::>volume quota policy rule create -vserver vs1 -policy-name quota_policy_vs1_1 -volume vol1 -type user -target "" -disk-limit 50MB -qtree ""

新しいルールをアクティブ化するには、ボリュームのクォータを初期化します。

cluster1::>volume quota on -vserver vs1 -volume vol1 -foreground

クォータ レポートを表示するには、次のコマンドを実行します。

cluster1::>volume quota report

次のようなクォータ レポートが表示されます。

Vserver: vs1
                                    ----Disk----  ----Files-----   Quota
Volume   Tree      Type    ID        Used  Limit    Used   Limit   Specifier
-------  --------  ------  -------  -----  -----  ------  ------   ---------
vol1               user    *           0B   50MB       0       -   *
vol1               user    jsmith    49MB   50MB      37       -   *
vol1               user    root        0B      -       1       -

最初の行には、作成したデフォルト ユーザークォータ(ドライブ制限など)が示されます。すべてのデフォルト クォータと同様に、このデフォルト ユーザークォータにはドライブまたはファイルの使用状況についての情報は表示されません。作成したクォータのほかに、さらに2つのクォータが表示されます(vol1上で現在ファイルを所有しているユーザーごとに1つ)。これらの付加的なクォータは、デフォルト ユーザークォータから自動的に派生するユーザークォータです。ユーザーjsmithの派生ユーザークォータのドライブ制限は、デフォルト ユーザークォータと同じく50MBです。rootユーザーの派生ユーザークォータは、追跡クォータ(無制限)です。

rootユーザー以外のシステム上のユーザーがvol1で50MBを超える容量を使用する操作(エディターからのファイル書き込みなど)の実行を試みると、その操作は失敗します。

例2:デフォルト ユーザークォータを無効にする明示的ユーザークォータ

ユーザーjsmithがボリュームvol1で使用できるスペースを増やす必要がある場合は、次のコマンドを実行します。

cluster1::>volume quota policy rule create -vserver vs1 -policy-name quota_policy_vs1_1 -volume vol1 -type user -target jsmith -disk-limit 80MB -qtree ""

ユーザーがクォータ ルールのターゲットとして明示的に示されるため、これは明示的ユーザークォータになります。

これは、このボリュームにおけるユーザーjsmithの派生ユーザークォータのドライブ制限を変更するため、既存のクォータ制限に対する変更になります。したがって、変更をアクティブ化するためにボリュームのクォータを再初期化する必要はありません。

クォータのサイズを変更するには、次のコマンドを実行します。

cluster1::>volume quota resize -vserver vs1 -volume vol1 -foreground

サイズを変更する間、クォータは有効なままです。サイズ変更プロセスは短時間で完了します。

次のようなクォータ レポートが表示されます。

cluster1::> volume quota report
Vserver: vs1
                                    ----Disk----  ----Files-----   Quota
Volume   Tree      Type    ID        Used  Limit    Used   Limit   Specifier
-------  --------  ------  -------  -----  -----  ------  ------   ---------
vol1               user    *           0B   50MB       0       -   *
vol1               user    jsmith    50MB   80MB      37       -   jsmith
vol1               user    root        0B      -       1       -
3 entries were displayed.

2行目にはドライブ制限80MBとクォータ指定子jsmithが示されています。

このため、jsmithは最大80MBのスペースをvol1で使用できます。ほかのユーザーの制限は50MBのままです。

例3:しきい値

ここでは、あと5MBでユーザーがドライブ制限に達するという時点で通知を受け取ることを想定します。すべてのユーザーに45MBのしきい値を作成し、jsmithに75MBのしきい値を作成するには、既存のクォータ ルールを変更します。

cluster1::>volume quota policy rule modify -vserver vs1 -policy quota_policy_vs1_1 -volume vol1 -type user -target "" -qtree "" -threshold 45MB
cluster1::>volume quota policy rule modify -vserver vs1 -policy quota_policy_vs1_1 -volume vol1 -type user -target jsmith -qtree "" -threshold 75MB

既存のルールのサイズが変更されるため、変更をアクティブ化するためにボリュームのクォータのサイズを変更します。サイズ変更プロセスが完了するまで待ちます。

クォータ レポートにしきい値を表示するには、 -thresholds パラメーターを volume quota report コマンドに追加します。

cluster1::>volume quota report -thresholds
Vserver: vs1
                                    ----Disk----  ----Files-----
Volume   Tree      Type    ID        Used  Limit   Used    Limit  Quota
                                          (Thold)                 Specifier
-------  --------  ------  -------  -----  -----  ------  ------  ---------
vol1               user    *           0B   50MB       0       -  *
                                           (45MB)
vol1               user    jsmith    59MB   80MB      55       -  jsmith
                                           (75MB)
vol1               user    root        0B      -       1       -
                                           ( -)
3 entries were displayed.

しきい値は、[Disk]の[Limit]列でかっこ内に表示されます。

例4:qtreeのクォータ

2つのプロジェクトのために所定のスペースを分割する必要があると想定します。proj1とproj2という名前の2つのqtreeを作成して、これらのプロジェクトをvol1内に含めることができます。

現在、ユーザーはそのボリューム全体で割り当てられているスペースと同じスペースをqtreeで使用できます(ただし、ルートまたは別のqtreeでのスペースの使用によってボリュームの制限値を超えていない場合)。また、1つのqtreeで、ボリュームの全容量を使用することも可能です。どちらのqtreeも20GBを超えることがないようにするには、このボリュームにデフォルト ツリークォータを作成します。

cluster1:>>volume quota policy rule create -vserver vs1 -policy-name quota_policy_vs1_1 -volume vol1 -type tree -target "" -disk-limit 20GB

クォータの種類がqtreeではなく、tree になっている点に注意してください。

これは新しいクォータであるため、サイズ変更でアクティブ化することはできません。ボリュームのクォータを再初期化します。

cluster1:>>volume quota off -vserver vs1 -volume vol1
cluster1:>>volume quota on -vserver vs1 -volume vol1 -foreground

該当する各ボリュームのクォータは、5分ほど経ってから再アクティブ化します。volume quota off コマンドの実行後すぐにアクティブ化しようとすると、エラーが発生する場合があります。また、特定のボリュームを含むノードからボリュームのクォータを再初期化するコマンドを実行することもできます。

クォータは、再初期化プロセス(サイズ変更プロセスより長い時間がかかる)では適用されません。

クォータ レポートを表示すると、新しい行(ツリークォータに関する行と派生ユーザークォータに関する行)がいくつか追加されていることがわかります。

以下の新しい行には、ツリークォータについての情報が表示されます。

                                    ----Disk----  ----Files-----   Quota
Volume   Tree      Type    ID        Used  Limit    Used   Limit   Specifier
-------  --------  ------  -------  -----  -----  ------  ------   ---------
.. .
vol1               tree    *           0B   20GB       0       -   *
vol1     proj1     tree    1           0B   20GB       1       -   proj1
vol1     proj2     tree    2           0B   20GB       1       -   proj2
.. .

作成したデフォルト ツリークォータは先頭の新しい行に表示され、[ID]列にアスタリスク(*)が示されます。ボリュームのデフォルト ツリークォータに対応して、ボリューム内のqtreeごとに派生ツリークォータがONTAPで自動的に作成されます。これらは、[Tree]列がproj1とproj2の行に表示されます。

以下の新しい行には、派生ユーザークォータについての情報が表示されます。

                                    ----Disk----  ----Files-----   Quota
Volume   Tree      Type    ID        Used  Limit    Used   Limit   Specifier
-------  --------  ------  -------  -----  -----  ------  ------   ---------
.. .
vol1     proj1     user    *           0B   50MB       0       -
vol1     proj1     user    root        0B      -       1       -
vol1     proj2     user    *           0B   50MB       0       -
vol1     proj2     user    root        0B      -       1       -
.. .

ボリュームのデフォルト ユーザークォータは、qtreeに対してクォータが有効になっていれば、そのボリュームに含まれるすべてのqtreeに自動的に継承されます。最初のqtreeクォータを追加したときに、qtreeのクォータを有効にしました。このため、qtreeごとに派生デフォルト ユーザークォータが作成されました。これらは、IDがアスタリスク(*)である行に示されています。

rootユーザーはファイルの所有者であるため、qtreeごとにデフォルト ユーザークォータが作成されたときに、各qtreeのrootユーザーに対して特別な追跡クォータも作成されました。これらは、IDがrootである行に示されています。

例5:qtreeのユーザークォータ

ユーザーがproj1 qtreeで使用できるスペースが、ボリューム全体で使用できるスペースよりも小さくなるように設定します。proj1 qtreeではユーザーが使用できるスペースを10MBに制限します。このため、qtreeのデフォルト ユーザークォータを作成します。

cluster1::>volume quota policy rule create -vserver vs1 -policy-name quota_policy_vs1_1 -volume vol1 -type user -target "" -disk-limit 10MB -qtree proj1

これは、このボリュームのデフォルト ユーザークォータから派生したproj1 qtreeのデフォルト ユーザークォータを変更するため、既存のクォータに対する変更になります。したがって、クォータのサイズを変更することで変更をアクティブ化できます。サイズ変更プロセスが完了したら、クォータ レポートを表示できます。

qtreeの新しい明示的ユーザークォータが示された、以下の新しい行がクォータ レポートに表示されます。

                                    ----Disk----  ----Files-----   Quota
Volume   Tree      Type    ID        Used  Limit    Used   Limit   Specifier
-------  --------  ------  -------  -----  -----  ------  ------   ---------
vol1     proj1     user    *           0B   10MB       0       -   *

しかし、デフォルト ユーザークォータを上書きする(ユーザーjsmithのスペースを増やす)ために作成したクォータがボリューム上にあったため、jsmithはproj1 qtreeにデータをこれ以上書き込むことができなくなっています。proj1 qtreeにデフォルト ユーザークォータを追加したため、そのクォータが適用され、そのqtreeでjsmithを含むすべてのユーザーのスペースを制限しています。ユーザーjsmithが使用できるスペースを増やすには、ドライブ制限を80MBにするqtreeの明示的ユーザークォータ ルールを追加して、qtreeのデフォルト ユーザークォータ ルールを上書きします。

cluster1::>volume quota policy rule create -vserver vs1 -policy-name quota_policy_vs1_1 -volume vol1 -type user -target jsmith -disk-limit 80MB -qtree proj1

これは、デフォルト クォータがすでに存在する明示的クォータであるため、クォータのサイズを変更することで変更をアクティブ化できます。サイズ変更プロセスが完了したら、クォータ レポートを表示します。

クォータ レポートに以下の新しい行が表示されます。

                                    ----Disk----  ----Files-----   Quota
Volume   Tree      Type    ID        Used  Limit    Used   Limit   Specifier
-------  --------  ------  -------  -----  -----  ------  ------   ---------
vol1     proj1     user    jsmith    61MB   80MB      57       -   jsmith

最終的に次のようなクォータ レポートが表示されます。

cluster1::>volume quota report
Vserver: vs1
                                    ----Disk----  ----Files-----   Quota
Volume   Tree      Type    ID        Used  Limit    Used   Limit   Specifier
-------  --------  ------  -------  -----  -----  ------  ------   ---------
vol1               tree    *           0B   20GB       0       -   *
vol1               user    *           0B   50MB       0       -   *
vol1               user    jsmith    70MB   80MB      65       -   jsmith
vol1     proj1     tree    1           0B   20GB       1       -   proj1
vol1     proj1     user    *           0B   10MB       0       -   *
vol1     proj1     user    root        0B      -       1       -
vol1     proj2     tree    2           0B   20GB       1       -   proj2
vol1     proj2     user    *           0B   50MB       0       -
vol1     proj2     user    root        0B      -       1       -
vol1               user    root        0B      -       3       -
vol1     proj1     user    jsmith    61MB   80MB      57       -   jsmith
11 entries were displayed.

proj1内のファイルに書き込むためには、ユーザーjsmithは次のクォータ制限を満たす必要があります。

  1. proj1 qtreeのツリークォータ

  2. proj1 qtreeのユーザークォータ

  3. ボリュームのユーザークォータ

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