ONTAP 9.13

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SnapMirror Synchronousディザスタ リカバリーの基本

16GB以上のメモリーを搭載したすべてのETERNUS HXシリーズとETERNUS AXシリーズでSnapMirror Synchronous(SM-S)テクノロジがサポートされます。SnapMirror Synchronousテクノロジはノード単位でライセンスされる機能で、ボリューム レベルの同期データ レプリケーションを提供します。

この機能を使用すると、データ損失ゼロが求められる金融や医療などの業種で、同期レプリケーションに関する規制や国の規定に対応できます。

SnapMirror SynchronousレプリケーションのHAペアあたりの最大処理数は、コントローラーのモデルによって異なります。

次の表は、1つのHAペアで許可されるSnapMirror Synchronous処理の最大数をプラットフォーム タイプとONTAPのリリース別に示しています。

プラットフォーム

ONTAP 9.9.1よりも前のリリース

ONTAP 9.9.1

ONTAP 9.10.1

ONTAP 9.11.1 / ONTAP 9.12.1

ETERNUS AX

80

160

200

400

ETERNUS HX

40

80

80

80

サポートされる機能

ONTAP 9.12.1では、SnapMirror Synchronousのノンストップ オペレーション(NDO)はETERNUS AX / ASAプラットフォームでのみサポートされます。ノンストップ オペレーションがサポートされることで、ダウンタイムを予定することなく多くの代表的なメンテナンス作業を実行できます。サポートされる処理にはテイクオーバーとギブバック、およびボリューム移動があり、2つのクラスタ間で1つのノードが稼働しているかぎりこれらの処理を実行できます。

ONTAP 9.10.1のSnapMirror Synchronousテクノロジでは、次の機能がサポートされます。ただし、ソース クラスタとデスティネーション クラスタのすべてのノードでONTAP 9.10.1が実行されている場合に限ります。

  • NFSv4.2

  • NVMe/TCP

SnapMirror Synchronousテクノロジは、NFSv3、FC、およびiSCSIの各プロトコルをサポートしており、いずれのネットワークでもレイテンシは10ミリ秒以内に抑えられます。

SnapMirror Synchronousでは、階層化ポリシーが「None」、「Snapshot」、「Auto」のいずれかに設定されたFabricPoolアグリゲート内のボリュームがソースとデスティネーションとしてサポートされます。FabricPoolアグリゲート内のデスティネーション ボリュームに「All」階層化ポリシーを設定することはできません。

ONTAP 9.7のSnapMirror Synchronousテクノロジでは、次の機能がサポートされています。

  • アプリケーションで作成されたSnapshotコピーのレプリケーション
    CLIまたはONTAP APIを使用してsnapshot create処理の実行時に適切なラベルでSnapshotコピーがタグ付けされている場合、SnapMirror Synchronousはアプリケーションを休止したあとにSnapshotコピー(ユーザーが作成したコピーと外部スクリプトで作成されたコピーの両方)をレプリケートします。Snapshotポリシーのスケジュールを使用して作成されたSnapshotコピーはレプリケートされません。

  • FC-NVMe

  • LUNクローンとNVMeネームスペース クローン
    アプリケーションで作成されたSnapshotコピーに基づくLUNクローンもサポートされます。

  • SVM DR

    • SnapMirror SynchronousのソースをSVM DRのソースとしても指定できます。たとえば、一方のデスティネーションがSM-Sでもう一方がSVM DRのファンアウト構成などです。

    • SM-SはDPソースのカスケードをサポートしていないため、SnapMirror SynchronousのソースをSVM DRのデスティネーションにすることはできません。
      デスティネーション クラスタでSVM DRの逆再同期を実行する前に、同期関係を解放する必要があります。

    • SVM DRはDPボリュームのレプリケーションをサポートしていないため、SnapMirror SynchronousのデスティネーションをSVM DRのソースにすることはできません。
      同期ソースの逆再同期を行うと、SVM DRでデスティネーション クラスタのDPボリュームが除外されます。

  • NFSv4.0とNFSv4.1

  • SMB 2.0以降

  • 混在プロトコル アクセス(NFSv3とSMB)

  • SnapMirror Synchronous関係のプライマリー ボリュームに対するウイルス対策

  • SnapMirror Synchronous関係のプライマリー ボリュームに対するハード クォータまたはソフト クォータ
    クォータ ルールはデスティネーションにレプリケートされないため、クォータ データベースはデスティネーションにレプリケートされません。

  • SnapMirror Synchronous関係のプライマリー ボリュームに対するFPolicy

  • SnapMirror Synchronousミラー-ミラー カスケード
    SnapMirror Synchronous関係のデスティネーション ボリュームからの関係は非同期SnapMirror関係である必要があります。

  • NASのソース ボリュームとデスティネーション ボリュームの間のタイムスタンプ パリティ

  • メタデータ処理頻度の上限の削除

  • TLS 1.2暗号化を使用した機密データ転送時のセキュリティ

  • クローンの自動削除

ONTAP 9.13.1以降では、SnapMirror SynchronousでNDMPがサポートされます。SnapMirror SynchronousでNDMPを使用するには、ソース クラスタとデスティネーション クラスタの両方でONTAP 9.13.1以降が実行されている必要があります。詳細については、「NDMPコピーを使用したデータの転送」を参照してください。

サポートされない機能

Synchronous SnapMirror関係では、次の機能はサポートされません。

  • 整合グループ

  • DP_Optimized ( DPO )システム

  • FlexGroup ボリューム

  • FlexCache ボリューム

  • グローバルスロットル

  • ファンアウト構成で確立できる SnapMirror Synchronous 関係は 1 つだけで、ソースボリュームからの残りの関係はすべて非同期 SnapMirror 関係にする必要があります。

  • LUN移動

  • LUNクローン/ファイルクローン

  • MetroCluster 構成

  • SANとNVMeの混在アクセス
    LUN と NVMe ネームスペースは、同じボリュームまたは SVM ではサポートされません。

  • SnapCenter

  • SnapLock ボリューム

  • SnapRestore

  • 改ざん防止Snapshotコピー

  • ターゲット・ボリューム上のダンプとSMTapeを使用したテープ・バックアップまたはリストア

  • ソースボリュームへのテープベースのリストア

  • ソースボリュームのスループットフロア (QoS最小)

  • VVol

動作モード

SnapMirror Synchronousには、使用するSnapMirrorポリシーに基づいて2つの動作モードがあります。

  • Syncモード
    Syncモードでは、アプリケーションのI/O処理がプライマリー ストレージ システムとセカンダリー ストレージ システムに
    並行して送信されます。何らかの理由でセカンダリー ストレージへの書き込みが完了しない場合、アプリケーションはプライマリー ストレージへの書き込みを継続できます。エラー状態が解消されると自動的にセカンダリー ストレージが再同期され、プライマリー ストレージからセカンダリー ストレージへの同期モードでのレプリケーションが再開されます。
    Syncモードでは、セカンダリー レプリケーションに失敗しないかぎり、RPO=0と非常に低いRTOを実現できます。セカンダリー レプリケーションに失敗した場合のRPOとRTOは、正確には予測できませんが、失敗の原因となった問題の解決に要する時間と再同期が完了するまでの時間に相当します。

  • StrictSyncモード
    SnapMirror Synchronousは、必要に応じてStrictSyncモードで実行できます。何らかの理由でセカンダリー ストレージへの書き込みが完了しない場合、アプリケーションI/Oが中断され、プライマリー ストレージとセカンダリー ストレージが同一に保たれます。プライマリーへのアプリケーションI/Oは、SnapMirror関係のステータスがInSyncに戻るまで再開されません。プライマリー ストレージで障害が発生した場合は、フェイルオーバー後にセカンダリー ストレージでアプリケーションI/Oを再開できます。この場合、データ損失は発生しません。
    StrictSyncモードのRPOは常にゼロで、RTOも非常に低く抑えられます。

関係のステータス

SnapMirror Synchronous関係のステータスは、通常の動作時は常にInSyncです。何らかの理由でSnapMirror転送に失敗すると、デスティネーションがソースと同期されていない状態になり、ステータスがOutofSyncになることがあります。

SnapMirror Synchronous関係については、一定の間隔で自動的にステータス(InSyncまたはOutofSync)がチェックされます。関係のステータスがOutofSyncになると、ONTAPは自動的に再同期プロセスを開始してInSyncステータスに戻します。再同期プロセスが実行されるのは、ソースまたはデスティネーションでの計画外のストレージ フェイルオーバーやネットワークの停止などによって転送に失敗した場合のみです。snapmirror quiescesnapmirror breakなどの処理をユーザーが開始した場合は、自動再同期は実行されません。

StrictSyncモードでは、SnapMirror Synchronous関係のステータスがOutofSyncになると、プライマリー ボリュームへのI/O処理がすべて停止します。Syncモードでは、SnapMirror Synchronous関係がOutofSync状態になってもプライマリーは停止せず、I/O処理が継続されます。

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