ONTAP 9.13

to English version

SANボリュームの概要

ONTAPでは、基本的なボリューム プロビジョニング オプションとして、シックプロビジョニング、シンプロビジョニング、セミシックプロビジョニングの3つを提供しています。ボリューム スペースおよびONTAPブロック共有テクノロジのスペース要件が、オプションごとに異なる方法で管理されます。これらのオプションの仕組みを理解することで、環境に最も適したオプションを選択できるようになります。

SAN LUNとNAS共有を同じFlexVolに配置することは推奨されません。SAN LUNとNAS共有それぞれに専用のFlexVolをプロビジョニングしてください。これにより、管理とレプリケーションの導入が簡素化され、Active IQ Unified ManagerでのFlexVolのサポート方法が統一されます。

ボリュームのシンプロビジョニング

シンプロビジョニング ボリュームは、作成時に追加のスペースが確保されません。ボリュームにデータが書き込まれるときに、書き込み処理に対応するために必要なアグリゲート内のストレージをボリュームが要求します。シンプロビジョニング ボリュームを使用する場合はアグリゲートをオーバーコミットできますが、アグリゲートの空きスペースが不足すると、必要なスペースをボリュームが確保できなくなる可能性があります。

シンプロビジョニングFlexVolを作成するには、その -space-guarantee オプションを none に設定します。

ボリュームのシックプロビジョニング

シックプロビジョニングは、ボリューム内のブロックにいつでも書き込むことができるように、作成時にアグリゲートから十分なストレージが確保されます。シックプロビジョニングを利用するようにボリュームを設定した場合は、ONTAPの任意のStorage Efficiency機能(圧縮や重複排除など)を使用して、さらに大容量のストレージ要件にも事前に対応できます。

シックプロビジョニングFlexVolを作成するには、その -space-slo(サービス レベル目標)オプションを thick に設定します。

ボリュームのセミシックプロビジョニング

セミシックプロビジョニングを利用するボリュームを作成すると、ボリューム サイズに相当するストレージ スペースがアグリゲートから確保されます。ブロック共有テクノロジでブロックが使用されているためにボリュームの空きスペースが不足しそうになると、保護データ オブジェクト(Snapshotコピー、FlexCloneファイル、FlexClone LUN)が削除され、該当するオブジェクトが保持しているスペースが解放されます。上書きに必要なスペースを確保できる速度でONTAPが保護データ オブジェクトを削除できるかぎり、書き込み処理は続行されます。これは、「ベスト エフォート」の書き込み保証と呼ばれます。

: セミシックプロビジョニングを使用するボリュームでは、次の機能がサポートされません。

  • Storage Efficiencyテクノロジ(重複排除、圧縮、コンパクションなど)

  • Microsoftオフロード データ転送(ODX)

セミシックプロビジョニングFlexVolを作成するには、その -space-slo(サービス レベル目標)オプションを semi-thick に設定します。

スペース リザーブ ファイルおよびスペース リザーブLUNでの使用

スペース リザーブ ファイルまたはスペース リザーブLUNは、ストレージを作成したときにそのストレージに割り当てられるものです。富士通では従来から、スペース リザベーションが無効になっているLUN(スペース リザーブなしのLUN)を「シンプロビジョニング」LUNと呼んでいました。

: 一般に、スペース リザーブなしのファイルが「シンプロビジョニング ファイル」と呼ばれることはありません。

次の表に、スペース リザーブ ファイルおよびスペース リザーブLUNで使用できる3つのボリューム プロビジョニング オプションの主な違いを示します。

ボリューム プロビジョニング LUN / ファイルのスペース リザベーション 上書き 保護データ2 Storage Efficiency3

シック

サポート

保証1

保証

サポート

シン

効果なし

なし

保証

サポート

セミシック

サポート

ベスト エフォート1

ベスト エフォート

サポート対象外

  1. 上書きの保証またはベスト エフォートの上書き保証が行われるには、LUNまたはファイルでスペース リザベーションが有効になっている必要があります。

  2. 保護データには、Snapshotコピーおよび自動削除の対象とマークされたFlexCloneファイルとFlexClone LUN(バックアップ クローン)が含まれます。

  3. Storage Efficiencyには、重複排除、圧縮、自動削除の対象とマークされていないFlexCloneファイルとFlexClone LUN(アクティブ クローン)、およびFlexCloneサブファイル(コピー オフロードに使用)が含まれます。

SCSIシンプロビジョニングLUNのサポート

ONTAPは、 T10 SCSIシンプロビジョニングLUNに加え、FujitsuシンプロビジョニングLUNもサポートしています。T10 SCSIシンプロビジョニングにより、ホスト アプリケーションはSCSI機能(ブロック環境でのLUNのスペース再生機能やスペース監視機能など)をサポートできるようになります。使用するSCSIホスト ソフトウェアも、T10 SCSIシンプロビジョニングをサポートしている必要があります。

LUNのT10シンプロビジョニングのサポートを有効 / 無効にするには、ONTAPの space-allocation 設定を使用します。LUNのT10 SCSIシンプロビジョニングを有効にするには、ONTAPの space-allocation enable 設定を使用します。

T10シンプロビジョニングのサポートを有効 / 無効にする方法と、LUNのT10 SCSIシンプロビジョニングを有効にする方法の詳細は、『ONTAP コマンドレファレンス』の [-space-allocation {enabled|disabled}] コマンドに記載されています。

Top of Page