ONTAP 9.13

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ASAプラットフォームのiSCSI LIFフェイルオーバー

ONTAP 9.11.1以降、オールフラッシュSANアレイ(ASA)プラットフォームでは、iSCSI LIFフェイルオーバー機能のSFOパートナー フェイルオーバー(iSCSI LIFがホーム ノード / ポートからHAパートナー ノード / ポートに移動、その後元に戻る動作)およびローカル フェイルオーバー(iSCSI LIFが現在のホーム ノード上の健全でないポートから健全なポートに移動、その後元に戻る動作)で、iSCSI LIFの自動および手動での移行がサポートされます。この機能により、iSCSIで実行されるSANワークロードのI/Oを迅速に再開できます。

iSCSI LIFフェイルオーバーの有効化について

ここでは、iSCSI LIFフェイルオーバーが自動で有効になる状況と手動で有効にする必要がある状況について、新規に作成したiSCSI LIFや既存のiSCSI LIFに対する影響も含めて説明します。

  • iSCSI LIFの自動移行では、LIFのフェイルオーバーと自動リバートが特定のイベントでトリガーされます。計画的フェイルオーバーや計画外フェイルオーバーのほか、物理イーサネット リンクが停止した場合やノードがレプリケートされたデータベース(RDB)クォーラムのメンバーでなくなった場合に開始されます。

    • ASA HAペアをONTAP 9.11.1にアップグレードしたあと、新規に作成したiSCSI LIFでは、指定したStorage VMにiSCSI LIFが存在していない場合、または指定したStorage VM内の既存のすべてのiSCSI LIFでiSCSI LIFフェイルオーバーがすでに有効になっている場合、この機能が自動的に有効になります。

    • ONTAP 9.11.1にアップグレードする前に作成されたiSCSI LIFでiSCSI LIFフェイルオーバー機能を使用するには、ONTAP CLIを使用して有効にする必要があります(フェイルオーバー機能と自動リバート機能を有効にするには、フェイルオーバー ポリシーをsfo-partner-onlyに変更し、auto-revertの値をtrueに指定します)。

      既存のiSCSI LIFでiSCSI LIFフェイルオーバーを有効にしないと、フェイルオーバー イベントが発生してもiSCSI LIFはフェイルオーバーされません。

      また、ONTAP 9.11.1以降へのアップグレード後に、iSCSI LIFフェイルオーバー機能が有効になっていない既存のiSCSI LIFがあるStorage VMに新しいiSCSI LIFを作成した場合、新しいiSCSI LIFのフェイルオーバー ポリシーはStorage VM内の既存のiSCSI LIFと同じ(disabled)になります。

  • iSCSI LIFの手動移行では、LIFの移行とリバートをクラスタ管理者がONTAP CLIまたはONTAP System Managerを使用して開始します。

    次の場合、iSCSI LIFを手動で移行およびリバートします。

    • 定期的なメンテナンスや交換が必要な場合。

    • 既存のiSCSI LIF(つまり、HAペアを9.11.1以降にアップグレードする前に作成されたiSCSI LIF)があり、そのLIFでiSCSI LIFフェイルオーバー機能を有効にしていない場合。

iSCSI LIFフェイルオーバーの仕組み

iSCSI LIFフェイルオーバーを(自動または手動で)有効にしたLIFには、次のような処理が適用されます。

  • data-iscsiサービス ポリシーを使用するLIFに使用できるフェイルオーバー ポリシーは、sfo-partner-onlylocal-only、およびdisabledのみです。

  • iSCSI LIFをHAパートナーにフェイルオーバーできるのは、フェイルオーバー ポリシーがsfo-partner-onlyに設定されている場合のみです。

  • LIFの自動リバートは、auto-revertがtrueに設定されていて、LIFのホーム ポートが健全でLIFをホストできる場合に実行されます。

  • ノードの計画的テイクオーバーと計画外テイクオーバーでは、テイクオーバーされたノードのiSCSI LIFがHAパートナーにフェイルオーバーされます。LIFのフェイルオーバー先ポートはVIFマネージャによって決定されます。

  • フェイルオーバーが完了すると、iSCSI LIFは正常に動作するようになります。

  • auto-revertがtrueに設定されている場合、ギブバックが開始されるとiSCSI LIFがホーム ノード / ポートにリバートされます。

  • iSCSI LIFをホストしているポートでイーサネット リンクが停止すると、VIFマネージャは、停止したポートから同じブロードキャスト ドメイン内の別のポートにLIFを移行します。新しいポートは、同じノードのポートの場合もHAパートナーのポートの場合もあります。auto-revertがtrueに設定されている場合、リンクが復旧すると、VIFマネージャはiSCSI LIFをホーム ノード / ポートにリバートします。

  • ノードがレプリケートされたデータベース(RDB)クォーラムのメンバーでなくなると、VIFマネージャは、そのノードからHAパートナーにiSCSI LIFを移行します。auto-revertがtrueに設定されている場合、ノードがクォーラムのメンバーに復帰すると、VIFマネージャはiSCSI LIFをホーム ノード / ポートにリバートします。

iSCSI LIFの移行とリバート

ONTAP System ManagerまたはONTAP CLIを使用して、iSCSI LIFを同じノードまたはHAパートナーの別のポートに手動で移行し、その後、ホーム ノード / ポートにリバートすることができます。

ONTAP System Managerを使用したiSCSI LIFの移行とリバート

ONTAP System Managerを使用して、1つ以上のiSCSI LIF(ネットワーク インターフェイス)を同じノードまたはHAパートナーのポートに移行し、その後リバートすることができます。

開始する前に

ASAプラットフォームのHAペアで、ONTAP 9.11.1以降が実行されている必要があります。

LIFの移行

手順
  1. ONTAP System Managerで、[ネットワーク] > [概要] > [ネットワークインターフェイス]をクリックします。

  2. 移行するLIFを選択し、Kabob Iconをクリックして[移行]をクリックします。

  3. [ネットワークインターフェイスの移行]ダイアログ ボックスで、移行先のHAパートナーのノードとポートを選択します。

    SCSI LIFを完全に移行するオプションも選択できます。完全に移行する場合は、iSCSI LIFがオフラインになっている必要があります。また、完全に移行したiSCSI LIFは元に戻すことができません。リバートのオプションはありません。
  4. [移行]をクリックします。

LIFのリバート

手順
  1. ONTAP System Managerで、[ネットワーク] > [概要] > [ネットワークインターフェイス]をクリックします。

  2. リバートするLIFを選択し、Kabob Iconをクリックして[Revert Network Interface]をクリックします。

  3. [Revert Network Interface]ダイアログ ボックスで[Revert]をクリックします。

ONTAP CLIを使用したiSCSI LIFの移行とリバート

ONTAP CLIを使用して、1つ以上のiSCSI LIFを同じノードの別のポートまたはHAパートナーのポートに移行し、その後リバートすることができます。

開始する前に

ASAプラットフォームのHAペアで、ONTAP 9.11.1以降が実行されている必要があります。

実行する処理

使用するコマンド

iSCSI LIFを別のノード / ポートに移行する

使用可能なコマンドについては、「LIFの移行」を参照してください。

iSCSI LIFをホーム ノード / ポートにリバートする

使用可能なコマンドについては、「ホーム ポートへのLIFのリバート」を参照してください。

ONTAP CLIを使用したiSCSI LIFの管理

ONTAP CLIを使用してiSCSI LIFを管理できます。新しいiSCSI LIFを作成したり、既存のLIFでiSCSI LIFフェイルオーバー機能を有効にしたりできます。

開始する前に

ASAプラットフォームのHAペアで、ONTAP 9.11.1以降が実行されている必要があります。

タスク概要

すべてのnetwork interfaceコマンドの一覧については、ONTAPコマンド リファレンスを参照してください。

実行する処理

使用するコマンド

iSCSI LIFを作成する

network interface create -vserver SVM_name -lif iscsi_lif -service-policy default-data-blocks -data-protocol iscsi -home-node node_name -home-port port_name -address IP_address -netmask netmask_value

詳細については、「LIFの作成」を参照してください。

LIFが正常に作成されたことを確認する

network interface show -vserver SVM_name -fields failover-policy,failover-group,auto-revert,is-home

iSCSI LIFの自動リバートのデフォルト設定を無効にできるかどうかを確認する

network interface modify -vserver SVM_name -lif iscsi_lif -auto-revert false

iSCSI LIFでストレージ フェイルオーバーを実行する

storage failover takeover -ofnode node_name -option normal

次の警告が表示されます:A takeover will be initiated. Once the partner node reboots, a giveback will be automatically initiated. Do you want to continue? {y/n}:

y」と応答すると、HAパートナーからのテイクオーバー メッセージが表示されます。

既存のLIFでiSCSI LIFフェイルオーバー機能を有効にする

クラスタをONTAP 9.11.1以降にアップグレードする前に作成されたiSCSI LIFについて、iSCSI LIFフェイルオーバー機能を有効にすることができます(フェイルオーバー ポリシーをsfo-partner-onlyに、auto-revertをtrueに変更します)。

network interface modify -vserver SVM_name -lif iscsi_lif –failover-policy sfo-partner-only -auto-revert true

他のパラメーターはすべてそのままで「-lif*」を指定すると、Storage VM内のすべてのiSCSI LIFに対してこのコマンドを実行できます。

既存のLIFでiSCSI LIFフェイルオーバー機能を無効にする

クラスタをONTAP 9.11.1以降にアップグレードする前に作成されたiSCSI LIFについて、iSCSI LIFフェイルオーバー機能と自動リバート機能を無効にすることができます。

network interface modify -vserver SVM_name -lif iscsi_lif –failover-policy disabled -auto-revert false

他のパラメーターはすべてそのままで「-lif*」を指定すると、Storage VM内のすべてのiSCSI LIFに対してこのコマンドを実行できます。

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