ONTAP 9.13

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ONTAPでサポートされる環境変数

環境変数は、NDMP対応のバックアップ アプリケーションとストレージ システムの間でバックアップまたはリストア処理に関する情報を伝えるために使用されます。ONTAPでサポートされる環境変数には、デフォルト値が関連付けられています。ただし、これらのデフォルト値は、手動で変更できます。

バックアップ アプリケーションによって設定された値を手動で変更すると、アプリケーションが想定外の動作をすることがあります。これは、バックアップ アプリケーションの想定とは異なるバックアップまたはリストア処理が行われるためです。ただし、状況によっては、適切な変更によって問題の特定や回避に役立つ場合があります。

次の表は、ダンプとSMTapeで動作が同じで、ダンプとSMTapeでのみサポートされる環境変数を示しています。また、ONTAPでサポートされる環境変数が使用された場合の動作の説明も記載されています。

ほとんどの場合、値を指定する変数では、Y の代わりに TN の代わりに F を使用できます。

ダンプとSMTapeでサポートされる環境変数

環境変数 有効な値 デフォルト値 説明

DEBUG

Y または N

N

デバッグ情報を表示することを指定します。

FILESYSTEM

string

なし

バックアップされるデータのルートのパス名を指定します。

NDMP_VERSION

return_only

なし

NDMP_VERSION変数は変更しないでください。NDMP_VERSION変数はバックアップ処理によって作成され、NDMPのバージョンを返します。

ONTAPは、内部使用のため、および情報としてバックアップ アプリケーションに渡すために、バックアップ時にNDMP_VERSION変数を設定します。NDMPセッションのNDMPバージョンは、この変数では設定されません。

PATHNAME_SEPARATOR

return_value

なし

パス名の区切り文字を指定します。

この文字はバックアップ対象のファイルシステムによって異なります。ONTAPの場合は、「/」という文字がこの変数に代入されます。NDMPサーバーでは、この変数を設定してからテープ バックアップ処理を開始します。

TYPE

dump または smtape

dump

テープ バックアップおよびリストア処理の実行がサポートされているバックアップのタイプを指定します。

VERBOSE

Y または N

N

テープ バックアップまたはリストア処理の実行中のログ メッセージの数を増やします。

ダンプ用にサポートされる環境変数

環境変数 有効な値 デフォルト値 説明

ACL_START

return_only

なし

ACL_START変数は、バックアップ処理によって作成され、直接アクセス リストアまたは再開可能NDMPバックアップ処理で使用されるオフセット値を示します。

オフセット値は、ダンプ ファイル内でACLデータ(Pass V)が始まるバイト オフセットであり、バックアップ終了時に返されます。直接アクセス リストア処理でバックアップ データを正しくリストアするには、開始時にACL_START値がリストア処理に渡される必要があります。NDMP再開可能バックアップ処理では、ACL_START値を使用して、バックアップ ストリームにおいて再開できない部分の開始位置をバックアップ アプリケーションに伝えます。

BASE_DATE

0-1 、または DUMP_DATE の値

-1

増分バックアップの開始日を指定します。

-1 に設定すると、BASE_DATE増分指定子は無効になります。レベル0バックアップで 0 に設定すると、増分バックアップが有効になります。2回目以降のバックアップでは、前回の増分バックアップのDUMP_DATE変数の値がBASE_DATE変数に代入されます。

これらの変数は、LEVELまたはUPDATEに基づく増分バックアップに代わるものです。

DIRECT

Y または N

N

リストアの際に、テープ全体をスキャンするのではなく、ファイル データがある場所まで直接早送りすることを指定します。

DARを利用するには、バックアップ アプリケーションで位置情報を提供する必要があります。この変数を Y に設定すると、バックアップ アプリケーションによって、ファイルまたはディレクトリー名と位置情報が指定されます。

DMP_NAME

string

なし

複数サブツリー バックアップの名前を指定します。

この変数は、複数サブツリー バックアップに必須です。

DUMP_DATE

return_value

なし

この変数を直接変更することはできません。BASE_DATE変数が -1 以外の値に設定された場合にバックアップによって作成されます。

DUMP_DATE変数は、ダンプ ソフトウェアによって計算された32ビットの時刻値の前に32ビットのレベル値を付けることによって生成されます。レベルは、BASE_DATE変数に最後に渡されたレベル値から増分されます。増分後の値が、次回の増分バックアップのBASE_DATE値として使用されます。

ENHANCED_DAR_ENABLED

Y または N

N

拡張DAR機能が有効になっているかを示します。拡張DAR機能では、ディレクトリーDARおよびNTストリームを含むファイルのDARをサポートします。拡張DAR機能を使用すると、パフォーマンスが向上します。

リストア時に拡張DAR機能を使用できるのは、次の条件が満たされる場合のみです。

  • ONTAPで拡張DARがサポートされている。

  • バックアップ時にファイル履歴が有効である(HIST=Y)。

  • ndmpd.offset_map.enable オプションが on に設定されている。

  • リストア時にENHANCED_DAR_ENABLED変数が Y に設定されている。

EXCLUDE

pattern_string

なし

データをバックアップするときに除外するファイルまたはディレクトリーを指定します。

除外リストは、カンマで区切られたファイルまたはディレクトリー名のリストです。ファイルまたはディレクトリーの名前がリスト内の名前の1つに一致した場合は、バックアップから除外されます。

除外リストで名前を指定する際に適用されるルールは次のとおりです。

  • 正確なファイル名またはディレクトリー名を使用します。

  • アスタリスク(*)はワイルドカード文字であり、文字列の最初または最後の文字としてのみ使用できます。

    使用できるアスタリスクの数は文字列ごとに2つです。

  • ファイルまたはディレクトリー名のカンマの前にバックスラッシュ(\)記号を付けます。

  • 除外リストに含めることができる名前は32個までです。

同時にNON_QUOTA_TREEを Y に設定している場合、バックアップから除外するように指定したファイルまたはディレクトリーは除外されません。

EXTRACT

YN 、または E

N

バックアップ データセットのサブツリーがリストアされるように指定します。

バックアップ アプリケーションでは、抽出されるサブツリーの名前を指定します。指定されているファイルが、内容をバックアップ済みのディレクトリーに一致した場合、ディレクトリーは再帰的に抽出されます。

DARを使用せずに、リストア時にファイル、ディレクトリー、またはqtreeの名前を変更するには、EXTRACT環境変数を E に設定する必要があります。

EXTRACT_ACL

Y または N

Y

リストア処理でバックアップ ファイルのACLがリストアされるよう指定します。

デフォルトでは、DAR(DIRECT=Y)を除いて、データをリストアするときにACLがリストアされます。

FORCE

Y または N

N

デスティネーション ボリュームで使用可能なボリューム スペースとinodeをリストア処理で確認する必要があるかどうかを指定します。

この変数を Y に設定すると、デスティネーション パスで使用可能なボリューム スペースとinodeの確認がリストア処理でスキップされます。

デスティネーション ボリュームのボリューム スペースまたはinodeが不足している場合は、デスティネーション ボリュームで使用可能なボリューム スペースとinodeで許容される量のデータがリストア処理によってリカバリーされます。ボリューム スペースとinodeを使用できない場合は、リストア処理が停止します。

HIST

Y または N

N

ファイル履歴情報をバックアップ アプリケーションに送ることを指定します。

ほとんどの市販のバックアップ アプリケーションでは、HIST変数を Y に設定します。バックアップ処理の速度を上げる場合や、ファイル履歴収集に関する問題のトラブルシューティングを行う場合は、この変数を N に設定することができます。

バックアップ アプリケーションがファイル履歴をサポートしていない場合は、HIST変数を Y に設定しないでください。

IGNORE_CTIME

Y または N

N

前回の増分バックアップ後に変更されたのがctime値だけである場合は、ファイルを増分バックアップしないことを指定します。

ウィルススキャン ソフトウェアなどの一部のアプリケーションは、ファイルやファイル属性が変更されていなくても、inode内のファイルのctime値を変更します。結果として、変更されていないファイルが増分バックアップによってバックアップされることがあります。 IGNORE_CTIME 変数は、ctime値が変更されたために、増分バックアップに許容範囲を超える時間または容量が消費される場合にだけ指定してください。

NDMP dump コマンドでは、IGNORE_CTIME はデフォルトで false に設定されます。 true に設定すると、次のようにデータが失われる可能性があります。

  1. ボリューム レベルの増分 ndmpcopyIGNORE_CTIME がtrueに設定されている場合、ファイルが削除され、ソースのqtree間で移動されます。

  2. ボリューム レベルの増分ダンプで IGNORE_CTIME がtrueに設定されている場合、ファイルが削除され、増分リストア時にソースのqtree間で移動されます。

この問題を回避するには、ボリューム レベルの NDMP dumps または ndmpcopy で、IGNORE_CTIME をfalseに設定する必要があります。

IGNORE_QTREES

Y または N

N

リストア処理でバックアップqtreeからqtree情報をリストアしないことを指定します。

LEVEL

0-31

0

バックアップ レベルを指定します。

レベル0は、データセット全体を複製します。0より大きい値に指定された増分バックアップ レベルでは、前回の増分バックアップ後に新規作成または変更されたすべてのファイルが複製されます。たとえば、レベル1では、レベル0バックアップ後に新規作成または変更されたファイルがバックアップされ、レベル2では、レベル1バックアップ後に新規作成または変更されたファイルがバックアップされます。

LIST

Y または N

N

データを実際にはリストアせずに、バックアップ ファイル名とinode番号を一覧表示します。

LIST_QTREES

Y または N

N

データを実際にはリストアせずに、バックアップqtreeを一覧表示します。

MULTI_SUBTREE_ NAMES

string

なし

バックアップが複数のサブツリーであることを指定します。

複数のサブツリーは、改行で区切られたnullで終わるサブツリー名のリストの文字列で指定されます。サブツリーは、共通のルート ディレクトリーを基準とした相対パス名によって指定され、リストの最後の要素として指定される必要があります。

この変数を使用する場合は、DMP_NAME変数も使用する必要があります。

NDMP_UNICODE_ FH

Y または N

N

ファイルのNFS名のほかにUnicode名もファイル履歴情報に含めることを指定します。

このオプションは、ほとんどのバックアップ アプリケーションでは使用されないため、バックアップ アプリケーションがこれらの追加のファイル名を受け取るように設計されている場合以外は設定しないでください。HIST変数も設定する必要があります。

NO_ACLS

Y または N

N

データのバックアップ時にACLを複製しないように指定します。

NON_QUOTA_TREE

Y または N

N

データのバックアップ時にqtree内のファイルおよびディレクトリーを無視するように指定します。

Y に設定すると、FILESYSTEM変数によって指定されたデータセット内のqtreeの項目はバックアップされません。この変数は、FILESYSTEM変数でボリューム全体が指定された場合のみ有効になります。NON_QUOTA_TREE変数は、レベル0バックアップでのみ機能し、MULTI_SUBTREE_NAMES変数が指定された場合は機能しません。

同時にNON_QUOTA_TREEを Y に設定している場合、バックアップから除外するように指定したファイルまたはディレクトリーは除外されません。

NOWRITE

Y または N

N

リストア処理でデータをドライブに書き込まないことを指定します。

この変数はデバッグのために使用されます。

RECURSIVE

Y または N

Y

DARリストア中にディレクトリー エントリが拡張されるように指定します。

DIRECTおよびENHANCED_DAR_ENABLED環境変数も有効に( Y に設定)する必要があります。RECURSIVE変数が無効に( N に設定)されている場合、元のソース パスにあるすべてのディレクトリーへの権限およびACLだけがテープからリストアされ、ディレクトリーの内容はリストアされません。RECURSIVE変数が N に設定されている場合、またはRECOVER_FULL_PATHS変数が Y に設定されている場合、リカバリー パスは元のパスで終了する必要があります。

RECURSIVE変数が無効で、複数のリカバリー パスがある場合には、すべてのリカバリー パスを最長のリカバリー パス内に含める必要があります。そのように設定しないと、エラー メッセージが表示されます。

たとえば、次に示すリカバリー パスは foo/dir1/deepdir/myfile に含まれているため、すべて有効です。

  • /foo

  • /foo/dir

  • /foo/dir1/deepdir

  • /foo/dir1/deepdir/myfile

次のリカバリー パスは無効です。

  • /foo

  • /foo/dir

  • /foo/dir1/myfile

  • /foo/dir2

  • /foo/dir2/myfile

RECOVER_FULL_PATHS

Y または N

N

フル リカバリー パスの権限およびACLが、DARのあとでリストアされるように指定します。

DIRECTおよびENHANCED_DAR_ENABLEDも有効に( Y に設定)する必要があります。RECOVER_FULL_PATHSが Y に設定されている場合、リカバリー パスは元のパスで終了する必要があります。デスティネーション ボリュームにすでにディレクトリーが存在する場合には、権限およびACLはテープからリストアされません。

UPDATE

Y または N

Y

LEVELに基づく増分バックアップを有効にするためにメタデータ情報を更新します。

SMTape用にサポートされる環境変数

環境変数 有効な値 デフォルト値 説明

BASE_DATE

DUMP_DATE

-1

増分バックアップの開始日を指定します。

BASE_DATE は、参照Snapshot識別子の文字列表現です。SMTapeでは、BASE_DATE 文字列を使用して参照Snapshotコピーを探します。

BASE_DATE は、ベースライン バックアップの場合は必要ありません。増分バックアップの場合は、前回のベースライン バックアップまたは増分バックアップの DUMP_DATE 変数の値が BASE_DATE 変数に代入されます。

バックアップ アプリケーションは、前回のSMTapeのベースライン バックアップまたは増分バックアップの DUMP_DATE 値を代入します。

DUMP_DATE

return_value

なし

SMTapeバックアップの終了時に、そのバックアップで使用したSnapshotコピーを識別する文字列識別子がDUMP_DATEに含まれます。このSnapshotコピーを、次回の増分バックアップの参照Snapshotコピーとして使用できます。

結果のDUMP_DATEの値が、次回の増分バックアップのBASE_DATE値として使用されます。

SMTAPE_BACKUP_SET_ID

string

なし

ベースライン バックアップに関連付けられている増分バックアップのシーケンスを識別します。

バックアップ セットIDは、ベースライン バックアップで生成される128ビットの一意のIDです。バックアップ アプリケーションは、増分バックアップ時にこのIDを SMTAPE_BACKUP_SET_ID 変数に代入します。

SMTAPE_SNAPSHOT_NAME

ボリューム内にある有効なSnapshotコピー

Invalid

SMTAPE_SNAPSHOT_NAME変数をSnapshotコピーに設定すると、そのSnapshotコピーと古いSnapshotコピーがテープにバックアップされます。

増分バックアップの場合は、この変数によって増分Snapshotコピーが指定されます。BASE_DATE変数はベースラインSnapshotコピーを指定します。

SMTAPE_DELETE_SNAPSHOT

Y または N

N

SMTAPE_DELETE_SNAPSHOT変数が Y に設定されている場合は、バックアップ処理が完了すると、SMTapeで自動的に作成されたSnapshotコピーはSMTapeによって削除されます。ただし、バックアップ アプリケーションが作成したSnapshotコピーは削除されません。

SMTAPE_BREAK_MIRROR

Y または N

N

SMTAPE_BREAK_MIRROR変数が Y に設定されている場合は、リストアが成功すると、種類が DP のボリュームは RW ボリュームに変更されます。

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