ONTAP 9.13

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保持期限の設定

保持期限の設定については、ファイルに対して明示的に設定する方法と、ボリュームのデフォルトの保持期間から自動的に設定する方法があります。保持期限を明示的に設定しない場合は、デフォルトの保持期間に基づいて保持期限が計算されます。イベント後にファイルの保持期限を設定することもできます。

保持期間と保持期限について

WORMファイルの_保持期間_は、WORM状態にコミットされたファイルを保持する必要がある期間です。WORMファイルの_保持期限_は、その時点まではファイルを保持する必要があるという期限です。たとえば、ファイルが2020年11月10日の午前6時にWORM状態にコミットされた場合、ファイルの保持期間が20年であれば、保持期限は2040年11月10日の午前6時になります。

保持期間の例

ONTAP 9.10.1以降では、最長で保持期限を3058年10月26日、保持期間を100年に設定できます。保持期限を延長すると、古いポリシーは自動的に変換されます。ONTAP 9.9.1以前のリリースでは、デフォルトの保持期間を無期限に設定した場合を除き、サポートされる最も遅い保持期限は2071年1月19日(GMT)です。

レプリケーションに関する重要な考慮事項

保持期限を2071年1月19日(GMT)よりもあとに設定してSnapLockソース ボリュームとのSnapMirror関係を確立する場合は、デスティネーション クラスタでONTAP 9.10.1以降が実行されている必要があります。そうでない場合、SnapMirror転送が失敗します。

リバートに関する重要な考慮事項

保持期限が「2071年1月19日の午前8時44分7秒」よりもあとに設定されているファイルが1つでもある場合、ONTAP 9.10.1のクラスタを以前のバージョンのONTAPにリバートすることはできません。

保持期間について

SnapLock ComplianceまたはSnapLock Enterpriseボリュームには、次の4種類の保持期間があります。

  • 最小保持期間(min)。デフォルトは0です。

  • 最大保持期間(max)。デフォルトは30年です。

  • デフォルトの保持期間。ONTAP 9.10.1以降では、ComplianceモードとEnterpriseモードの両方でデフォルトはminと同じです。ONTAP 9.10.1より前のリリースでは、デフォルトの保持期間はモードによって異なります。

    • Complianceモードの場合、デフォルトはmaxと同じです。

    • Enterpriseモードの場合、デフォルトはminと同じです。

  • 未指定の保持期間。

    ONTAP 9.8以降では、ボリューム内のファイルの保持期間をunspecifiedに設定すると、明確な保持期限を設定するまでファイルが保持されます。明確な保持期限が設定されたファイルの保持期間を未指定に変更し、再度明確な保持期限を設定することができます。ただし、新しい保持期限は前に設定した保持期限よりもあとに指定する必要があります。

    ONTAP 9.12.1以降、保持期間がunspecifiedに設定されたWORMファイルには、SnapLockボリュームに設定された最小保持期間が使用されます。ファイルの保持期間をunspecifiedから明確な保持期限に変更する場合は、ファイルにすでに設定されている最小保持期限よりも長い期限を指定する必要があります。

つまり、ComplianceモードのファイルをWORM状態にコミットする前に保持期限を明示的に設定していない場合、デフォルトを変更していなければファイルは30年間にわたって保持されます。同様に、EnterpriseモードのファイルをWORM状態にコミットする前に保持期限を明示的に設定していない場合は、デフォルトを変更していなければファイルの保持期間は0年になり、ファイルは保持されません。

デフォルトの保持期間の設定

volume snaplock modifyコマンドを使用して、SnapLockボリューム上のファイルにデフォルトの保持期間を設定できます。

要件

SnapLockがオンラインである必要があります。

タスク概要

次の表に、デフォルトの保持期間に指定できる値を示します。

デフォルトの保持期間は、最小保持期間以上、最大保持期間以下にする必要があります。

単位 メモ

0 - 65535

seconds

0 - 24

hours

0 - 365

days

0 - 12

months

0 - 100

years

ONTAP 9.10.1以降。以前のリリースのONTAPの場合、値は0 - 70です。

max

-

最大保持期間を使用します。

min

-

最小保持期間を使用します。

infinite

-

ファイルを無期限に保持します。

unspecified

-

明確な保持期間が設定されるまでファイルを保持します。

最大保持期間と最小保持期間の有効な値と範囲も上記と同じです。ただし、最大保持期間と最小保持期間にはmaxおよびminは使用できません。このタスクの詳細については、「保持期限の設定 - 概要」を参照してください。

ボリュームの保持期間設定は、volume snaplock showコマンドを使用して確認できます。詳細については、このコマンドのマニュアル ページを参照してください。

ファイルがWORM状態にコミットされたあとは、保持期間を延長することはできますが短縮することはできません。

手順
  1. SnapLockボリューム上のファイルにデフォルトの保持期間を設定します。

    volume snaplock modify -vserver SVM_name -volume volume_name -default-retention-period default_retention_period -minimum-retention-period min_retention_period -maximum-retention-period max_retention_period

    すべてのオプションの一覧については、コマンドのマニュアル ページを参照してください。

    以下の例は、最大保持期間と最小保持期間が過去に変更されていないことを想定しています。

    次のコマンドは、ComplianceボリュームまたはEnterpriseボリュームのデフォルトの保持期間を20日に設定します。

    cluster1::> volume snaplock modify -vserver vs1 -volume vol1 -default-retention-period 20days

    次のコマンドは、Complianceボリュームのデフォルトの保持期間を70年に設定します。

    cluster1::> volume snaplock modify -vserver vs1 -volume vol1 -maximum-retention-period 70years

    次のコマンドは、Enterpriseボリュームのデフォルトの保持期間を10年に設定します。

    cluster1::> volume snaplock modify -vserver vs1 -volume vol1 -default-retention-period max -maximum-retention-period 10years

    次のコマンドは、Enterpriseボリュームのデフォルトの保持期間を10日に設定します。

    cluster1::> volume snaplock modify -vserver vs1 -volume vol1 -minimum-retention-period 10days
    cluster1::> volume snaplock modify -vserver vs1 -volume vol1 -default-retention-period min

    次のコマンドは、Complianceボリュームのデフォルトの保持期間を無期限に設定します。

    cluster1::> volume snaplock modify -vserver vs1 -volume vol1 -default-retention-period infinite -maximum-retention-period infinite

ファイルに対する保持期限の明示的な設定

ファイルに対して保持期限を明示的に設定するには、最終アクセス時刻を変更します。最終アクセス時刻は、NFSまたはCIFSで適切なコマンドやプログラムを使用して変更できます。

タスク概要

ファイルがWORM状態にコミットされたあとは、保持期限を延長することはできますが短縮することはできません。保持期限はファイルのatimeフィールドに格納されます。

ファイルの保持期限を明示的にinfiniteに設定することはできません。この値は、デフォルトの保持期間を使用して保持期限を計算する場合にのみ使用されます。

手順
  1. 適切なコマンドまたはプログラムを使用して、保持期限を設定するファイルの最終アクセス時刻を変更します。

    UNIXシェルで次のコマンドを使用して、document.txtという名前のファイルの保持期限を2020年11月21日の午前6時に設定します。

    touch -a -t 202011210600 document.txt

    Windowsでは、任意の適切なコマンドまたはプログラムを使用して最終アクセス時刻を変更できます。

イベント発生後のファイル保持期間の設定

SnapLockのイベントベースの保持(EBR)機能を使用して、特定のイベントの発生後にファイルを保持する期間を定義できます。

要件
  • このタスクを実行するには、SnapLock管理者である必要があります。

  • セキュアーな接続(SSH、コンソール、またはZAPI)でログインする必要があります。

タスク概要

_イベント保持ポリシー_は、イベント発生後のファイルの保持期間を定義します。このポリシーは、単一のファイルに適用することも、ディレクトリー内のすべてのファイルに適用することもできます。

  • WORMファイル以外のファイルの場合、ポリシーで定義された保持期間にわたってWORM状態にコミットされます。

  • WORMファイルまたは追記可能WORMファイルの場合、保持期間がポリシーで定義された保持期間まで延長されます。

ComplianceモードまたはEnterpriseモードのボリュームを使用できます。

EBRポリシーは、リーガル ホールド中のファイルには適用できません。

EBRを使用した既存のWORMファイルの保持期間の延長

EBRは、既存のWORMファイルの保持期間を延長する場合に便利です。たとえば、会社の規定で、従業員が源泉徴収の選択を変更した場合に、変更後3年間は従業員のW-4レコードを変更不可能な状態で保管するように定められているとします。さらに、従業員の退職後はW-4レコードを5年間保管するように定めた規定もあります。

この場合は、保持期間を5年間に設定したEBRポリシーを作成しておきます。従業員が退職した(「イベント」)時点でそのEBRポリシーを従業員のW-4レコードに適用すれば、保持期間を延長することができます。この方法は保持期間を手動で延長するよりも通常は簡単であり、関連するファイルが大量にある場合に特に便利です。

手順
  1. EBRポリシーを作成します。

    snaplock event-retention policy create -vserver SVM_name -name policy_name -retention-period retention_period

    次のコマンドは、vs1に保持期間を10年に設定したEBRポリシーemployee_exitを作成します。

    cluster1::>snaplock event-retention policy create -vserver vs1 -name employee_exit -retention-period 10years
  2. EBRポリシーを適用します。

    snaplock event-retention apply -vserver SVM_name -name policy_name -volume volume_name -path path_name

    次のコマンドは、vs1のEBRポリシーemployee_exitをディレクトリーd1内のすべてのファイルに適用します。

    cluster1::>snaplock event-retention apply -vserver vs1 -name employee_exit -volume vol1 -path /d1
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