エフサステクノロジーズ株式会社

本ページの製品は2024年4月1日より、エフサステクノロジーズ株式会社に統合となり、順次、切り替えを実施してまいります。一部、富士通表記が混在することがありますので、ご了承ください。

ONTAP 9 マニュアル ( CA08871-402 )

SnapMirror Active Syncアーキテクチャー

SnapMirror Active Syncアーキテクチャーにより、アクティブなワークロードを両方のクラスタに配置し、両方のクラスタから同時にプライマリー ワークロードを処理できます。一部の国では、金融機関に対する規制により、セカンダリー データセンターからも定期的にサービスを提供できるようにすることが求められています。これは「Tick-Tock」環境と呼ばれ、SnapMirror Active Syncによって実現できます。

ビジネス継続性を確保するためのデータ保護関係は、Storage Virtual Machine(SVM)内の異なるボリュームから整合性グループにアプリケーション固有のLUNを追加することで、ソース ストレージ システムとデスティネーション ストレージ システムの間で作成されます。通常の運用時には、エンタープライズ アプリケーションによってプライマリー整合グループに書き込みが行われ、そのI/Oがミラー整合グループに同期的にレプリケートされます。

Architecture of SnapMirror active

データ保護関係にある場合はデータのコピーが2つ存在しますが、SnapMirror Active Syncでは同じLUN IDが維持されるため、アプリケーション ホストはこれを複数のパスを持つ共有仮想デバイスとみなし、一度に書き込まれるLUNコピーは1つのみになります。障害が発生してプライマリー ストレージ システムがオフラインになると、ONTAPはこの障害を検出し、Mediatorを使用して再確認します。ONTAPもMediatorもプライマリー サイトにpingを送信できない場合、ONTAPは自動フェイルオーバー処理を実行します。このプロセスでは、特定のアプリケーションのみがフェイルオーバーすることになり、フェイルオーバーに以前は必要だった手動操作やスクリプト作成が不要になります。

その他の考慮事項:

  • ビジネス継続性を目的とする保護の対象から外れた、ミラーされていないボリュームがサポートされる

  • ビジネス継続性を目的として保護されているボリュームでは、他のSnapMirror Asynchronous関係は1つのみサポートされる

  • ビジネス継続性を目的とする保護では、カスケード トポロジーはサポートされない

ONTAP Mediator

ONTAP Mediatorは、2つのONTAPクラスタとは別の第3の障害ドメインにインストールします。その重要な役割は、SnapMirror Active Syncコピーのパッシブ監視を行うことです。ネットワークにパーティションが作成された場合や、一方のコピーが使用できない場合、SnapMirror Active SyncではMediatorを使用して、どちらのコピーでI/O処理を継続するかを決定し、もう一方のコピーでのI/Oを中断します。この環境には、次の3つの主要コンポーネントがあります。

  • SnapMirror Active SyncのプライマリーCGをホストするプライマリーONTAPクラスタ

  • ミラーCGをホストするセカンダリーONTAPクラスタ

  • ONTAP Mediator

ONTAP Mediatorは、SnapMirror Active Sync設定においてパッシブ クォーラム監視という重要な役割を果たし、クォーラムの保守を確実に行い、障害発生時のデータ アクセスを可能にします。コントローラーがピア コントローラーの稼働状況を確認するためのpingプロキシとして機能します。Mediatorは、スイッチオーバー処理をアクティブにトリガーしませんが、重要な機能を提供するために、ネットワーク通信の問題が発生したときに稼働しているノードがパートナーのステータスを確認できるようにします。ONTAP Mediatorは、クォーラム監視という役割の中で、ピア クラスタへの代替パスを提供します(実質的にはプロキシとして機能します)。

さらに、クォーラム プロセスの一環として、クラスタがこの情報を取得できるようにします。通信にノード管理LIFとクラスタ管理LIFを利用し、サイト障害とインタースイッチ リンク(ISL)障害を区別するために、複数のパスを経由する冗長な接続を確立します。イベントが原因でONTAP Mediatorソフトウェアおよびそのすべてのノードとの接続が失われたクラスタは到達不能とみなされます。そうなると、アラートがトリガーされ、セカンダリー サイトのミラー整合性グループ(CG)への自動フェイルオーバーが有効になり、クライアントのI/Oが中断されなくなります。レプリケーション データ パスはハートビート メカニズムに依存しているため、ネットワークの不具合やイベントが一定期間以上続くと、ハートビート障害が発生し、関係が非同期状態になる可能性があります。ただし、LIFの別のポートへのフェイルオーバーなど、冗長パスがあると、ハートビートが維持され、そのような中断を防ぐことができます。

まとめると、ONTAP Mediatorは次の目的で使用されます。

  • クォーラムの確立

  • 自動フェイルオーバー(AUFO)による継続的可用性

  • 計画的フェイルオーバー(PFO)

ONTAP Mediator 1.7では、ビジネス継続性を目的として10個のクラスタ ペアを管理できます。
ONTAP Mediatorを使用できない場合は、計画的フェイルオーバーや自動フェイルオーバーを実行できません。アプリケーション データは、中断することなく、継続して同期的にレプリケートされ、データ損失ゼロを実現します。

処理

次の図は、SnapMirror Active Syncの設計の概要を表しています。

Diagram of SnapMirror active sync architecture

この図は、プライマリー データセンターのStorage VM(SVM)でホストされているエンタープライズ アプリケーションを示しています。SVMには5つのボリュームがあり、そのうちの3つは整合性グループに属しています。整合性グループ内の3つのボリュームはセカンダリー データセンターにミラーリングされています。通常は、書き込み処理がいずれもプライマリー データセンターに対して実行されます。つまり、そのデータセンターがI/O処理のソースとして機能し、セカンダリー データセンターがデスティネーションとして機能します。

プライマリー データセンターで災害が発生した場合は、ONTAPがセカンダリー データセンターをプライマリーとして機能させて、すべてのI/O処理に対応させます。整合性グループ内のミラーリングされているボリュームのみが対象となります。SVM上の他の2つのボリュームに関連する処理は、すべて災害の影響を受けます。

対称アクティブ / アクティブ

SnapMirror Active Syncは、非対称ソリューションと対称ソリューションを提供します。

非対称構成では、プライマリー ストレージのコピーがアクティブ / 最適化パスを公開し、クライアントI/Oをアクティブに処理します。セカンダリー サイトはI/Oにリモート パスを使用します。セカンダリー サイトのストレージ パスはアクティブ / 非最適化とみなされます。書き込みLUNへのアクセスは、セカンダリー サイトからプロキシされます。

対称アクティブ / アクティブ構成では、アクティブ / 最適化パスは両方のサイトで公開され、ホストに固有であり、設定可能です。つまり、どちらの側のホストもアクティブなI/Oのためにローカル ストレージにアクセスできます。

Diagram of an symmetric active configuration

対称アクティブ / アクティブは、VMware Metro Storage Cluster、Oracle RAC、SQLを使用したWindowsフェイルオーバー クラスタリングなどのクラスタ アプリケーションを対象としています。

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