ONTAP 9.12.1以降では、MetroCluster IP構成のミラーされていないアグリゲート内のSVMでS3オブジェクトストレージサーバーを有効にできます。MetroCluster IP構成のミラーされていないアグリゲートに関する制限の詳細については、「Considerations for unmirrored aggregates」を参照してください。

ここに記載する手順は、S3オブジェクトストレージを設定する場合に使用します。想定している状況は次のとおりです。

ONTAPを実行している既存のクラスタからS3オブジェクトストレージを提供する。

既存のクラスタで追加のハードウェアや管理の負担なしでS3の機能を利用する場合は、ONTAP S3が適しています。
SVM管理者権限ではなくクラスタ管理者権限を保有している。

ONTAP System ManagerおよびONTAP CLIを使用したS3の設定

ONTAP S3は、ONTAP System ManagerおよびONTAP CLIを使用して設定および管理できます。シンプルな操作を実現するため、ONTAP System ManagerでS3を有効にしてバケットを作成すると、ベストプラクティスに基づくデフォルトの設定が選択されます。設定パラメーターを指定する必要がある場合は、ONTAP CLIを使用できます。S3サーバーおよびバケットをCLIで設定した場合も、必要に応じてONTAP System Managerで管理することができ、その逆も同様です。

ONTAP System Managerを使用してS3バケットを作成すると、デフォルトのパフォーマンスサービスレベルが設定されます。これは、システムで使用できる最も高いレベルです。たとえば、ETERNUS AX/AC seriesの場合、デフォルトの設定はExtremeです。パフォーマンスサービスレベルは、事前に定義されたアダプティブQoS（Quality of Service）ポリシーグループです。デフォルトのストレージサービスレベルを使用する代わりに、カスタムのQoSポリシーグループを指定するか、ポリシーグループをなしにすることもできます。

事前に定義されたアダプティブQoSポリシーグループは次のとおりです。

Extreme：最高レベルの低レイテンシと高パフォーマンスが求められるアプリケーションに使用します。
Performance：適度なパフォーマンスとレイテンシが求められるアプリケーションに使用します。
Value：レイテンシよりもスループットと容量を重視するアプリケーションに使用します。
Custom：カスタムのQoSポリシーまたはQoSポリシーなしを指定します。

[階層化に使用]を選択するとパフォーマンスサービスレベルは選択されず、階層化データ用に最適なパフォーマンスで低コストのメディアが選択されます。

次のセクションも参照してください。アダプティブQoSポリシーグループの使用

ONTAPは、選択したサービスレベルを満たす、最も適切なドライブを含むローカル階層にバケットをプロビジョニングします。ただし、バケットに含めるドライブを指定する必要がある場合は、CLIでローカル階層（アグリゲート）を指定してS3オブジェクトストレージを設定する方法もあります。CLIでS3サーバーを設定した場合も、必要に応じてONTAP System Managerで管理できます。

バケットに使用するアグリゲートはCLIでしか指定できません。

Cloud Volumes ONTAPでのS3バケットの設定

Cloud Volumes ONTAPからバケットを提供する場合は、基盤となるアグリゲートを手動で選択して、使用するノードを1つだけにすることを強く推奨します。各ノードは地理的に離れたアベイラビリティゾーンに配置され、レイテンシの問題の影響を受けやすいため、両方のノードのアグリゲートを使用するとパフォーマンスが低下する可能性があります。したがって、Cloud Volumes ONTAP環境では、CLIでS3バケットを設定する必要があります。

そうしない場合は、Cloud Volumes ONTAP上のS3サーバーはオンプレミス環境と同じように設定され、管理されます。